実際の金密輸事件に着想を得て描かれる、3人の女性の“人生の再起”をかけた映画『マジカル・シークレット・ツアー』6月19日(金)より公開。有村架純さん・黒木華さん・南沙良さんが初共演を果たし、社会の片隅で追い詰められた女性たちが、思いがけない“密輸”をきっかけに自分の人生を取り戻していく姿を鮮烈に体現する。スリルとユーモアが同居するこの物語を、有村さん・南さんの言葉からひもといていく。
正しいことと生きることの狭間で

南沙良さん(以下、敬称略) この作品を象徴するような、シンガポールで3人が走り出すシーンがすごく好きです。きっとそれまで、自分のためというより誰かのために生きてきた人たちが、“自分の人生がある”って気づく瞬間なんじゃないかなって思っていて。あそこでようやく動き出すというか、取り戻そうとする感じがすごく爽快でした。
有村架純さん(以下、敬称略) 3人とも、それぞれの環境で、目に見えない圧だったり、誰かに言われた言葉にずっと縛られている人たち。前に進みたいのに、どうしても引っ張られてしまう“何か”とずっと戦っているというか。周りから「あなたはこういう人でしょ」って決めつけられて、そのままがんじがらめになってしまうもどかしさがある。そういう感覚って、きっと私たちが生きているなかでも少なからずあると思うんです。私が演じた和歌子が「決めつけでしょ。いっつもそう!」って怒るシーンがあるんですが、あの言葉はすごく刺さりました。本当は言いたいけど言えない気持ちというか、あれが言えたら、何かが変わるかもしれないって思える瞬間だなと思いました。
南 抑えられていたものが一気に解放されるようなシーンでしたよね。このお話は、単純に“善い・悪い”では分けられないなって思うんです。社会的に弱い立場にいる人たちだったり、声にできないものを抱えている人たちの話でもある。
有村 そうだね。彼女たちにとっては、それが“手段”だったというか。逃げ道というよりは、その選択を取らざるを得なかった状況があったんだろうなって思います。
南 だからこそ、見せ方も難しかったです。
有村 演じるうえではあまり重たくしすぎないで、むしろどこか滑稽に見えたり、ちょっと笑えてしまうようなトーンがいいなと思っていて、それはみんなに共通していた感覚だったよね。彼女たちが金の密輸をしている時間を、楽しそうに見せることが大事なんだって。客観的に見ればもちろん肯定できることではないんですけど、彼女たちにとってはその時間が、自分らしくいられる瞬間でもあったのかなと、台本を読んで感じていました。
南 私は、そういう“選ばざるを得ない状況”みたいなものって、普段の生活にもある気がしていて。環境ってすごく不平等で理不尽だなと、今回の撮影を通して改めて感じました。正しいことと、生きることのあいだで揺れることって、誰にでも少なからずあると思うんです。だから私は、この役にはすごく共感しやすかったです。
唯一無二の存在感


有村 沙良ちゃんは、本を読むのが好きな方という印象があって。だから想像力だったり言葉のボキャブラリーだったりが豊富で、内側にいろんなことを秘めている方なんだろうなと。あと、ご自身のことをあまり語りすぎないところもあって。それがまた魅力だなと思うんです。「本当の沙良ちゃんってどんな人なんだろう」と、ずっと見ていても掴みきれない。そのミステリアスな感じがすごく好きで、もっと知りたいって思わせてくれる方だなって思ってます。
南 うれしいです(笑)! でもそれで言うと、有村さんもすごくミステリアスな印象があります。
有村 私も?!
南 すごく穏やかで優しい空気を持っているんですけど、そのなかにすごく芯の強さがあって。凛としているというか。お話しすればするほど、「どんな方なんだろう」って、私も思うんです。
有村 お互い様だね(笑)。
南 だからもし有村さんの才能を盗めるとしたら……全部です(笑)!
有村 え〜全部(笑)?
南 お話ししているときもそうなんですけど、お芝居しているときに有村さんが存在しているだけで引き込まれるんですよね。自然と姿勢が前のめりになるというか、引っ張られる感覚があって。それってなかなか感じないものなんです。
有村 うれしい。沙良ちゃんは、スッと立っているのに、内側にすごく奥ゆかしさがあって。その奥行きがどこまで続いているんだろうって、つい掘り下げたくなる。体は華奢なのにダイナミックな存在感があって、それが本当にステキだし、欲しいところです。
【6月19日(金)公開】映画『マジカル・シークレット・ツアー』

出演/有村架純、黒木 華、南沙 良、塩野瑛久、青木 柚、斎藤 工 ほか
監督/天野千尋
脚本/天野千尋 熊谷まどか
配給/アスミック・エース
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本作のノベライズ小説(著/天野千尋)が発売中! 詳細はこちらから。
有村架純(ありむらかすみ)
1993年2月13日生まれ、兵庫県出身。2010年テレビ朝日ドラマ「ハガネの女」でドラマ初出演。映画『ビリギャル』(15)で主演を務め、日本アカデミー賞優秀主演女優賞・新人俳優賞をW受賞。『ひよっこ』(17/NHK連続テレビ小説)で主演を務め、『花束みたいな恋をした』(21)では、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。近年の主な出演作に「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」(22/TBS)、「どうする家康」(23/NHK 大河ドラマ)、『ちひろさん』(23)などに出演。「さよならのつづき」(24/Netflix)、「海のはじまり」(24/フジテレビ)、『花まんま』(25)、『ブラックショーマン』(25)などがある。放送中の日曜劇場「GIFT」(26/TBS)に出演している。映画「さとこはいつも」が9月18日に公開予定。また、舞台「キュー」への出演を控えている。
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南沙良(みなみさら)
2002年6月11日生まれ、東京都出身。『幼な子われらに生まれ』(17)で俳優デビュー。初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)で、報知映画賞、ブルーリボン賞ほか数々の映画賞を受賞。映画『この子は邪悪』(22)、「光る君へ」(24/NHK 大河ドラマ)などで活躍を重ねる。近年は『愛されなくても別に』(25)、『万事快調〈オール・グリーンズ〉』(26)、『禍禍女』(26)などで主演を務めるほか、香港映画『殺手#4』(キラー・ナンバー4)などにも出演。
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