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2022.12.27

従来の価値観に縛られすぎてない?『母親になって後悔してる』を読んで

ジェンダー平等はSDGsの目標にも掲げられているが、日本はまだまだ男性社会。30歳前後は、結婚・出産にまつわるジェンダー問題の壁の高さを実感する人も多いはず。スタイリストの青木貴子さんが『母親になって後悔してる』を読んで感じたこととは。

母親になって後悔してる

『母親になって後悔してる』(オルナ・ドーナト 著/新潮社)

価値観の押し付けから解放を

『母親になって後悔してる』という本が話題になっています。著者はイスラエルの社会学者・社会活動家のオルナ・ドーナト氏。母親になって後悔の念を持っているという23名の女性をインタビューし、その考察をまとめたというもの。「今の知識と経験を踏まえて、過去に戻れるとしたらあなたは母親になることを選びますか?」という質問に「いいえ」と答えた23人へのインタビューをもとに、この本は書かれています。

「母親という役割を背負ったことは後悔しているが、子供を産んだことは後悔していない」「子供のことは愛している。けれど母親という役割は荷が重過ぎる」と語る母親がいます。確かに母親って変な言い方になりますが人間以上のものを求められてきたと思います。優しくないといけない、家事も育児も完璧にしないといけない、子供のために犠牲にならなくてはいけない…など。それこそ、聖母・神様みたいな存在。世の中はある程度なんでも役割が出来ていて、だからこそ成り立っている部分もあるのですが、当事者になってみないとわからないことってたくさんありますよね。いろいろなことで苦しさを生む根源には「価値観の押し付け」があるような気がします。

例えば、少し前までは男は男らしく、女は女らしくしていないといけないという価値観が広くありました。こちらは多様化してきた部分もありますが、まだまだ根強く変化していないところもあると思います。国会議員や大企業の役員の男女比などを見ると、歴然と男性の方がまだまだ働きやすかったりしますしね。この雇用の男女比も、子供を産む、育てるといったことへの役割において女性の方が負担が大きい要因になっていますよね。男女性差など関係のない平等な社会の確立を掲げていても、「女性は子育てや家庭のことをするのが第一優先」や「子供を産むべき」といった「価値観の押し付け」が暗に存在しているのは揺るぎのない事実です。

母親は子供のために犠牲にならなくてはならない存在?

赤ちゃんの足と母の手
話を戻して「母親」という役割と、そのほかの「自分」の役割や個性(心の在り方?)についてですが、これも本当に難しいですよね。「母親」と「自分」は同じひとなのに、その2人が心のありようの中で乖離しちゃったりする場合もあるようです。でも「母親」であるという事実はなくならないし、目の前の子育ては続けなくてはならない。だから役割を果たさなきゃって思う。母親になったんだから育児をして当たり前、寝る間も惜しんで子供のことを世話して、いちばんに考えてって。「母親とはそういう役割を果たすべきである」と言う社会通念もあるし、そう思い込んできていたひとは多いと思います。

でも考えてみたら昨日まではある程度気ままにひとりで思うように生きてきたわけで、子供を持ったら突然親にならなきゃって言われても、葛藤もあるし、実際子供を産んだからといって急に精神的にぐんと成長できるわけでも理想的な母親に変身できるわけもない。
思い込みといえば年齢もそうですよね、20歳になったら大人(今は成人年齢は18歳ですが)の仲間入り、なんて言われていたけど実際は40歳になっても50歳になっても結構中身は変わらなかったりする、笑。学生時代の友人と会ったりするとそんな話になりませんか? 幾つになってもあんまり変わらないよね、って。○○歳になったら大人になるという幻想は逃げ水みたいにいつまで経っても思っていた大人には追いつかないような気がします。

子供の頃、こっちのせいではないのに母親や父親が急に怒り出したり機嫌が悪くなると「親のくせになんて理不尽で勝手なこと言うんだ!」って怒り心頭に発したりしていましたが、考えてみたら自分が10歳やそこらの時の親の年齢は40歳そこそこだったわけで、自分がその年齢に達した時に思ったのは「40歳なんて全然未熟」という思いでした。子供側なりに「親とは大人で分別がある生き物だ」と言う価値観が出来上がっていたんだと思います。それを当時は親に押し付けていたかもしれません。きっと親は必死に良い親であらねば!って思いながら接してくれていたのでしょうけれど。このように年齢や立場の違いによって感じ方は如何様にでも変わって行きます。価値観も一様ではないということです。

何を優先するかは、自分で決めていい


「母親にならなきゃ良かった」とか、「自分の人生を生きたい」とか「良い母親になれない、向いてない」とかいろんな感情が湧き起こって然り、と思います。もちろん、「母親になって良かった」「心から母親という自分を楽しみ、子育てに没頭している」というひともいます。どちらがいい悪いではなく、どちらもあるということ。カタチだけのタヨウカではなく、真の意味での概念の多様化や許容が、これからの社会を生きやすくするために必要なのではないかと思います。答えは一つではない中で、それぞれの考え方を尊重しながら秩序を保っていけるというのが理想です。理想ではなく実現していきたいですよね。

この本はこれから出産を考えているひとはもちろんですが、子供がいるひとにもいないひとにも、子供を産まない男性にも響く内容。「母親の役割」を起点に「価値観」や「本音を語る」ということの大切さを考えさせる側面も持っています。
いろいろな考え方を知ることが、発想力や価値観の許容範囲を広げることに繋がって行きます。するとこれまで思い込んでいた自分と、違った意見を持つ自分に出会えたりします。この本を読むことで気持ちが軽くなったというひとも多いようです。

おりしも年末年始のお休みがあります。ドキュメンタリーの本や映像を見たり、どこかへ足を運んで新たな経験をするなど、発想の幅を広げるいい機会です。何かの発見につながる素敵な時間になりますように。

『母親になって後悔してる』(オルナ・ドーナト 著/新潮社)をAmazonで購入する。

TEXT=青木貴子

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