ファッションブランドから季節を先取りして発表されるコレクションは、そのルックを目にするだけでも心が躍る素敵さ。眺めるだけでなく、そこからおしゃれのアイデアをピックアップして活かしみる。そんな楽しみ方のすすめ。【連載「青木貴子のラグジュアリー案内」】
プレコレクションのリアルなプレゼンテーションに注目


連日猛暑日の酷暑が続いています。そんななか、ファッションブランドの店頭には来月に入ると秋物がちらほらと並び始めます。うだるような暑さだと、秋物を手に取るのも試着するのも勇気がいります。いくらファッション好きでもちょっと待って!となってしまいますよね(笑)。
さてさて実売で秋物が並び始める今日この頃ですが、ファション界ではもう次のシーズン、2026年のプレスプリングコレクションが発表されています。いますぐこれを着たい!と思うジャストタイミング。目新しいからついつい見入ってしまいますが、これを買えるのは来年までお預け。でも、先すぎて関係ない!なんて思うのは早計、プレスプリングのお洋服、実はスタイリングの参考にとってもなるのです。
大体のブランドは春夏・秋冬の2シーズン毎にプレコレクションとメインコレクションを発表します。ブランドの威信をかけて気合を入れ、注目度の高いアイテムを発表するのはメインコレクション。華やかでファッショナブルなものが多く、見ていてワクワクします。が、その分リアルに着こなすのは難しいかなって思うルックも多いのが実情。
一方、そんなメインコレクションと違って実際に着やすい服を多く発表する傾向にあるのがプレコレクション。ブランドのアイデンティティをさりげなく注入しているので、素敵な雰囲気を気負わないで着ることが出来る服といえます。そしてそれに伴ってルックのコーディネートもリアルクローズ寄りになり、これがほんとお手本にしたいヒント満載なのです。

たとえば、3.1 Phillip Lim(3.1 フィリップ リム)の2026プレコレクションはニューヨークに住むひとりの女性のワードローブというイメージでコレクションを展開しています。彼女はチェルシーのアートギャラリーで感性を磨き、セントラルパークで鳥のさえずりに耳を澄ませる。――その設定だけでセンスが良さそう!と期待が膨らみます。
そして展開されたルックは、カジュアルなブルゾンにフェミニンなギャザースカートだったり、ベーシックな形のクルーネックカーディガンにティアードスカートとデニムパンツをレイヤードしたボトムスを合わせるなど、コーディネートの工夫次第でシンプルなアイテムをスタイリッシュな装いに変化させられる!といったスタイリングテクニックが散りばめられているのです。

そう、持っているアイテムに何かプラスワンするだけで毎日のおしゃれがうーんと楽しくなっちゃうというテクを学ぶことが出来ます。早速真似してみたいわって感じです。プレコレクションは季節的にも長く着られる素材のものが中心なのでお得でもあり、私のワードローブもプレものが占める割合が大きいです。
清澄白河のギャラリーで感性を磨いて、新宿御苑で鳥のさえずりを楽しもうかな、なんて自分の行動設定をお洒落な感じにしてみたりするのも楽しそう。すると着こなしもいつもと違ってくるのでは? 暑くてお洒落を手抜き気味にしていたあなた、来年のプレコレクションの着こなしを取り入れてお洒落に夏を乗り切りましょう!
3.1 Phillip Lim Japan | 3.1 フィリップ リム ジャパン
https://31philliplim.com/