GINGER世代にとっては、生まれたときからすでにお茶の間の大スターだった黒柳徹子さん。インスタグラムのフォロワー数は100万人を超えるなど、年齢性別問わず愛され、歳を重ねてなお、すべてがおしゃれでチャーミング。NHK専属のテレビ女優第1号として活躍後、さまざまな曲がり角を軽やかに駆け抜けて、いつまでも第一線で輝き続けるパワーの源とは?
“ステキ”なものは、いつだって好奇心を刺激してくれる
9月25日〜10月8日に日本橋髙島屋本店にてビーズ刺しゅう家・ファッションデザイナーの田川啓二さんと、長年のステキコレクションを一挙公開する『もっと♡SU・TE・KI!展』を開催する黒柳徹子さん。徹子さんのステキ好奇心の原点は、おしゃれだったお母様と、戦後、疎開先の青森の町で観たアメリカ映画のヒロインだったそう。
「ユニセフの親善大使の活動をしていても、おしゃれをしていくと子どもたちの瞳がぱっと輝く。きれいなものは、気持ちを明るくしてくれたり、好奇心を刺激してくれると思うんです。
ただ、私の子どものころは戦争中でしたから、本当に何もなくて。初めてたくさんステキだなと思うものを見たのは、戦後、疎開先の青森の町で観たアメリカ映画。『キュリー夫人』とか『ジェニーの肖像』とかいろんなきれいな映画を観て。それで初めてペチコートや靴やおリボン、レースを見て、やっぱり世の中にはきれいなものがあるんだなあって、そこからものすごくいろんなことを吸収しました。あとは、母かな。うちの母はとても美しい人で。親戚が集まってみんなで写真を撮るときでも、ほかの人はお着物が多かったんですが、母はお帽子に長いスカートにハイヒールを履いたりして。当時、私はまだ3つか4つでしたけど、子ども心にそれがとってもステキだなあと思っていました」
そして時を経て、東京音楽大学卒業後、1953年にNHK専属のテレビ女優第1号のひとりとして活躍を始めた徹子さん。ステキなもの、おしゃれへの好奇心は、多忙な仕事のモチベーションにもなったそう。
「NHKの月給、すごく安かったんです。初めはサラリーマンと同じくらい。当時、大卒の月給が9千円か1万円。私もだいたい1万円でした。お給料が出て、最初に買ったのはハイヒールです。そして、お洋服はおしゃれな既製服がまだあまりなかったので、アメリカの映画雑誌を見ながら、こういうのがいいな、ああいうのがいいなと、お給料をはたいては注文して作ってもらっていました」
過労での入院を契機に好きなことをする決断
ステキ好奇心を原動力にテレビ女優の先駆けとして週に5〜6本以上のドラマに出演。そんななか、30代の初めに過労で倒れて1ヵ月入院したことが、徹子さんの転機になったという。
「入院したとき、お医者様に『死ぬまで病気しないためにはどうすればいいですか?』と伺ったんです。そうしたら、『私も長く医者をやっているけど、そういう質問は初めてだ』とおっしゃって(笑)。
でも、〝普通はできないけど、ひとつだけある。それは好きなことをやって生きることだ〞と教えてくださったんです。毎日遊んで暮らすということではなくて、自分が進んでやりたいと思う仕事をやれたなら、病気にならない。嫌だなと思うことばかりすると余計な負担がかかってしまう。それが2つ3つ重なると病気になるんじゃないかと。まだ〝ストレス〞という言葉がなかった時代です。それで私、『絶対やります!』とお答えして、退院したあと、自分で考えたんです。
若いときはお仕事を断るなんて大変なことなので、そこはマネージャーさんといろいろ相談して。徐々に、自分が進んでやりたいと思うことのみやる、と変えてきたんです」
不思議な導きにピンと来たら、素直にやってみること
人とケンカすることなく、人のステキさを見つけて。相手がどんな人でも子どもでも、上から目線で話すことをしない。そんな徹子さんはまた“いい恋愛をすることも大事だよ”という。
「いい恋愛はしたほうが絶対いいなって思います。無理して男の人を振り向かせようとするのではなくて。本当の意味で、愛したり愛されたり、その人のことをずっと想ったり。たとえその期間が短くても、その気持ちを一生のうちに一度でも味わうことができたら、それでいいんじゃないのって。それがあれば、いくつになってもステキに生きていけると思うんです」
だから、異性との出会いがないからといって落ち込む必要もないと、徹子さん。
「30代はまだまだで、誰かに愛されないとか、好きな人に出会わなくても憂鬱(ゆううつ)になったり、悲しがったりする必要はないと思うんです。たまたま、そういう人に会っていないだけの話であってね。誰だって自分に合う人がどこかにいるのに、きっと会わなかっただけに違いない。心配しなくてもいつか現れる。それこそ、どこかの曲がり角で、ぱっとね(笑)」と、優しく笑った徹子さん。最後に、とてもステキな励ましの言葉も。
「音楽学校を出ても音楽家にはなれない、せめて子どもに絵本を読んであげるお母さんになろう、どこに行けば教えてくれるかなと母に聞いたら、新聞に出てるんじゃないの?と言われて。それで新聞を広げたら、NHKの募集があって、受けたら運よく6千人のなかから13人が受かって。
でもその日、新聞を読まなかったら、私は今ここにいない。そんなふうに人間には誰しも何か導いてくれる運命みたいなものがあるから、ピンと来たら素直にやってみたほうがいいなと思うんです。あと、自分の長所をいっぱい知っておくこと。NHKの試験のときも私、とにかく長所と短所の欄をいっぱい用紙の裏まで書いたんです。短所も読み進めるうちに実は長所に思える感じで。あれ、たぶん読んだら面白かったと思うの。だって合格した理由はそれしかないから(笑)。テストの答えは間違っているけど、内容が面白かったから、会ってみようと思ってもらえたのかなって。
だから、やっぱり元気を出してほしいなって思うんですよ。せっかく生まれてきたんだから、自分の長所を大切にしてね。自分で考えて、探して行動して。そうしたらきっとステキなことがたくさん見つけられるはず」
徹子さんの最新情報をチェック!
9月下旬から10月にかけて、徹子さんの想いが詰まった展覧会と舞台が開催されます。きっと、あなたの好奇心を刺激してくれますよ。
黒柳徹子×田川啓二コレクション『もっと♡SU・TE・KI!展』
徹子さんが大切にしてきた華やかな衣装や食器など、見るだけで心が躍る展覧会。
日程 : 9月25日(火)~10 月8日(月・祝)
時間 : 10:30~19:30(20:00閉場)
※最終日10月8日(月・祝)は17:30まで(18:00閉場)
場所 : 日本橋髙島屋S.C.本館8階ホール
入場料 (税込) : 一般¥800(¥600円)、大学・高校生¥600(¥400)、中学生以下無料 ※( )内は前売り及び10名様以上の割引料金
問い合わせ : 日本橋髙島屋 TEL 03・3211・4111(代表)
黒柳徹子主演 海外コメディシリーズ ファイナル公演 『ライオンのあとで』
足を切断してまで舞台に情熱を傾けたフランスの大女優サラ・ベルナールを徹子さんが熱演。実話をもとにした感動物語。
日程 : 9月29日(土)~10 月15日(月)
場所 : EXシアター六本木
チケット(全席指定): S席¥9,800、A席¥8,000、グッドプライスシート ¥6,000
出演 : 黒柳徹子、桐山照史(ジャニーズ WEST)、大森博史、阿知波悟美 他
問い合わせ : パルコステージ TEL 03・3477・5858
http://www.parco-play.com/web/program/afterthelions/