スタイリスト青木貴子さんによる、素敵な人に一歩近づく生き方指南。こんな時代だからこそ、前を向いて歩いていくためのヒントをお届けします。
まだ暑い日はあるけれど、すっかり秋めいてきましたね。この間衣替えをしたと思ったら、もうまたその季節! 装いが変わると、気持ちも変わっていきます。軽やかな夏の素材から、ちょっと生地の厚さが変わっただけで、それこそ肌感覚が変わってくる。不思議なものでそうすると、気持ちも変わってくる。服って心と本当に密接なんだなぁって思います。
季節が秋に変わると何となくメインとしては着づらくなる色があります。その筆頭は「白」じゃないかと思うのです。白なんていつでも着られるじゃん!って思われがちですが、白という色、素敵に着るにはけっこう季節が限定されるカラーと言えます。
メインとは、その色がコーディネート全体の7割以上を占めるという意味。たとえばアイテムで言うとワンピースやセットアップ、コートなど。部分的に白をインナーやボトムスで着ると言うのであれば、もちろん白は季節問わず年中着用できる色ではあります。
白以外だと蛍光色や発色の良い色味も同じように、メインとして着るには素敵に見える時季とそうでない時季がある色味と言えるでしょう。
白が映える時季はいつ?
白をメインで着て素敵に見える時季は、初夏から8月31日、そして12月1日頃から3月末くらいまで。すごくしっかり刻んでいますが、白が素敵に見えるのはズバリこの時季です。
9月1日から11月30日までは白をメインで着ているとなんだか感度が低く見えます。9月に入っても真っ白な服装でいると季節感がないひと=感度の鈍いひとというふうに見られてしまいます。逆に冬の白はおしゃれに見えますから、12月からはどんどん取り入れてみてください。これは理屈じゃなく、そういうものだと思ってください(笑)。
服装はその人の外見を作るだけでなく、内面を表します。TPOやいろいろなことに敏感かどうかもぜーんぶダダ漏れなんです。みんな毎日自分の個人情報を見せて歩いていると意識してください(笑)。テキトーな格好じゃ出られなくなりませんか? 気張ったおしゃれをする必要はないけれど、気を配った服装はどんなにカジュアルであっても素敵に見えます。
なぜ白を着ることが魅力に繋がるの?
物事には“適切な”時季や意味があります。それを意識しているのといないのとではいろいろなことに大きな差が出てきます。白を適切な時季に着るというのは“適切を知る”訓練になります。“白を着る時季を決める”でなくても良いのですが、「適切」を自分の中で意識するようになると“チャンスを逃さない”ようになります。
「タイミングを見極められるひと」って間違いなく魅力的です。場の空気を読むのもそう、タイミングを外さないようになると、楽しいことが格段に増えます。
白は何にでも染まりますが、染まった時点で白ではなくなります。黒にちょっと青を混ぜてもその差はあまり良くわからないけれど、白にピンクをちょっと入れると変化がすぐにわかります。白は少しの差異も隠せない特別な色なのです。
凛とした、清潔感漂う素敵な色だからこそ、着るひとの持っているものをそのまま表現します。ズボラなひとが白を着ても清潔感が出ない、それくらいそのひとのまんまが透けて見えちゃう色、ちょっと怖いくらい。だからこそ白を美しく着こなせたらとっても素敵に、魅力的に見えること間違いなし、なのです!
今はちょうど外出着として白はメインを張れない時季なので(勝手にそう決めてますが)、白のスエット上下やカットソーワンピースなど、お家の中では全身白で過ごしてみてはどうでしょう? 白は浄化の色でもあります。リラックスや癒しも感じられますし、また贅沢な色でもありますからエレガントな気持ちにもしてくれます。また髪の傷み具合や体型など、ありのままの自分を映し出してくれるから、改善したいポイントも見つかる。白は自分磨きも促してくれ、その効果は絶大です。
冬になったらぜひ“おしゃれな冬の白”を着こなしてください。これからの数ヵ月は、“おうちで”白に慣れておく、まさに絶好のチャンスです!