E-girlsメンバーの山口乃々華さんが、瑞々しい感性で綴る連載エッセイ「ののペディア」。今、心に留まっているキーワードを、50音順にひもといていきます。
第44回「わ」:わたし
最終回なので“わたし”というテーマで、ここにありったけの想いを書いてみよう、とは思ったものの、何をどう書いたらいいのかさっぱりわからない。
あまりに進まないので、もうこのテーマは諦めた方がいいか・・・とすら思う。この景色を5時間は見ているし、ずーっとここにいる。いつのまにか日が暮れて、2杯目のコーヒーも、もうなくなりかけている。
悩んでいること、考えていること、感じたこと、気がついたこと・・・その時々のわたしの心をののペディアで書いてきた。
そのおかげで、随分と楽になったこともあったし、壁にぶつかったときの思考回路がすっきりとしてきたように感じる。
それから、忘れたくないこともしっかりと書き留められたように思う。
わたしにとって、この時期をののペディアと共に過ごせたことが、思っていた以上に大事な経験、記録になった。
ののペディアのおかげで、今まで見て見ぬ振りをしていた自分の心と向き合い、わたし自身をもっとよく知ることができた。
例えば、負けず嫌いなところ。あまり向き合いたくなかったわたしの性格のひとつ。
いつからこうなったのだろうか・・・小学生から? 中学生から? いや、きっと大人の世界に入り、働き始めてから“負けず嫌い”は本格的に発動した。それまでは、悔しいという感情を強く抱くことがあまりなかったように思う。厄介な感情でもあるけれど、この気持ちのおかげで、私の持っている武器がどれだけ弱くても、立ち向かおうとする気持ちがメラメラと湧いてきているのだと思う。
そして、わたしは元々何かを続けることがとても苦手。すぐに飽きてしまうし、苦手だと少しでも思ったら、やめる選択をしてきた。しかし、EXILE HIROさんから「継続は力なり」という言葉をいただいてから、継続する努力をするようになった。そしたら、いいことがたくさんあった。
さすがに、何もかもすべては続けられていないけれど、こうしてののペディアを書くことも途中で放り投げずに継続したことのひとつ。あとは、ダンスや、ヨガ、料理などなど。些細なことでも続けていると、当たり前にスキルが上がる。体に馴染む。途中でやめてしまうと、取り戻すのにとても時間がかかるだろう。継続し、積み上げていくこの感覚を、これからもずっと持ち続けていきたい。
見たくないものを見つめてみたり、できないことと向き合って、できるように努力したりしたおかげで、嫌いだった自分の性格を、少しずつ好きになり始めている。そう思えるまでに、かなり体力を使ったけれど、その分、自信を持てるようになった。自分自身と信頼関係を築くことが、わたしを強くした。
これからのわたしもきっと、うだうだと悩んだり、落ち込んだり。かと思えば、すっかり忘れてしまったり。そんなことを繰り返していくと思うけれど、わたしにとってそれが1番の充実なのかもしれない、と思っている。
そっちの方が、楽しいのだ。疲れるけれど、楽しい。
心は、とことん動かすべし!
がんばれ! 未来のわたし!
・・・
いつも変わり続けるわたしの心と体。
無視をしないで、知ろうとすること。
知って、受け入れて、大切にする力を鍛えていくこと。
わたしがわたしを生きていく上で欠かせないことを教えてくれた。
ありがとう、ののペディア。
【ののペディア/わたし】
生きている限りずっと向き合うもの