ベルリンで運命の人パオロと出会い結婚を決めたアントニオは、両親にカミングアウト&結婚の報告をするために帰郷。猛反対の父、母から出された結婚の条件、酔った勢いで浮気した元カノの妨害工作、トラブルメーカーの女装癖オジさん・・・様々な困難を乗り越えて、二人は結婚できるのか!? ロケ地となった実在する天空の村「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」のおとぎ話のような景観も見どころというこの映画を、映画ライター渥美志保さんにたっぷりと語っていただきました!
天空の町で繰り広げる、トラブル続出の同性婚
ドイツのベルリンはヨーロッパ随一の自由な都市で、前市長がゲイ男性だったこともあり、同性愛者にやさしい町としても知られています。
イタリア人の主人公アントニオはこの街で運命の相手パオロと出会い結婚を決意。彼は父親に自分が同性愛者であることを言っていないのですが、「家族に紹介してくれるのが当然」と主張するパオロに押し切られ、カミングアウト&結婚報告のために帰郷することに。
ここに彼らの友達である女性歌手と、帰郷前日に同居人になった女装趣味のオジさんが加わり、一行はイタリアの田舎町「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」を目指します。
アントニオのお父さんは実は町長さんで、町を活性化するために「多様性を!」なんて口では言っているんだけど、自分の息子がゲイだと知らされ仰天、しかも結婚相手まで連れてきてさらに仰天します。
息子がゲイと知っていたお母さんは、御一行に女子がいるのを見て「もしかして!」とつい期待しちゃったりもしたものの、お父さんに「許さないなら離婚!」と最後通告を突きつけて息子を応援。
ところがお母さんが出した結婚の条件——パオロの家族も出席すること——も、どうやら守れそうにありません。アントニオには「家族に紹介しろ!」と詰め寄ったパオロですが、実は彼もゲイであることを理由に母親とは絶縁状態なんですね。
お父さんはへそ曲げっぱなしだわ、空気読めない女装癖のオジさんがお父さんを逆なでするわ(でもこのオジさんが思わぬところで役にたつのも爆笑です)、ゲイだって言ってるのにアントニオに横恋慕する幼馴染の女子がグイグイせまるわ、二人のキスシーンを見ちゃったパオロは大衝撃を受けちゃうわ・・・様々な困難を乗り越え、果たして二人は結婚できるのでしょうか?
陽気な笑いに溢れ、それだけでも楽しい映画ですが、舞台となるアントニオの故郷「チヴィタ・ディ・バニョレージョ」の風景が、とにかく素晴らしい。2500年前(!)に作られたというイタリアのこの町は、孤立する崖の上にある「天空の都市」で、町に入る道は1本の吊橋だけ! 私のような高所恐怖症の人間は、途中で立ち止まったら最後です。これがCGじゃないのが驚き、まるでおとぎ話の世界みたい。笑って笑って、そう来たか!というラストにも、拍手喝采したくなります。
『天空の結婚式』
監督/アレッサンドロ・ジェノヴェージ
出演/ディエゴ・アバタントゥオーノ、サルヴァトーレ・エスポジト、クリスティアーノ・カッカモほか
(c)Copyright 2017 Colorado Film Production C.F.P. Srl
※2021年1月22日(金)YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテほか全国順次公開