連載「青木貴子のラグジュアリー案内」。スタイリストの青木貴子さんが、注目のニュースを独自の視点で解説。
125年間変わらないグローブ・トロッターのキャリーオン
グローブ・トロッターといえばトラディショナルで端正なデザインのトランクを誰でも思い浮かべますよね。最初にグローブ・トロッターを知ったときの驚きは、きっとその素材が紙でできているということだったのではないでしょうか? かく言う私も「え? 紙のトランクって壊れたりしないの!?」という素朴な疑問を抱いた1人でした。
グローブ・トロッターのトランクはヴァルカン・ファイバーボードと呼ばれる特殊な紙の素材でできています。コットンパルプや木材パルプを原料とし、そこにさらに特殊な加工が施され作られたもの。優れた強度と耐久性に富み、なんと心配ご無用! 象が乗っても壊れないほど頑丈なのだそう。
1897年(ヴィクトリア朝時代)の創立以来この素材を使い続け、当時のままの工程や手法を125年間継承しながら、今もイギリスの工房で職人による手作業で作りあげているグローブ・トロッターのスーツケース。形も素材もほぼ変わっていないなんて、当時としては本当に画期的で革新的なトランクだったということですね!
グローブ・トロッターからカーボンファイバー製のキャリーオンが登場
丈夫で軽量、いつの時代も素敵な旅に寄り添いたいという思いのもと、グローブ・トロッターでは現代のライフスタイルにマッチした先進の素材の導入も続けています。そして今回新しくカーボンファイバー(炭素繊維)を使用した新シリーズ「センテナリーカーボンコレクション」が発売されることになりました。
この素材は車のル・マン24時間耐久レース、エクストリームE、世界ラリー選手権などで成功を収めているモータースポーツ技術集団Prodriveと提携し開発されました。カーボンファイバーは軽量かつ高剛、高強度の素材として車のパーツとしても使用され、各産業分野からも注目を集めているマテリアル。そこに着目して使用するとは、さすが独自の素材開発に歴史があるグローブ・トロッターならでは。
今回登場したのは複合素材からなる3つのラゲット。1つはツイルカーボンファイバー。カーボンファイバー繊とブラックレザー、ブラック×ブラックのコンビネーションはクールな印象。
フォージドカーボンファイバーは、巨大な圧力で形成される素材で、2つとして同じ模様がないらしくそのオリジナリティが魅力。世界に1つとあっては、さらに愛着が増しそう。
最後のフラックスは複合技術の最先端を行く素材。こちらは持続可能な天然素材ながら、最新のGTカーなどにも使用されているのだそう。色味は落ち着いたディープブラウン。
いずれのモデルもコーナー、ストラップ、ハンドルには丈夫でラグジュアリー感のあるベジタブルタンニンレザー、内側はマイクロスエードと、こちらもこだわった先進素材が使用されています。
どのモデルもこれまでのシリーズより随分とスタイリッシュな印象。旅は行く先や季節によってまったく違う格好をするわけですが、カーボンコレクションのトランクはどんなシーンにもピタリとマッチしてくれそうです。
ラグジュアリーホテルでは良いゲストかどうかの判断基準としてトランクの格を見ているという話も聞きます。心地よい接客を受けるためにも、良いトランクは良い旅に欠かせない相棒と言えます。
長期間メンテナンスが可能なグローブ・トロッターのトランク。素敵な人生の彩りとなるさまざまな旅のお供として、考えてみてはいかがでしょうか?
グローブ・トロッター
https://jp.globe-trotter.com/
【青木貴子のラグジュアリー案内】をもっと読む。