女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第32回 動かす女
何もしない女っている。
友人数人で集まる時など、いかに自分のカロリー消費を低く済ませるかしか考えていない要領のいい人種。
人を動かすのがうまいのはいいことだが、気付くと「あの子、何もしてなくない?」と誰かが損をする状況になっている。
近くにいると少し厄介。そんな動かす女のいくつか例をあげてみたい。
・「そこ行きたい!」「それ食べたい!」「一緒に行こ!」とすぐ口にする
衝動的に提案して、終わり。他の人が「じゃあ予定合わせようよ!」「調べてみるよ」と乗ってきたら、動かす女の思う壺。
あとは「楽しみ!」と連呼しておけば目的地に到着することができる。
・「わたしセンスないから」と卑下する
これを免罪符に、店選びや友達のプレゼントの買い出しをすべて人任せにする。前日まで何も決まっていなくても、なんのその。
「誰かがやってくれるでしょ」と自分が着ていく洋服のことだけ考え、現地で誰よりも食い、プレゼントを渡す時は、「すごく似合ってるよ!」とドヤ感を出す。
・すぐに電車が止まってたことにする
とにかく5分、10分の遅刻を平気でする。しかも、集合場所がわからないと他の人に鬼電をして、迎えに来させる。
自分の腰は重いのに、人を動かすことには躊躇がない。「ちゃんと早く起きたのに~」と言えばチャラになると思っている。
・「みんなで写真撮ろうよ」と盛り上がっているとき自分のスマホやカメラを出さない
毎回「送って」のひと言で片付ける。そのわりに全部の写真に写っている。しかもどれも真ん中に位置づいていることが多い。誰かが加工アプリを使えば、「それで撮ってみたい!」と言い、またもや写る専門に徹する。
・道に迷った時、自分のスマホではGoogleマップを開かない
「遠い」「暑い」「寒い」と文句ばかり言う。しかも、目的地に着いたら着いたで、やはり真ん中に座りたがる。またこういう女は終電の時間も調べず、結果、相手に朝まで付き合わせることになる。
・「ゆうちょでお金下ろしたい」
今はもう少なくなったが、ゆうちょにしかお金を入れておらず、コンビニでかかる手数料を避ける女。何が嫌って、どこにあるかもわからない郵便局まで人を付き合わせることだ。
やはりここでも自分のGoogleマップは開かない。
・「一円単位で割り勘したい」
経済観念は人それぞれだが、「いろいろ調べてもらったし…」「遅刻したし…」など、もう過去の話。多めに払う理由にはならない。とにかく自分の低カロリー、低コスト第一!
・会話がなくなると「なんか面白い話ないの?」と地獄のフリをしてくる
本人は気をまわしているつもりだが、振られた方は迷惑でしかない。それでいて自分に話がまわってくると、平気で「そんなのあるわけないじゃん」となぜかキレてくる。
そういう女の何が腹立つって…
・なぜか彼氏が途切れない!
頑張って盛り上げようとする女よりも、悔しいかな、退屈な時間はすべて一緒にいる人間の力量のせいにできる女の方がモテる。
以前、飲み会でみんながおとなしかったので、名MCバリに会話をぶんまわし、手応えを感じて帰った日。
「あのひと言も話さなかった子、セクシーだよね」と男たちが口々に話しているのを聞いて悟った。
「頑張ったら放って置かれるんだ!」と。
疾走する女より、転んで痛がってる女、
ブランドものを着ている女より、Tシャツの襟がよれて胸元が危うい女、
タイムキーパーする女より、タクシーで一万円かかるところに住んでる女だけが男を動かすことができるのだ。
とはいえ、同性には一切通用しない。
もし心当たりがある人は、友達がいなくなる前に、すぐに大手銀行に口座を作ることをおすすめしたい。
最後に、
「銀行」とかけまして
「友達ばかりを動かす女」と解きます。
その心は、
「どちらもすぐに、円(縁)を貯金(チョキン)とされる」でしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。
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