當真あみさんが声優を務める劇場アニメ『パリに咲くエトワール』が3月13日より公開。まっすぐで明るいフジコを演じるため、普段の自分とは違う声のテンションや柔らかさをひとつずつ拾い上げ、丁寧に命を吹き込んだという。夢に向かって一歩踏み出す主人公たちの姿に「思っているだけじゃなく、動くことが大事なんだと気づかされた」と語るその横顔は、夢を追う人の背中を優しく押すフジコそのものでした。
フジコの明るさが教えてくれた、前を向く力

――アニメをよく観るという當真(とうま)さん。ハマったきっかけを教えてください。
中学生のときにコロナで休校になった時期があって、そのタイミングで一気にハマりました。最近だと『葬送のフリーレン』の第2期が始まりましたし、『転生したらスライムだった件』や『ハイキュー!!』などを観ています。
――アニメーションの魅力をどんなところに感じていますか?
アニメは、現実とはかけ離れた世界に見えるんですけど、登場人物たちの感情がすごくリアルに伝わってくるんですよね。そこが一番の魅力だと思っています。アニメだからこそできる演出や世界の広がりがあって、それにすごくワクワクします。
――そんな憧れのフィールドに声優として参加している劇場アニメ『パリに咲くエトワール』がいよいよ公開されます。
声のお仕事をいただけるのはすごく嬉しいです。でもその一方で、本当に難しいお仕事なんだなと改めて感じました。映画やドラマなどの映像とはまったく違う技術や表現が必要で、「こんなに繊細で大変なことをずっと続けているんだ」と思うと、プロの声優さんは本当にすごいです!
――2022年にはアニメ映画『かがみの孤城』で声優を務められましたが、どんなことを学びましたか?
事前に、この役がどう動くのか、そのときはにどんな声が出るのかをしっかり準備しておかないといけないんです。映像のお芝居ではそこまで意識していなかった、小さな息遣いや細かなニュアンスが、声のお仕事ではとても重要だと教えてもらいました。前の経験で学んだことがたくさんあったので、今回はそれをちゃんと活かせるように意識していました。

――完成をご覧になっていかがでしたか?
今回、私がアフレコを一番最初に担当させていただいたので、他の方の声も含めて、全編を通して観たのは完成試写が初めてでした。「こういうふうになっていたんだ」という驚きと、皆さんの声が作品全体に息づいていることへの感動がすごく大きかったです。
映像も本当に素晴らしくて、アフレコ時には想像で補っていたシーンも、すべて完成された美しい世界観として目の前に広がっていて、そのキレイさに心を掴まれました。
――アフレコ時は未完成な部分も多かったんですか?
アニメーションが動いている部分もありましたが、バレエのシーンなどはまだ完成前のカットも多くて。声を吹き込んでいるときは、「どんな仕上がりになるんだろう」と想像しながらの作業が多かったです。
――100年前のパリが舞台、そしてキャラクター原案が『崖の上のポニョ』や『魔女の宅急便』の近藤勝也さんということも、話題のひとつですよね。
まず、作品全体の可愛らしさにすごく惹かれました。フジコや千鶴もそうですし、周りのキャラクターたちの顔つきも柔らかくて、どこか優しさがにじんでいて。背景の景色は本当に繊細に描かれていますし、登場人物が着ているお洋服も驚くほど細かく作り込まれていて、そうした丁寧な表現の積み重ねがこの作品の魅力だと感じました。いろんな方の心を掴むようなデザインだと思います。
――今作は少女2人が夢を追い求めて異国で奮闘するサクセスストーリーです。
この作品は、夢を追いかける人の背中を後押ししてくれる作品だと感じました。映画のなかでは主人公の2人が懸命に夢を追う姿が描かれていますが、その過程で出会う人たちの温かさや、先を行く先輩たちがかけてくれる言葉など、すごく大切なものがたくさん詰まっているんです。だからこそ、どんな立場の人が観ても、自分の経験に重ねて受け取れる作品になっているんじゃないかなと思いました。

――當真さんは画家を夢見るフジコを演じています。
フジコちゃんは、すごくまっすぐで、自分の気持ちにも相手にも素直に向き合える女の子。夢を追いかけるためにひとりでパリへ向かうのですが、フジコが生きている時代を考えると、それは本当に大きな決断で、勇気のいることだったと思います。自分の意思を曲げずに貫き通す強さがあって、さらに周りの人たちへの気遣いや、背中を押してあげられる優しさも持っている。こんな子が隣にいてくれたらきっと心強いだろうな、と思えるキャラクターです。
――観ている人の気持ちを自然と引っ張ってくれるようなキャラクターですよね。
彼女が発する言葉って、本人はそんなつもりがなくても、誰かの支えになっていく力があるんです。フジコちゃんのセリフに“そうやって思っていればいいんだ”と気づきをもらえたり、勇気をもらえる瞬間があって。演じながらフジコちゃんの言葉に背中を押されるようなところがありました。
――その明るさやまっすぐさを表現するためにはどんなことが必要でしたか?
「“光”のような明るさは意識してほしい」と監督やスタッフさんとお話ししていたので、声色やテンションの作り方には特に気をつけました。たとえば、弾むように話したり、ちょっとした語尾の明るさだったり。普段の自分とはまったく違うキャラクターだからこその大変さも感じつつ、演じていてすごく楽しかったです。
――もうひとりの少女、千鶴の声優を務める嵐莉菜さんとはとても仲良しだと伺っています。
とても仲が良くて、会えるとうれしいです! 莉菜ちゃんとは「フジコと千鶴のイメージって、私たち真逆だよね」とよく話しています(笑)。私自身はどちらかというと引っ込み思案なところがあって、自分を強く前に出すタイプではないので、千鶴に少し共感する部分もあって。莉菜ちゃんとはドラマ「ちはやふる -めぐり-」で共演しましたが、その撮影が終わったあとも「この作品があるからまたすぐ会えるね」と話していて、実際に一緒にプロモーション活動に臨むと、すごく心強い存在です。

──この作品は“夢”が大きなテーマですが、當真さん自身は、夢は叶えたい派ですか? それとも、持っているだけで前に進めるタイプでしょうか。
夢は、持っているだけでも頑張る理由になるので、すごく良いことだと思うんです。でも私は、なりたいものや欲しいものがあるなら、それをしっかり叶えていきたいタイプ。だからこそ、目標に向かって努力して、最後はちゃんと掴み取りたいと思っています。
──フジコが千鶴の夢を応援する姿が印象的ですが、當真さん自身は、誰かに応援されたいタイプですか? それとも、一人で静かに頑張るタイプ?
どっちもあります。ひとりでやりたいときももちろんありますし、“ちょっと背中を押してほしいな”ってときは、母に連絡したりします。話を聞いてもらって、「頑張ってね」って言ってもらうだけでもすごく心強いです。
──素敵ですね。では最後に、この作品を通じて、夢に対する考え方に変化はありましたか?
ありました。主人公の2人が勇気を持って一歩踏み出す姿を見て、「思っているだけじゃダメなんだな」と感じました。やりたいと思った瞬間に動いてみることで、新しい道が開けることもある。迷ってやらずに後悔するより、2人のようにちゃんと行動して前に進みたい。自分自身も、そうやって新しい一歩を踏み出していきたいと思いました。
劇場アニメ『パリに咲くエトワール』

キャスト/當真あみ 嵐莉菜 早乙女太一 門脇麦 尾上松也 角田晃広 津田健次郎 ほか
原作/谷口悟朗・BNF・ARVO
監督/谷口悟朗
配給/松竹
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當真あみ(とうまあみ)
2006年11月2日生まれ、沖縄県出身。2022年1月ドラマデビューし、同年アサヒ飲料「カルピスウォーター」14代目イメージキャラクターに抜擢され、一躍話題となる。アニメ映画『かがみの孤城』(2022)で主人公の声を担当、NHKドラマ『ケの日のケケケ』(2024)でドラマ初主演を務めた。2025年には、ドラマ『ちはやふる~めぐり~』で主人公を務め、『ストロベリームーン』で長編映画初主演を務めた。今後の待機作に、4月17日(金)公開の映画『人はなぜラブレターを書くのか』、5月より舞台『ハムレット』などがある。
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