表現者としてさまざまな役をこなすたび、熱い視線を注がれる俳優・眞栄田郷敦さん。その理由とパーソナルな魅力を紐解くべくインタビュー。
眞栄田郷敦が悩みながら成長し、今思うこと
ドラマ「プロミス・シンデレラ」では恋をして成長する生意気だった高校生を、「カナカナ」では凶悪顔で腕っぷしは強いけれど純粋な心を持つ元ヤンを、と作品ごとにまったく異なるキャラクターを演じ、俳優としての存在感を増す眞栄田郷敦さん。
昨年末、映画デビュー3年目にして「第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞」を受賞し、役者として初めての賞を手にした。幼いころから芸能や芸術に触れてきた彼が、高校卒業後に俳優の道に進んだのは、自然な成り行きというより、彼の“使命”だったのかもしれない。いくつかのドラマや映画を経て、デビューまもなくブレイク。だが決して慢心することなく、彼はいつも冷静に真摯に表現者という仕事と向き合い続ける。自分の心のなかに灯した火を常に絶やさぬように――。
「初めての作品(映画『小さな恋のうた』)を観たとき、自分が作品に出ている、映画に出ているという喜びや感動よりは、『もっとこうすれば良かった』というような反省のほうが大きかったですね。当時は“演じる”ことが何もわからなくて、とにかくナチュラルな芝居ができるようになりたいという気持ちしかなかった。デビューしてからの時間を振り返ると本当に濃厚で。まだ3年しか経ってないんだ…と感じるくらい本当にギュッと凝縮された時間でした。作品ごとに自分が新しいものを得ている感覚があるので、すごくやりがいがあって楽しい。最初のころは芝居することが精一杯で、セリフが言えない、滑舌が悪い(笑)とかすごく表面的な悩みや苦しみだったけれど、今はみんなで作品を作り上げる喜びが感じられる。もちろん今でも苦しさは変わらないですが、現場で感じられる楽しさがあるから、その苦しみは乗り越えられる」
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苦しみも乗り越える“達成感”こそが真の喜びに
“てっぺんを目指せ”とは、父・千葉真一さんより、ことあるごとに受けてきた教え。
「今は“てっぺん”を目指さなくていいかなと思える自分もいるんです。みんなにとっての“てっぺん”じゃなくても、その瞬間の“てっぺん”を目指したいなって。自分のやっている仕事が心から好きだから幸せを感じたり、それによって周囲が幸せだったり…なんかそういうことが、とても大きく価値あるものだと感じるようになれた。俳優としていろんな景色を見てみたいという気持ちはあるので、もちろんてっぺんを目指すことを目標にしたいとは思っています」
デビューしてから役者を続けられた理由は、達成感だと教えてくれた。
「クランクインの前とか撮影中は大変だなって思うことばかりなんですが、クランクアップしてみると、すごくいい時間だったなって自然と思えるんです。そのあとすぐに、次の作品に向かって苦しんでいる自分がいるんですけれども(笑)。現場では1分1秒、気を抜かず、妥協せずにフルに向き合う。求められるものをイメージしたり、みんなで話し合って共有したものをどれだけ伝えられるか。“いい仕事ができたな”って思える現場での達成感――たぶんそれこそが本当の意味で、心が純粋に満たされているなって感じる瞬間ですね。今の自分は、そこを中心に生きているので」
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眞栄田郷敦(まえだごうどん)
2000年1月9日生まれ、アメリカ・カリフォルニア出身。2019年、映画『小さな恋のうた』で俳優デビュー。同年TBS系「ノーサイド・ゲーム」でドラマ初出演。その後、ドラマ「プロミス・シンデレラ」、映画『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』『東京リベンジャーズ』などに出演。今年放送のNHKドラマ「カナカナ」では、連続ドラマ初の主演を務める。ウェルザードの小説を羽住英一郎が映画化したループ型ホラー『カラダ探し』が、10月14日全国公開。また、10月から放送されるドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」(カンテレ・フジテレビ系 22時〜放送)に出演。
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