言葉を大事にする壇蜜さんが“今となっては見慣れすぎて見過ごしがちだが、よく考えると奥深い言葉”を「今更言葉」と名付けて考察。【今更言葉で、イマをサラッと】
その66 いーなー
都内に住んでいるからとか、電車やバスが時間通り走っているからとか、タクシーのほうが結果安いでしょ?とか…言い訳は沢山用意してある。しかし、本音を言えば「車持ってる人、車運転してくれる人が側に居る人が羨ましい!」のだ。羨ましいと思ったってどうにかなるものでもないし、亭主の清野さんも運転は控えるように言われている。私だって事務所から禁止されている。
マネージャーは運転が上手いが、あそこに行ってくれここに行きたいと思いっきりワガママ言える立場ではない。大体の所用には付きあってくれるのでありがたいが、「静岡の人気サウナ行きたい」だの「マザー牧場でソフトクリーム食べたい」だの、そこまでは頼めない。彼は家族のような存在だが、あくまでビジネスパートナーだ。
羨ましい…自分には出来ないことが出来る、成功して評価されている、容姿が端麗…無いものを持っていたら「羨ましい」感情は発生する。大学時代にカワイイクラスメイトがイケメンの彼氏とラブラブだったのを急に思い出したのも、「羨ましい」が持つパワーが自分の生きる燃料になっている節があるからかもしれない。
この「羨ましい」。妬みそねみに変わらないようにコントロールするのはなかなか大変だ。やっかんでる、嫉妬してると一度周りから言われたら払拭するのも骨が折れる。
そこで「いーなー」「うらやまだよ」「私も〇〇したい人生だった」となかば大げさに羨望の言葉を並べて、相手を賞賛&持ち上げの姿勢でくねくね悶えてみるのが一番の予防策だと考える。そこから知り合ったきっかけだの購入した経緯だのを聞いてみて、また「いーなー」に戻ってさりげなく会話をフェードアウトさせるのが望ましい。
よくマウントをとるとか、優越感に浸りたいから自慢するなんてメディアは女性同士の会話にカテゴライズをしたがるが、そんなカテゴライズでオンナがいろいろ言われる前に、「負けるが勝ちの『いーなーブロック』」で対応してみてはいかがだろうか。オンナのポジション争いバナシ…皆スキだよなぁ。