アートコレクターとして知られる桶田夫妻が主催する「OKETA COLLECTION」。「気軽にアートに触れられる機会を」という夫妻の想いが込められた展示イベントは5回目を数え、毎回大盛況。会場で行われた桶田夫妻×アートテラー・とに~さんの対談の様子や、とに~さんおすすめの注目アーティストと作品情報をお届け。
第5回「OKETA COLLECTION」が開催中!
国内外を飛びまわり、自分たちの感性に響いた現代アート作品をコレクションしている桶田俊二・聖子(あさこ)夫妻。開催のたびに毎回多くの人が足を運ぶ大人気の展示イベント「OKETA COLLECTION」、その5回目が東京・青山のスパイラルガーデンにて開催中(~2023年4月23日日曜日)だ。
テーマを「TIME MIXED ~ 室町時代から現代、そして未来へ ~」とし、5周年を記念して骨董からコンテポラリーアートまでおよそ50点以上が並ぶ圧巻のラインナップ。「一目惚れのように惹きつけられた作品を、新旧問わずコレクションしてきた」と語る国内屈指のコレクターが披露してくれる、“奇跡の空間”を目撃して!
「アートの面白さを知ってほしい」——アートに懸ける思いとは?
とに~さん(以下、敬称略) 第5回となる今回はどんなコンセプトでしょうか?
桶田さん(以下、敬称略) 「TIME MIXED」をテーマにして、骨董から現代アート、未来へつながるNFTまでをミックスし、表現しました。昨年にこのコンセプトでいこう決め、ここに並んでいる現代アート作品はほとんどこの1年で集めたものになります。
とに〜 「OKETA COLLECTION」というと、現代アートの印象が強かったのですが、実は骨董もあるということで、その幅の広さに驚かされます。
桶田 はじまりは骨董なんです。コレクターとして集め始めたのは、23年前。最初の10年間は日本の骨董だけを、そこから韓国、中国…とコレクションしてきました。あるときに、草間彌生さんのドキュメンタリー番組を観て、こんな素晴らしい作家がいるんだと知り、3年くらいは草間さんを追いかけました。そこからコンテンポラリーアートに興味を持って、枝葉的に広がり、今では日本の若手から海外のアーティストまで幅広くコレクションしています。
とに〜 そんな桶田さんの「OKETA COLLECTION」に込める思いとは?
桶田 少しでも多くの人にアートの面白さを知ってもらいたい。そこで、次世代のアーティストに興味を持ってもらえるような展示を意識しました。この展示をきっかけに、アート界がさらに盛り上がってくれるのが私たちの願いです。
――もっとも古いものは室町時代の骨董作品だと話す桶田さん。約600年もの時を超える作品と最新のアートが、国内外問わず一堂に会す、夢のようなコレクションが実現。
今回の「OKETA COLLECTION」について楽しく語り合った対談の様子は、こちらから!
とに~的「OKETA COLLECTION」の見逃せないポイント
事前に知っておくことで、もっとアート鑑賞が面白くなる! そんなプチ情報とともにアートテラー・とに~さんに注目アーティストと作品の見どころを聴き取り調査。
新星あらわる!友沢こたお
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smile LXXⅪ/友沢こたお 他、立体など計4点展示
「まず会場の入り口すぐ横のスペースに展示されている『友沢こたお』さんの作品は、絶対に見逃せないリストの筆頭です。藝大在学中からすでに売れっ子で、今注目されているホットなアーティスト。スライムを顔にのせて写真を撮り、それを描く、スライムで覆うという誰も思いつかないようなアイデアはもちろん、その描写の巧さといったら…。これからが楽しみな25歳以下の若きホープです」(とに~さん)
陶芸界の鬼才が共演!岡部嶺男&加守田章二
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〈左から〉飴釉印花瓶子/岡部嶺男、彩陶筒/加守田章二
「陶芸家のなかでもこの2人は鬼才といわれる、異質な人たち。もともと日本での評価よりも海外での注目度が高いので、桶田さんさすが!という気持ちです。
岡部嶺男さんの作品は一見地味にみえるかもしれませんが、技術力がとんでもなく高い。中国宋代に途絶えてしまった青磁を再現した人。レシピのない昔の技術をトライ&エラーを重ねて完全再現し、そこに自らのオリジナリティを加えた作品を世に送り出した人です。
加守田章二さんは、発想力が抜群で誰もやらないようなことをやってのける。伝統を重んじる陶芸界で、当時は異質だった紋様や器形で現代に通じる焼き物を生み出しました。現在も陶芸家に影響を与える才能の溢れた人。
この2つが並んでいるのは本当にレア。国立美術館にあって然るべき作品がここにあるのは本当にすごいことで、桶田さんにしかできないことだなと。正直、僕は震えましたね」(とに~さん)
脅威の技術力を感じるその佇まい!金巻芳俊の立体作品
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ウララ・カプリス/金巻芳俊
「顔が360度ぐるっとしている造形の面白さに目がいきがちだけど、実はこれが木彫だということもすごいんです。木彫って一瞬を止める表現が当然だと思っていましたが、さまざまな表情を一度にみせる表現方法に意表を突かれました。現代アートのグループ展ではメインで展示される作品、今回の『OKETA COLLECTION』では吹き抜けスペースの後ろの方に(正面から見て右奥)展示されているのでお見逃しなく!」(とに~さん)
美しい対比に注目!李朝×NFTアート
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李朝白磁壺
「巨大なパネルの前にあるのは韓国の李朝白磁壺。桶田さんは、17世紀後期のもので、形、ツヤ、バランスをみて決めたと話していましたが、相当貴重なものですね。
その背景に広がる横幅10メートルの巨大なパネルに映し出される映像作品は、最新のNFTアート。これまでNFTアートをどう観せるか、その展示の仕方が課題でしたが、こんなやり方があったかと発見になりました。メインスペースの立体作品の一番後ろにあり、背景かと思う人もいるかもしれませんが、渋谷という街の時間的な移ろいを映し出すNFTアートです。
そのど真ん中に李朝の壺が置いてあって、これはまさに絶妙なミックス。大きなチャレンジをされているなという印象でした。時空を超えた奇跡のコラボと言って良いでしょう」(とに~さん)
同じラインナップでここまでの規模の作品が揃うことは、今後はないだろうと話す桶田夫妻。室町から現代までだけでなく、未来を見据えた挑戦的なアート展。数々の名作そして新作を、今回も無料で観覧できる幸せなチャンス。あなたの心を揺さぶる作品に出会えるかも。
OKETA COLLECTION: TIME MIXED 〜 室町時代から現代、そして未来へ 〜 2023
会期:2023年4月8日(土)〜4月23日(日)
会場:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F)
http://oketacollection.com/exibition/275/
Instagram oketacollection