女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で世の女たちの生き様を観察します。
第34回 巨乳の孤独
巨乳の破壊力はすごい。
自分の胸にコンプレックスがあるわけではないが、巨乳を前にするといつもより小さく見える気がするし、何をしても敵わないような無力感がある。
悪いことをしていないのに、肩身の狭い思いをすることだってある。
巨乳とは、時に凶器になる。
例えるなら、差し入れだ。
何もいらないからと言われてお呼ばれしたホームパーティーに、ワインやスイートポテトを持参する人っている。主催者は助かるし、参加者もうれしいが、何も持ってこなかった者がやや気まずくなるのは否めない。決して誰も悪くない、その人が特別気が利くというだけなのだ。
胸だってそう。貧乳が悪いわけではない。巨乳の魅力がすごいだけのことなのだ。
しかしながら、時に巨乳な本人が、この巨乳という凶器の被害者になることがある。
巨乳好きな男のせいだ。そして、こうやって野次を飛ばす輩がいるせいだ。
アナ雪のアナのように、自分の能力のせいで触れる物や目が合う者を傷つけてしまうという怖さに怯えながら生活しなければならない。
普通サイズの女に気をつかうこともそうだし、女性だけの自虐大会が始まった日には「ちょっと分けてもらっていい?」と笑いの小道具にされる。「大きいなりに悩みもあるんだよ」なんて言った日には、返り討ちに合うだろう。
美人や実家が裕福なものも、また然り。
それでもお釣りがくるくらいには得をしてるはずだろうと、今日も巨乳の孤独というのは誰にも理解されないでいる。
最後に、
“ホームパーティー”とかけまして
“巨乳”と解きます。
その心はどちらも
“手ぶらが喜ばれることもある”でしょう
今日も女たちに幸せが訪れますように。
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