職業柄、物件選びには慎重になるという田中みな実さん。もし、自由に住む環境を選べるとしたら…? 【連載「田中みな実のここだけ話」】
今回のテーマ:物件選び。
物件を選ぶ際の最重要事項は、いかにプライバシーが守られるか。
周辺の環境、部屋からの眺め、出入り口もできれば1か所でないほうが望ましい。やましいことがあるわけではないけど、出入り口が1つのマンションに住んでいたときにエントランスを一歩出たところにカメラマンのおじさんが連日座り込んでいて、当たり前のように写真を撮られて気持ちが悪かった。
「やめてください」と言いに行ったこともあったけど、「あなたのことを撮っていない」の一点張りで名刺すら出してもらえず立ち去られ、翌朝、愛犬の散歩に出るとまた写真を撮られた。お部屋も環境も気に入っていたのに引っ越しを余儀なくされる…そんなことにはもう慣れっこで、どこか宿命だと諦めている。
何も高級物件に住みたい願望があるわけではないけど、こんなことが続くとやむを得ない。安心して身を置ける場所を探し求めた結果、家賃が上がってしまうのは必然だった。いわゆる“芸能人マンション”と言われるような建物に、そういう仕事をしている人たちが集まるのも無理はないと、今なら頷ける。皆一様に安心を買っているのだ。遡れば、局アナのときから少しはそんなことを意識しないといけなくて、新入社員の給料で都心のオートロック付きマンションに住むのは分不相応だと感じていたけど、顔と名前を出して仕事をしている以上、ある程度のセキュリティーは必要だった。
高い賃料を払い続けるくらいなら、購入した方が良いことも分かってる。分かっちゃいるけど踏み切れず、なんだかんだタイミングを逃して、気付けば長らく賃貸物件を次から次へと渡り歩いてる。私が不動産運用をしているという趣旨のネット記事を度々目にするけど、真っ赤な嘘で、確かに興味はあるけど、知識も度胸もない。
これから先、結婚して家庭を持ったら物件選びの基準は変わってくるだろうか。子どもの学区や子育てしやすい環境を求めて都心のタワマンを離れる諸先輩方は少なくない。
もし、何の制限もなく、自由に住環境を選べるとしたら? 理想は低層で(昔、祖母に木より高いところに住むのは心にも体にも良くないと言われた)緑に囲まれた、空気がキレイな場所。日当たり良好、駅近、都心へのアクセス抜群、虫がいなくて、近所に美味しい果物やお魚を売っているスーパーがあって…。つくづく強欲(笑)。どうやら、私にはある程度の制限があった方がいいみたい。