女芸人 紺野ぶるまさんによる女観察エッセイ「奥歯に女が詰まってる」。GINGER世代のぶるまさんが、独自の視点で、世の女たちの生き様を観察します。
第21回 “泣き虫”な女
すぐ泣く女性って結構いて、
それも、ホロリ、一滴涙をこぼす・・・
みたいな次元ではなく、滝のように涙が止まらない女性。
感受性が豊かなのか、普段から相当溜め込むタイプなのか、はたまたお酒を飲みすぎたせいか・・・。その理由は人それぞれなので、仕方のないことだと思う。
しかし、その時、同時に口から出る
「わたし“泣き虫”なんだよね」には毎回首を傾げる。
泣き・・・むし・・・?むし?
この言葉を聞くと随分いいように言ったな!という気持ちが抑えられないのである。
そしてそのあと”泣き虫”はこう続ける。
「こんなことで泣くなんて本当に弱虫だよね」
さらには、
「わたし人肌恋しいとくっつき虫になるんだよね」
と”三虫”が出たらもうお手上げである。
この大人の女性が名乗る“虫”への違和感は、
昔のアイドルがよく言ってた「わたし天然なんです」に少し似ている。
その人が天然かどうかは周りがジャッジすることで自分が謳うことではない。
本人が言うことで一気に可愛げがなくなるのである。
自分が可愛いとわかっている子役ほど可愛くないように。
泣き虫とは本来、小さくて可愛い子供がメソメソ泣いている姿を指摘するときの言葉なのではないだろうか。
泣いている人を「泣き虫」と思うか、「困った大人」と判断するかは決して本人ではないはず。大人になった“虫”は大概可愛くないのである。
こんなことで泣いて、周りにも迷惑をかけているから早く泣き止まないといけないのに、なぜか止まらない・・・と申し訳なさそうにする様子を見て人は初めて「(人間らしくて)可愛い」と思うのではないだろうか。
あと似たようなもので勝手に坊さんになる女、というのもいる。
お寝坊さん、怒りん坊さん、慌てん坊さん、忘れん坊さん・・・
また勝手にお店を開く、
寂しがり屋、めんどくさがり屋、目立ちたがり屋、気分屋・・・というのも存在する。
決して暖簾に掲げるようなことではないはずなのに、そう謳うことで何でも許してもらおうという、それこそ”虫のいい話”なのである。
最後に、
自分の恥ずかしい言動とかけまして
イタイお店と解きます。
その心はどちらも
戒めた(今閉めた)ほうがいいでしょう。
今日も女たちに幸せが訪れますように。