スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
あれもこれも何でもできる! たくさんのことをやり遂げられる才能、憧れますよね。たくさんのことが出来るひとは一体どうやってそうなっていくのでしょう?
そんなことができるひとは特殊な能力を持ったひとだけ? いえいえきっとそんなことはありません。それを成し遂げたひとの軌跡を追うと、そこにその答えやヒントが見つけられます!
世界的活躍、マルチな才能を開花させた偉人
マルチな活躍、異業種をクロスオーバーさせるなど、仕事の領域や垣根を超えて活躍しているひとが、最近急激に増えている気がします。その草分けとも言える素敵な先人、石岡瑛子さんの展覧会が東京都現代美術館で開催されています(2021年2月14日まで)。
石岡瑛子さんは世界から賞賛されたデザイナーでありアートディレクター。細かく書くと、グラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナー、プロダクトデザイナー、テキスタイルデザイナー、装丁デザイナー、アートディレクター、衣装デザイナー、プロダクションデザイナー等々(まだまだ肩書きあり!)、そのすべてにおいて成功を収めている。
ここまでくると偉人! グラフィックデザインではグラミー賞で最優秀アルバムパッケージ、ジャケットデザイン賞を、映画衣装のデザインではアカデミー賞衣装デザイン賞を獲得しているのですから、実力は超一流世界レベルです。
レボリューショナリー、革新的なマインドを持つ
石岡さんの最初の職種はグラフィックデザイナー。斬新かつ、独創的な仕事ぶりが評価され、アートディレクターとして活躍していきます。最初の仕事での絶対的成功が、のちに彼女がさまざまなジャンルに仕事を広げていく礎となりました。
仕事における原点時代から彼女がこだわっていたことに、活躍の場をその後広げていけた最大のヒントというか答えがあります。
●ものの本質を掘り下げて掘り下げて、出てきた疑問を解いていく
●固定概念を嫌い、誰も見たことのないものを作り出す
●自分にしか作れないオリジナリティを追求する
●無我夢中になる
ここにこだわり、ブレずにやり遂げる。
きっとすべての仕事においてこれを徹底的にやり続けていたことが、彼女を唯一無二の才能の持ち主であると世に知らしめる要因になったに違いありません。そしてその結果、新しい仕事への扉がどんどん開いていったのだと思います!
偉人とふつうのひとの差って、ここなのではないかと思うのです。とことん!とことんやる。それってシンプルでいて実はとっても難しい。限界の前に何となくのゴールが見えてしまうと、そこで作業を止めてしまいがちです。さらには、他と差別化できるような、革新的な着目も簡単ではありません。新しいアイディアが出ない!ではなく、出るまでぎゅうぎゅうと絞り出す根気が必要なのです。
たくさんの扉を開く鍵
人生って、自分という部屋の扉を開けていく旅なのではないかと思うのです。おぎゃ~とこの世に生まれ出たとき入ってきたのが自分の部屋。その扉から元の世界へは戻れません。あとは自分の部屋をどんどん進んでいって、広げていって、扉を見つけて開いていく。扉を開けられる数が多いほど感動や楽しさが増していくのでないかと。
自分の部屋が狭いと思っていたら扉の数も少ないかもしれないけれど、とことん突き詰めてみたら新しい扉が見つかって、開いてみたら次の扉もあった! 何だこっちの扉の先も楽しいじゃん!みたいな(笑)。
石岡瑛子さんの、次へ次へとどんどん仕事の扉が開いていった軌跡を辿ってみると、扉をたくさん開く鍵はとことんやること!なのかなって思いました。石岡さんは、昨日と今日と明日しかない、だからその3日のベストを尽くす! そうするとその次が良く発展する。そんなふうに毎日を過ごしていたそうです。
扉の先にあるものは仕事だけではありません。友人との楽しい時間を過ごせる空間もあれば、ある扉の先は知識を得る場所や趣味の喜びが広がっている場所かもしれません。
たくさんの扉を見つけ開いて、居心地の良い自分の部屋を作り出していけたら楽しいですよね。誰かがあなたの部屋に遊びに来たとき、扉の多い部屋だったら相手はこの扉の向こうにはどんな景色が広がってるのかな?って想像力を掻き立てられます。つまり扉の多いひとはとてつもなく魅力的なひと、なんだと思います!