個人差があり、なかなか理解されづらい生理前の不調。田中みな実さんも、例外ではないようで――。【連載「田中みな実のここだけ話」】
今回のテーマ:ポテトチップス
寝る間際にポテトチップスを1袋あけてしまった。通常ならまず考えられないことだけど、きょうは生理1日目。きまって脚が重だるくなり、とてつもない倦怠感に襲われる。シャワーを浴びる気力もなく、鉛のようなからだをソファにあずけると、自然と涙が込み上げる。「ポテチなら食べられるかもしれない」、そう思ったらじわじわとからだが持ち上がり、キッチンの棚の一番の奥に仕舞ってあった1袋を脚立によじ上って取り出し、無心に貪った。
こんな風じゃなかったのに。日頃そんなに口にしないようなものを欲したり、気持ちの浮き沈みが激しかったり、ここ数か月、生理が始まる5日ほど前から自分の様子がオカシくなるのをしっかりと感じられる。腹痛や腰痛などのいわゆる生理痛とは違っていて、認めたくないけど、これが世にいう“PMS”なんだと理解する。PMS、月経前症候群。月経開始3~10日ほど前から身体的、精神的に現れる不快のさまざまな症状のこと。なんでもかんでも病名をつけるのは好きじゃない。安心材料になる一方で、病気だと自覚すると益々そんな気がしてきて気弱になるから。でも、どうしたってツライ。
「PMSって、生理前に女子がイライラするあれでしょ?」と思っているその辺の男の子と変わらないくらいの知識でいたけど、いざなってみると、泣くほどツライ。学生の頃、生理痛で学校を休んで寝込む姉を「さぼりじゃん」と内心疑った自分を叱ってやりたい。痛みやつらさ、ましてやそれが精神的な部分にまで及ぶと、その苦痛は当人にしか分かり得ない。
今はまだコントロールが利いて、仕事に影響するわけでも、誰かにつらく当たることもないけど悪化したらと考えると恐ろしい。「きたきた」と自覚したら、仕事以外誰とも接触しないよう気を付けてもいる。けど、これにも限界がありそうだし。未来の彼やパートナーには理解されるだろうか。じわりじわりと迫るからだの不調にたじろぐ35の誕生日。
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