あなたの一番好きな香りは何ですか? それに答えられず、ハッとするアラサー女性は少なくないはず。香りは癒やしの効果だけではありません。香りは時に輝きとなり、自信になる、その魔力をまだ知らない人へ。美容ジャーナリスト齋藤薫さんが、クセになる香りの選び方を教えてくれました。
あなたはまだ出会えていない「クセになる人、クセになる香り」とは?
1. 誰かに褒められた香りは、それだけで人たらし
「いい香り」「いい匂い」・・・誰かにそう褒められたことがあるだろうか?
褒められるともっと褒められたくて、またその香りをつけて出かける・・・それは極めて正しい自分の香りとの出会い方。
褒められる香りは、その人自身を「クセになる女」へと、導く魔性を持っている。一度でも褒められた香りは、自分にとってそういう役割を持たされた香りと考えて。
2. ロングセラーを侮らない。優しい中毒性の証だから
長く愛されている香りには、ちゃんと理由がある。
多くの人を魅了して、虜にし、クセにさせる「何か」がある。
時々、偶然なのか必然なのか、奇跡のバランスを持った香りが現れるもので、ロングセラーは理屈抜きにある種の奇跡。
つける人自身も、周囲までも、もっと嗅いでいたいという衝動を生む「優しい中毒性」は、本当の意味でクセになる証。
3. ドラマがあって普遍的、そういう特別感を纏う
最高の素材を使って、現代最高の調香師が手がける究極。
自然界が宿す清々しさの極限に挑むような究極。ランドリーの香りの極上を再現する究極。
あまたあるフレグランスのなかでも、そうした最大級のこだわりを持った香りが、同時に普遍的な美しさを併せ持ったとき、それこそ圧倒的に素晴らしい香りが出来上がる。
それはもう本当に文句なくクセになる香り。
いやクセにすべき香りなのだ。
4. “どこの香り?”と聞かせるのは、理屈抜きの引力
女性が女性の香りを褒めるとき、まずは「どこの香り?」と聞く。
服やバッグも同じ、「それどこの?」と聞かれるのは掛け値なしの明快な評価。誇りに思っていいと思う。
スペックもブランド名も、何もかも越えたところで、その人がつけている香りを私もつけたいと思わせる、それは、まさに理屈抜きに人を惹きつける香り、クセになる女が纏うにふさわしい香りである。
5. どんな香りかわからない、“曖昧”こそ美しい
輪郭がクッキリした香りより、どこか曖昧で何度つけてもどんな香りかわからない、ひと言でどういう香りと言えない・・・そんな複雑にして奥行きある香りこそ、知りたい知りたいと思わせ続ける意味で、本当にクセになる。
周囲が、これって香水の香りなの? それとも彼女の香りなの? そう悩むほどに曖昧な香りこそが、クセになる香りと言えるのだ。
齋藤薫さんセレクト!一生寄り添う”クセになる香り”5選
CHANEL ココ マドモアゼル
「それこそ、タクシーでも運転手さんに褒められる香り。これほどバランスの取れた魅力あふれる香りはないからこそのロングセラー」
2001年に誕生。これまでになかったオリエンタル フレッシュというハーモニーは、世界中で賞を総なめ。オレンジなど柑橘系のトップに、ローズ、ジャスミンの花が咲き、ラストにパチェリやバニラ、ホワイトムスクが解き放たれる。時代を超えて愛されるセンシュアリティな香り。
JO MALONE LONDON
「香りの概念を変えた人気No.1ブランド。ここまでシンプルなのに、ふたつの香料を主役にするスタイルがどこにもない香りを作った」
単品使いはもちろん、重ねづけするコンバイニングでオリジナルの香りを纏うのもおすすめ。〈右〉ピオニーの花から始まり、官能的なスエードに。〈中〉ブランドNo.1人気。熟したての洋ナシを思わせる香り。〈左〉セージがメインのアクアの香りで、気分も穏やかに。
The Different Company オスマンチュス
「高価で変質しやすい金木犀を、この1本に20キロも使った天然香料だけの上質感。すべてに最上級を狙ったこのブランドは一度試すべき」
真の香りの贅沢を教えてくれるのが、ザ ディファレント カンパニー。その名になっているオスマンチュスとは、金木犀のこと。中国原産のオレンジの花に、ベルガモット、マンダリン、ジャスミン、ムスク、ローズなどを加えた、忘れられない贅沢なフローラルの調べ。
DAWN Perfume フォーミュラ エックス
「一人ひとりが宿す香りを占うための診断用香水は、まさに人肌の温かみを持ち、その人の一番美しい香りを引き出す中毒性のある香り」
このフレグランス独自のスキンパフュームとは、従来の身につける香り立ちとは異なり、その人が持つ肌の香りを内側から引き出して香らせるというユニークなもの。だから人によって、日によって異なる香りを醸し出す。本国アメリカではベストセラーアイテム。
CLEAN リザーブ ウォームコットン
「洗いたてのシーツに包まれる清らかな幸せを再現したクリーンの傑作ウォームコットン。ひとつ上の素材を用いたリザーブこそ普遍的名香」
つけるたびに幸福感で満たされるかのよう。爽やかなのに温かい心地よさを演出しているのは、フローラルコットンと華やかなリリー。アルデヒドジンジャーやウォータリーノートの奏で、ベチバーとインセンスが奥行きを与える。彼ともシェアできる優しいエキゾチックな香り。
齋藤薫(さいとうかおる)
美容ジャーナリスト・エッセイスト。美容、ファッション、人、物、映画などエッセイのテーマは多岐。香りについても造詣が深い。女性誌『GINGER』の連載「美脳格言」も大人気。