「夜になると気分が落ち込む」という人へ。実は、そう感じている人が一定数いることを裏付ける調査結果が。なぜ夜は落ち込みやすいのか? その対処法は? 専門家のアドバイスとともにご紹介。
30代女性は心の調子を崩しがち
なんだか最近、落ち込みがち。周りにもそういう人が多いかも……あなたがもしそう感じているとしたら、その感覚は当たっているかもしれない。
長期化するコロナ禍で増えていると言われる、心の不調。その実態を知るために、調査会社のゼネラルリサーチが20代〜50代の男女3,000人を対象にアンケート調査を実施したところ、特に30代〜40代の女性が不調を抱えがちという事実が判明。
「ご自身の直近1ヶ月の心身の状態について教えてください」の質問に対して、3割以上の方が『とても悪い(6.2%)』『やや悪い(29.7%)』と回答しました。
男女別では、男性が『とても悪い(5.6%)』『やや悪い(26.9%)』、女性が『とても悪い(6.7%)』『やや悪い(32.6%)』と回答したことから、女性のほうが心身の状態が悪いと感じていることがわかりました。
さらに、年代別では、女性30代『とても悪い(4.3%)』『やや悪い(35.7%)』、女性40代『とても悪い(8.3%)』『やや悪い(33.6%)』という結果となりました。
――ゼネラルリサーチ「腸内ケアとメンタルヘルスに関する調査」より
心の不調の具体例としては「疲れやすい、疲れがとれない」(37.3%)、「やる気がおきない」(29.1%)、「イライラする、怒りっぽい」(26.2%)などの回答が。共感する人も多いのでは?
落ち込みやすい時間帯は23時。名づけて「11PMシンドローム」!
気分が落ち込みがちな時間帯を尋ねる設問では、最も多かった回答は「午後11時(23時)」。憂鬱な時間帯=朝というイメージもあるけれど、悶々と考え込んで止まらなくなる夜も、メンタルヘルス上は要注意な時間帯ということがわかる。
「明日も仕事かと思うと、考え込みまた気分が下がる」(20代/女性/愛知県)
「寝る前にネガティブなことを考えてしまうため」(20代/女性/石川県)
「静かになると色々考えてしまう」(30代/女性/東京都)
この調査結果について、せたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司先生に尋ねたところ、実は夜に気分が落ち込みやすいことには理由があるそう。
「就寝前は、交感神経優位から副交感神経優位へ自律神経が切り替わる時間帯。この切り替わるタイミングは、不調なども出やすく、とくに周りが静かだと気分の落ち込みを感じやすいことがあります」
名づけて、11PMシンドローム(イレブンピーエムシンドローム)。自分だけじゃないと思うと、ちょっと救われるけれど……そのままにしておくと、睡眠にも影響が出て、ますます心の不調が増長されてしまうと久手堅先生。
「リラックスすべき就寝前に、考え込んでしまうことで、さらに自律神経の乱れのスパイラルに陥ってしまいます。このまま寝床に入ったとしても、交感神経と副交感神経がスッキリ切り替わらず、レム睡眠と呼ばれる夢見がちの状態とになり、深い眠りにつくことができません。すると、朝を起きてもすっきりせず不調が続いてしまいかねません」
11PMシンドロームにおすすめの対処法は…「夜ヨーグルト」!?
夜に落ち込みがちなこの状況、なんとかしたい! そんな人にぜひ取り入れてほしい、ちょっと意外な習慣があると久手堅先生。その習慣とは「夜ヨーグルト」。
メンタルヘルスとヨーグルト、確かに意外な組み合わせ。いったいどんな関係が?
先生が指摘するのは、いわゆる“脳腸相関”。実は、脳と腸は互いに深く影響し合っていて、腸内環境を整えることがメンタルヘルスの改善につながることもあるそう。
「腸内環境が良いと、脳内で“幸せホルモン”といわれるセロトニンも分泌されやすく、自律神経に良い影響を与えます。一方で、腸内環境が悪いと、セロトニンが分泌されにくくなり、気分も落ち込んでしまうというわけです」
今回の調査でも、腸内環境を意識している人は、意識していない人と比べて気分が落ち込みにくい傾向にあるという結果が。
意識している人:『とても良い(18.1%)』『やや良い(49.3%)』『やや落ち込んでいる(27.7%)』『とても落ち込んでいる(4.9%)』
意識していない人:『とても良い(13.4%)』『やや良い(46.9%)』『やや落ち込んでいる(31.8%)』『とても落ち込んでいる(7.9%)』
――ゼネラルリサーチ「腸内ケアとメンタルヘルスに関する調査」より
「午後10時から午前2時は、腸のゴールデンタイムと呼ばれていて、腸の修復が行われています。腸のゴールデンタイムに向けて、夜にヨーグルトを食べると、乳酸菌が働き、腸内環境を整え、よい睡眠に導いてくれるでしょう」
具体的には、落ち込みやすい時間帯の2、3時間前にヨーグルトを食べるのがおすすめとのこと。夕食のデザートに取り入れるのがちょうどよいタイミングかも。
ヨーグルトを食べるだけなら超簡単。夜の憂鬱に悩まされている人は、ぜひ上手に取り入れて、11PMシンドロームを乗り越えて。
久手堅司(くでけんつかさ)
せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。気圧予報・体調管理アプリ「頭痛ーる」監修医師。「自律神経失調症外来」などの特殊外来を立ち上げ、「気象病・天気病外来」ではこれまで5000名を超え、患者目線で行う診察とわかりやすい解説がSNSやメディアで話題。著書は『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)、『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)。
※本記事は下記の調査結果に基づき作成しました。
ゼネラルリサーチ「メンタルヘルスに関する調査」
調査期間/2022年8月10日(水)~2022年8月12日(金)
調査方法/インターネット調査
調査人数/3,000人
調査対象/全国20代〜50代の男女
調査主体/ゼネラルリサーチ