女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で世の女たちの生き様を観察します。
第40回 “サスハラ”にご用心!
先日こんなことがあった。
仕事で一緒になった女優さんが持っているマイボトルが可愛かったので「どこのですか?」と尋ねると、カバンからマイストローにマイバッグを取り出し、いかに資源を無駄にしたくないために頑張っているかを語り始めたのである。
さらには繰り返し使えるカイロ、洗えるティッシュ、再生紙で出来たノート、お米を再利用して出来たペンなどを広げ、もはやカバンの中身紹介になっている。
良いことをしているのはわかるが、聞いてもないのにここまでされると「サステナブルな私の日常どや?」感が否めない。
アピールをするためだけのグッズ購入では、本末転倒なのでは?と首を傾げたくなる。
さらに、近くでスマホを充電していたスタッフさんにソーラー充電器を渡し、「これを太陽光にさらせば充電できるから」と、一台の充電ためにどれだけのエネルギーが必要なのか説き始めたのである。
そして、置いてあった台本にも、「こういうのもさ、もったいないよね。データで送ってくれたら、ペーパーレスにできるのに」と、自分のiPadを「令和」の如く出されると、なんだか説教されてる気分になり、台本はもちろん、そこにあったペットボトルにもみんな手をつけづらくなった。
思わず、「これはサステナブルハラスメントでは…!」と心の中で叫んでしまった。
後々、彼女は置いてあった弁当をマイ箸でつついたかと思うと、三口しか食べずに廃棄したのである。やはり大げさにアピールをしたり、人に強制したりすると、こういった矛盾がすぐ生まれてしまう。
確かに環境問題は深刻で、考えて行動することは人間の義務だとは思うが、サステナブルの使い方を間違えると、その場の“空気汚染”につながるので気をつけなければならない。
最後に
“リサイクル”とかけまして
“整骨院”と解きます。
その心は、どちらも“古紙にビンカン(腰に敏感)”でしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。
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