韓国ドラマ「梨泰院クラス」のリメイク作で現在放送中の「六本木クラス」。日本で放送されるまでに、実は様々な葛藤が?! 「梨泰院クラス」ファンも「六本木クラス」視聴者も必見の制作秘話を、西山隆一プロデューサーと脚本家の徳尾浩司さんに伺った。
熾烈を極めた!?リメイク権獲得までの道
「2020年にNetflixで『梨泰院クラス』が配信され、これは面白いと5月にはリメイクを名乗り出ました。すでに物語を日本に置き換えた『六本木クラス』という漫画がピッコマさんから出ていましたので、そこから韓国の窓口へ。実は我々以外にも日本からいくつかリメイクのオファーがあり、最終的にはコンペをすることになりました。選んでいただけた決め手は、テレビ朝日の社員で、『ドクターX』などを手がけてきた田村直己監督を起用する、というプレゼンが大きかったと聞いています。日本もそうですが、韓国では監督の重要性がより高いことも感じました」(西山P)
連ドラでは異例!?こだわった13話
「通常この放送枠のテレビ朝日のドラマは全9話ほど。しかし今回は13話と異例の長さです。『梨泰院クラス』は1本1時間以上あり、16話。それをリメイクするにはどうしても13話必要だと、リメイクが決まったときから局にかけあって、実現しました」(西山P)
「日本の連続ドラマとしては異例の13話ということで、大きな改変がなく書きやすかった。日本版は地上波なのでチャンネルをたまたま回した人の心も掴みたくて、テンポの良さを意識しました」(脚本・徳尾さん)
お互いが影響し合う韓国ドラマと日本ドラマ
「韓国の制作の方とお話しする機会もありましたが、彼らは’90年代から日本のドラマをよく見てきていて私たちと話が合うんです。日本のドラマをリメイクした韓国ドラマもこれまで多くあります。そして逆に日本でも『冬のソナタ』などが大流行しました。日本でも多くの韓国ドラマがリメイクされてきていますし、お互いに影響し合っている関係なのだと思います。一方で『梨泰院クラス』は、Netflixで世界を意識したレベルの高い作品。さらに多くの人が魅了されているのでしょう」(西山P)
原作者の拍手に泣きそうになった
「第一話をご覧になった原作者のチョ・グァンジンさんが手を叩いて『ヤア!ヤア!』と叫んでいらした。韓国ドラマを見ていると、拍手をしている人のシーンでよく見かける光景です。それを『六本木クラス』を見てやってくださった。喜んでくださったことに、僕らは泣きそうになってしまいました(笑)」(西山P)
かつてない、チャレンジングなリメイク
「これまでも韓国ドラマをリメイクしたドラマや映画は多くありました。しかし配信が主流になってからのリメイクは初めてです。ボタンひとつですぐに元になった『梨泰院クラス』を見ることができてしまう。非常に比べられやすく、大変チャレンジングなリメイクとなりました。私たちも初めてのことで、正直毎日エゴサーチしています(笑)。新時代のリメイクは常に試行錯誤ですが、こうやって互いにいい作品が広まっていくきっかけになることはうれしいことです」(西山P)
「正直、これだけヒットしたものをリメイクするのは、プレッシャーが大きい。でも難しいことにこそ、挑戦する意味がある。どんなご意見があっても、自分のなかに取り入れて学んでいきたい。そういう強い気持ちでスタッフ全員、挑んでいると思います」(脚本・徳尾さん)
『六本木クラス』
出演/竹内涼真、新木優子、平手友梨奈ほか
テレビ朝日系 毎週木曜21:00~放送中
©Kwang jin /tv asahi
徳尾浩司(とくおこうじ)
脚本家。ドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)、「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)、「恋はDeepに」(日本テレビ系)など話題作を執筆。
西山隆一(にしやまりゅういち)
テレビ朝日ドラマプロデューサー。「六本木クラス」プロデューサー。ドラマ「未解決の女 警視庁文書捜査官」などを手がける。