奥手な高校生から、狂気のチンピラ役まで。役者として常に表情を変え、歌を歌えば透き通るような美声、カメラを持てばその腕はプロ級・・・多才すぎてもはやミステリアス! そんな北村匠海さんに、それぞれの活動とどう向き合っているのか? 本音を聞いてみました。
俳優とアーティスト、その両方で北村匠海
8歳で役者デビュー、22歳にしてキャリアは14年になる北村匠海さん。一方でダンスロックバンドDISH//のボーカルとしても活動を続けてきた。現在、DISH//として配信した「猫」「猫〜THEFIRSTTAKEver.〜」のストリーミング再生回数が合算で1億回を突破、さらに数々の出演映画公開が控えている。めまぐるしい日々のなかで、北村さんは大きな充足感を感じているそう。
「これまではどちらかというと役者・北村匠海が先行していたような気がしますが、今は少しずつ両方を見てもらえて、解離していない状態が心地よいです。音楽は僕自身が得たものを表現する“ライフワーク”、役者は昔から続けてきた“仕事”で、両方で“北村匠海”なので」
一方、役者として今まで感じたことのない“役が憑依する感覚”を、ある家族を描いた主演映画『さくら』の撮影で感じたといいます。
「吉沢亮さん演じる兄のお葬式のシーンで、台本にはなかったんですが、感情が抑えきれず爆発してしまった。台本に書かれていないことをするなんて、役者の自己満足かもしれない、でも止められなかったんです。そのとき、父親役の永瀬正敏さんが抱きしめてくださって。そのシーンは結局カットされているんですが、永瀬さんに抱きしめられているのは、役としてなのか、僕としてなのか、わからなくなっていた。“役として息をしている”という感覚は初めてのことでした」
そして、役者として“他人を演じる”と同時にアーティストとして自分を出すことで、バランスをとっていると教えてくれました。
「役者としては自分ではない誰かになろうという思いが強いけど、音楽は“自分”。北村匠海として生きている実感ができる場所でもあるかな。今、DISH//の音楽を聴いてくれる人が増えて、自分が肯定されているような気がしています」
北村匠海(きたむらたくみ)
1997年11月3日生まれ、東京都出身。子役として役者デビュー以来数々の映像作品に出演。ダンスロックバンドDISH//のメンバーとしても活動。『君の膵臓をたべたい』で第41回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。公開待機作に『アンダードッグ』『砕け散るところを見せてあげる』などがある。
『さくら』
出演/北村匠海、小松菜奈、吉沢亮ほか
監督/矢崎仁司
脚本/朝西真砂
原作/西加奈子
https://sakura-movie.jp/
※11月13日(金)全国ロードショー