若手の実力派として、さまざまな作品で活躍する北村匠海さんと中川大志さん。同世代で同じ事務所、互いを尊敬し切磋琢磨してきたふたりが映画『スクロール』でW主演。エンタテインメントの未来を担うふたりが感じた化学反応とは。
北村匠海「世間のイメージや求められているものを、常に裏切りたい」
中川 匠海とは、小学生のときから一緒にレッスンを受けてきて、作品で一緒になることがなかった僕たち。今回、『スクロール』で匠海とW主演できてうれしかったし、刺激になった。
北村 最終オーディションで大志と争って、役を逃して悔しい思いをしたことも一度や二度じゃないよね。尊敬もしているし、ライバルでもある、大志は僕にとって稀有な存在。
中川 一緒にひとつの作品を創って感じたのは、匠海の瞳の演技。静かな憂いを訴えかけたと思ったら、こちらを見透かすような鋭さがあったり、瞳がずっと何かを物語っている。作品のスケールや世間のイメージに縛られてないというか、「こっちは勝手にやるから」っていう感じがいいなって。
北村 世間のイメージや求められているものを、常に裏切りたいと思っています。僕が大志と共演して思ったのは、中川大志という役者の深み。
中川 僕たち役者は作品ごとに人格やキャラクターが変わってきます。『スクロール』ではユウスケにもそれまで過ごしてきた人生があって。でも結局演じるのは僕なので、僕のなかから出てくるものしかない。演じている時間ではなくて、演じていない時間にどういう人と会って喋って、どういう所に行って何を見てって、そういうことが大事な気がしています。
中川大志「裏方の仕事もいつかやってみたい」
――ふたりにとって、エンタテインメントとは?
中川 刺激的で人間の感情に刺さるもの。エンタメに関わる、裏方の仕事もいつかやってみたい。まだまだ具体的ではないですけど、何か「もの」を創り出してそれを世の中に発信して驚かせたり、笑わせたり、面白いことをしたい。もともと子供のころから「ものづくり」が好きで、役者もそのひとつだと思っています。立場が変わったとしても何かを創る仕事がしたい。
北村 いろいろある時代だからこそ、音楽活動にしろ、役者業にしろ、僕から出てくる言葉は人に明日を感じさせるものでありたい。エンタテインメントは一種の救いだと思うし、エンターテイナーとして、今、届けるべき言葉や作品はそういうポジティブなことだと思います。だからこそ伝え続けることを僕らがあきらめてはならない。
映画『スクロール』2023年2月3日(金)全国公開
橋爪駿輝(はしづめしゅんき)原作小説を、清水康彦監督が北村匠海・中川大志をW主演に迎えて映画化。鈍色の⻘春を駆ける若者たちの想いが交錯し、リアリティあふれる⻘春群像劇。
北村匠海(きたむらたくみ)
1997年11月3日生まれ、東京都出身。アーティスト・俳優と幅広い活動を続けている。『DIVE!!』(2008年)で映画初出演を果たし、映画『君の膵臓をたべたい』(2017年)で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。
中川大志(なかがわたいし)
1998年6月14日生まれ、東京都出身。ドラマ「家政婦のミタ」の演技で注目を集めて、数多くの話題作に出演。映画『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』(2018年)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。