小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.16 LGBTについて、理解を深めたい。適切な本を知りたいです
《読者からのリクエスト》
最近、同じ職場にいる女性がレズビアンであることを知りました。驚きなどはなかったのですが、彼女がいる前で恋愛のこととか結婚の話題を出しづらくなってしまった自分がいます。あまりナーバスになるのも逆に変だとは思うのですが、LGBTについて自分なりに考えてみたい。オススメめ本があれば知りたいです。
《多部さんのオススメは・・・》
共感したり想像してみることで
少しずつ寄り添っていく
LGBTへの理解を深めるためには、まず友達になることが近道のように思いますが、LGBTの大親友がいる私にとっても、そういったことに関しては何と言っていいのか難しいところがたくさんあります。
私はその友人とLGBTについて話すことはほとんどない(あそこのお店のメンズがかっこいい、あのメンズはタイプではないなど恋愛の話はする〈笑〉)ような気がします。やはり過去には、いじめられたり、偏見の目で見られたり、冷たく思いやりのない言葉をかけられたことも経験しているようなので、まず私からそのような話をすることはありません。
普段はバカみたいな話で2人でけらけら笑っているけれど、実際には自分がLGBTであるということで、いろいろな悲しい思いをしてきたんだろうなと感じています。
台湾人作家の李琴峰(りことみ)さんの作品『独り舞』は、レズビアンとして生きている主人公・迎梅(イン・メー)の苦悩や葛藤が描かれています。
レイプや大きな失恋など、主人公の生き様がとてもドラマチックに描かれており、たくさんの傷を抱え、死に対して興味や憧れを抱きながらも、レズビアンとして堂々と生きていく彼女の姿は、危うくもあり、強くもあり、気持ちの揺れがとても繊細に表現されていました。ただ、それがはたしてLGBTとしての苦悩なのかは、正直私には分かりませんでした。
最近は、「LGBT」という言葉自体メディアを通して多く耳にするようになりましたし、LGBTの人も、自分はそうなんだと周りに対して言いやすい環境に少しずつなっているのではないかなと感じます。
LGBTのことを学んだり、そういった人の気持ちに寄り添うことはできるかもしれないけれど、まったく同じ気持ちになるということはなかなか難しいことかもしれません。それは、LGBTのことに限らず、どんなことにも言えることだと思います。
でも、LGBTの人が経験したことを聞いたり、感じとってみようとしたり、共感したり、想像することで、一人ひとりがLGBTに関心を持つことができて、正しい知識を得られたら素敵ではないでしょうか。この本もそういったきっかけになったらと思います。
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