キャリアの、その最初の一歩を踏み出したふたりの俳優・阿佐辰美さんと菊池日菜子さん。お互い初めての時代劇の撮影で見つけた大事なもの。愛し始めたものとは。
愛に囲まれて仕事が何なのか、知っていく
「僕は不器用なので、思っていること、感じていることがそのままカメラの前でも出てしまうタイプだと思うんです。だから、菊池さんとは仲よくしすぎたらいけない、そう思ってあえて距離をとっていました」
阿佐辰美さんは、菊池日菜子さんと初共演したドラマ「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」の撮影をそう振り返る。池波正太郎原作の大ベストセラー時代小説を新たに映像化した本作、松本幸四郎さんや松平健さんなどそうそうたる役者陣のなかで、ふたりは時代劇に初挑戦した。お互いを想いながらも、それを伝えられない…ふたりが演じたのはそんな男と女。菊池日菜子さんは言う。
「作品のなかでは曖昧な関係のふたりですから、私も現場ではあまり阿佐さんに話しかけることはせず、なんとなく目で追っている、そんな空気感で過ごしました。特にお互い『この撮影中、あまり話さないようにしよう』と決めたわけではないのですが、自然とそうなりました。私たちの緊張感がそのまま作品に映っていたらいいなと思います」
俳優としてのキャリアをスタートさせたばかりのふたりは今、自分たちの仕事に、愛を感じ始めていると言う。
「僕はいつか年齢を重ねてから、時代劇に挑戦できたらと殺陣を練習していました。デビューして2年目、こんなに早く時代劇をやらせていただけて驚いています。現場はすごい熱量、そこでの大先輩方の姿も見させていただき、改めて時代劇、そして演じるという仕事への想いが募りました」
阿佐さんの言葉を聞いて菊池さんも頷く。
「撮影現場にはたくさんの方がいて、皆さんそれぞれこだわりがあります。それは紛れもない、作品や仕事への愛です。そういう方々の愛に囲まれて、俳優として自分に何ができるのか、考えています」
テレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」
原作/池波正太郎『鬼平犯科帳』(文春文庫刊)
監督/山下智彦
出演/松本幸四郎
市川染五郎 仙道敦子 中村ゆり 火野正平
本宮泰風 浅利陽介 山田純大 久保田悠来 柄本時生
山口馬木也 菊池日菜子 阿佐辰美 原沙知絵
橋爪功 松平健
※2024年1月8日 時代劇専門チャンネル(CS292)にて、ひる1時/よる7時 同日2回放送
https://www.jidaigeki.com/onihei/
阿佐辰美(あさたつみ)
2000年8月27日生まれ、大阪府出身。’22年俳優デビュー。ドラマ「夫婦が壊れるとき」「ブラックポストマン」、映画『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』などに出演。趣味は映画鑑賞、スノーボード。特技は殺陣と腹踊り。
菊池日菜子(きくちひなこ)
2002年2月3日生まれ、福岡県出身。’20年俳優デビュー。映画『私はいったい、何と闘っているのか』、ドラマ「18/40~ふたりなら夢も恋も~」などに出演。映画『月の満ち欠け』で第46回 日本アカデミー賞新人賞を受賞。特技は書道とハンマー投げ。