映画、ドラマ、そして今作へ――映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』が3月13日(金)より公開。濃密な現場を重ねながら、鶴見という人物に向き合い続けてきた玉木宏さん。威圧感と愛情、狂気と静けさ――その二面性を丁寧に見極めながら演じる中で感じたのは、『ゴールデンカムイ』という作品の奥深さ。濃いキャラクターたちが生き、笑い、ぶつかり合う世界の魅力を、言葉の端々から実感させてくれた。
コメディ、文化、ミステリー――全部乗せの豊かさ

――映画『ゴールデンカムイ』・『連続ドラマW ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』を経て本作へと続きますが、映画とドラマが終わった直後、周囲の反応はいかがでしたか?
原作ものに参加させていただくとき特有の「原作ファンの方に受け入れていただけるか」という怖さは、今回もありました。でもキャストが発表された段階から、わりと好意的な反応だったので、「まず第一段階は大丈夫そうだな」と安心できた部分がありました。
実際に映画が公開されてからも、予想以上に良い反応を感じられて。現場も原作愛が強くて、キャラクター全員が原作から飛び出してきたような装いを含め、しっかり作り込めた手応えがありました。
そのときに得た自信が今に繋がっている、という感覚があり、やればやるほど僕ら演者も役を広げられるので、作品を積み重ねてきた自信もどんどん大きくなる。だからこそ“やればやるほど、良くなっていく”ように感じています。
――原作者の野田サトル先生とは、何かお話される機会はありましたか?
野田先生も現場に来られて、いろいろとお話をしました。衣装の細かなディティールや、僕でいえば額当ての部分など、細部まで本当に丁寧に見てくださっていて。ご自身がたくさん調べて、愛情を込めて描かれてきたキャラクターたちなので、そうしたディティールがどう再現されているかはすごく気になる部分だったのだと思います。

――改めて“鶴見篤四郎になる”スイッチはどんな瞬間に入るのでしょうか。
鶴見は容姿も含めてかなり特殊なキャラクターなので、特殊メイクに入る段階から徐々に気持ちが作られていきます。1時間半ほどかけてメイクが完成するのですが、仕上がった頃には完全にスイッチが入っています。
――そのビジュアル面で、特にこだわったポイントはありますか?
僕が特にこだわらなくても自然と“こだわりの塊みたいな仕上がり”になるんです(笑)。特殊メイクチームが本当に細部まで作り込んでくださるので、こちらからあえてお願いすることはほとんどありませんでした。
――今回は“網走監獄襲撃編”ですが、鶴見を演じるうえで大切にしていたことはなんですか?
鶴見は第七師団最強・陸軍最強ともいえる存在で、網走監獄に乗り込む場面でも、威圧感と勢いを持ちながらも部隊をまとめる人間として堂々と立っている。相手は700人もの囚人という圧倒的な数なのですが、やるべきことを淡々とやりながら前に進むような落ち着きと、どこか興奮しているような危うさ――その塩梅はとても大事にしました。

――特有の“変態さ”が『ゴールデンカムイ』らしさのひとつですよね。鶴見も独特の変態性を有する人物ですが、作品を重ねて、その度合いに変化はあったのでしょうか?
ここまで積み重ねてきたので、そのバランスは掴めているというか、“ここまでやっても成立する”という自信みたいなものはあります(笑)。ただ、やりすぎてキャラを超えてしまうと、それはトゥーマッチになってしまうので、そのギリギリのラインは常に見極めなければいけないと思っています。
とはいえ、僕が参加していないパートではもっとすごいことが起きている世界なので(笑)、絶対に成立するだろうという安心感はずっと持ちながら演じています。
――鶴見を愛する部下たち・第七師団メンバーのわちゃわちゃ感も含め、すごくチームワークの良さを感じます。
現場では、相手がどんな芝居をしてくるのかテストで初めて分かることが多いんです。(中川)大志くんが演じる鯉登のクレイジーなテンションも「そこまでやるんだ…」と思うくらいで(笑)。テストの段階では本当に笑いそうになって、こらえるのが大変です。でもその芝居を見て、本番ではもっと振り切ってくるんだろうなと構えられるので、それを逆に楽しみにしていました。
――映画一作目、ドラマ、そして今作へと進む中で、第七師団のキャスト陣と共に過ごす時間も増えていると思いますが、現場の雰囲気いかがでしたか?
一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、距離感は自然と縮まっていきます。もともと知っているメンバーも多かったのですが、『ゴールデンカムイ』という作品を通して、同じ時間を長く共有して、さらにロケ先ではみんなで外食をしたり…そういう積み重ねがどんどん絆を強くしてくれる感覚がありました。だから、やればやるほどチームワークが良くなっていくのを実感しています。
――親密度もかなり変わってきている感じでしょうか?
そうですね。芝居だけではなく、普段からどれだけコミュニケーションを取れているかで、現場での安心感が全然違うんです。「この人はこう来るだろう」という予測ができるので、無駄な心配がなくなる。だから撮影以外の時間も含めて、ああいう交流の場は大事にしたいと思っています。作品としての熱量も、チームとしての結束も、そこで育っていく感覚があります。

――今作における“鶴見篤四郎”という人物の、注目してほしいポイントを教えてください。
主人公の杉元がいて、第七師団の面々がいて、いろいろなキャラクターが入り乱れる『ゴールデンカムイ』という作品のなかで、互いに芝居のキャッチボールをしてこそ、鶴見の魅力が引き立つのではないかなと思います。
そのなかで、鶴見が出てきたときの“圧倒的な畏怖”という存在感や、同時に第七師団のメンバーに対して見せる深い愛情――良い意味での二面性を感じてもらえると、鶴見という人物の奥行きがより伝わると思っています。
――これまで鶴見を演じ続けてきて、そして改めて『ゴールデンカムイ』という作品をご覧になって、どんな作品だと感じていますか?
『ゴールデンカムイ』は、本当にいろんな要素が絶妙なバランスで成り立っている作品だと思います。コメディのパートや、アイヌ文化を知るきっかけになる描写、金塊を巡るミステリー要素もある。
これだけエンターテインメント性が高く、バランス良く成立している作品は、なかなかないと感じています。キャラクターも本当に濃い人たちばかりなのに、それぞれにしっかりエピソードがあって、誰についても掘り下げられる余白がある。
だからこそ原作ファンはもちろん、原作を読んだことがない方、老若男女問わず、幅広い人が楽しめる作品だと思います。
――たしかに、たった2時間の中でいろんな感情が揺さぶられる稀有な作品ですよね。
そうですね。主人公ひとりの物語、というわけではなくて、みんなキャラクターが立っているからこそ、次々とドラマが生まれていく。それがこの作品の大きな魅力だと思います。
【3月13日公開!】映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』

キャスト/山﨑賢人
山田杏奈 眞栄田郷敦 工藤阿須加 栁俊太郎 塩野瑛久 稲葉友 / 矢本悠馬
大谷亮平 高橋メアリージュン / 桜井ユキ 勝矢
中川大志・北村一輝・國村隼
池内博之 木場勝己 和田聰宏 杉本哲太 / 井浦新
玉木宏・舘ひろし
原作/野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督/片桐健滋
配給/東宝
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玉木宏(たまきひろし)
1980年1月14日生まれ。ドラマ「せつない」(98)で俳優デビュー。映画『ウォーターボーイズ』(01)で注目を浴び、『雨鱒の川』(04)で映画初主演を飾る。連続テレビ小説「こころ」(03)や「あさが来た」(15-16)、映画化もされた「のだめカンタービレ」シリーズ(06-08)など多くの話題作に出演。近年の出演作に『極主夫道 ザ・シネマ』(22)、『キングダム』シリーズ(22-24)、『沈黙の艦隊』(23)、「ジャンヌの裁き」(24)、『十一人の賊軍』(24)、『雪風 YUKIKAZE』(25)、Netflixシリーズ「イクサガミ」など。 2026年1月フジテレビ系ドラマ『プロフェッショナル 保険調査員・天音蓮』が放送中。
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