アイドルとして、俳優として。さまざまな表現を常に全力で模索し続ける中島健人さん。その内側にある美しさと強さに迫る。
幸運をモノにする、そのための死ぬほどの努力
中島健人さんには、「強か」という言葉がよく似合う。「したたか」、その言葉には「粘り強く、他からの圧力に屈しない」(大辞泉)、という意味もある。
海外ドラマへの出演が決まり、映画『おまえの罪を自白しろ』では、サスペンス映画で初の主演を務め上げた。今、俳優として波に乗っている中島さんは、まさに粘り強く奮闘している。
「アメリカに行った際に、キャスティングディレクターの方が、『50%の死ぬほどの努力と、50%の運が、映画ビジネスを生きる人には必要』とおっしゃっていました。50%の幸運が来たとき確実にモノにする、そのために常に死ぬほど努力しておかなければならない。身に沁みるお話でした。そしてきっとそれは、何の仕事をしている人にも言えるはずです。究極のインセンティブにたどり着くってそういうことなんだと思います」
常にチャンスを狙い、強く美しく生きる。それは『おまえの罪を自白しろ』で自身が演じた議員秘書・晄司(こうじ)の生き方でもあると、中島さんは感じている。
「晄司は常に鬱屈している男なんです。自分のしたいことと現実が少し違う。その鬱屈はものを作っていくうえでとても大切で、伸び代とも言える。それは僕も常に心に持っていますから、共感しました。そして、彼は人生のタイミングを見逃さない。そういう人は強いです。チャンスを見極め、もしかしたら数年に一度しか訪れないその機会にフルスイングできる、そんな男。僕もそう生きないとダメだなと思わされました」
誘拐事件をきっかけに、強かさを発揮していく晄司。その姿は次々に新しい作品、チャンスをモノにする中島さん自身と重なる。中島さんに「自分を強かだな」と思うことはあるか聞いてみると。
「いかなる場合でも絶対インスタの写真だけは押さえるところかな(笑)。どんなに急いでいても、いい場面があったら絶対撮ります。そのタイミングを掴むことも大事だと感じているので」
そういたずらっぽく笑う中島さん。堤真一さんや角野卓造さんら共演のベテラン俳優たちにもまれ、俳優道を極めていく一方で、アイドルとしての存在感も映画のなかで意識的に輝かせている。
「本格的な政治サスペンスに僕が出る意味は、やっぱり若い人たちに見てもらうことですから。そういえば、共演した子役の佐藤恋和(れんわ)ちゃんは、ドラマ『シッコウ!!〜犬と私と執行官〜』でもご一緒していたのですが、最初はキンプリファンだったのに、僕と共演したらちゃんとSexy Zoneのファンにもなってくれましたよ(笑)。渋い作品ではありますが、晄司のように本作は鬱屈したものを抱えた若い人にこそ、観てほしい作品ですね」
映画『おまえの罪を自白しろ』
監督/水田伸生
出演/中島健人、堤真一、池田エライザ、山崎育三郎、中島歩、美波、尾野真千子ほか
10月20日(金)全国公開
https://movies.shochiku.co.jp/omaenotsumi/
中島健人(なかじまけんと)
1994年3月13日生まれ、東京都出身。2011年Sexy Zoneとしてデビュー。’24年に全編英語、ドイツ・フランス・日本合作ドラマ「コンコルディア」(仮題)が世界配信予定。