『GINGER』の連載「KARINA’S GARDEN」のアーカイブを順番に振り返りながら、“あのころ”と“今”、ときには“これから”を語る「香里奈のひとりごと」。写真好きの香里奈が、連載用に撮り下ろしてきた思い出のショットも紹介します。
愛情も、日々の生活の楽しさも、教えてもらった
これは愛犬のもみじとはなびを連れて、駒沢公園を散歩した回。2匹ともまだ若かったから元気よくて、大はしゃぎだったな。
人生で初めて飼った犬が、もみじ。今ではもうすっかりおばあさん(14歳)になって、心臓が悪いから毎日薬も飲まなきゃいけないけど、頑張って生きている。はなびは、もみじの子供で今9歳。その後、はなびの子供たち(れもん と みんと)も加わって、相変わらずうちの三姉妹で協力し合いながら面倒をみている。
犬と暮らし始めた19歳のころから20代は、私自身がとにかく仕事で留守がちだったから、もみじの世話をきちんとできなくて、姉たちに任せっきりだった。今、もみじのヨロヨロした姿を見ていると、あのころにもっと遊んであげれたら、とか、一緒に過ごす時間がもっとあればよかったのにごめん・・・って後悔する気持ちがわいてくる。当時は1匹しかいなかったわけだから、留守番もひとりぼっちで寂しかったんじゃないかな。
振り返ると、こちらも犬と暮らす初心者だったから、歯磨きも耳掃除も、最初は何もかも不慣れできちんとできなくて。そんななかでも、もみじは我慢強くて、注射のときも泣かないし、頑張り屋で、手がかからないいい子に育ってくれた。
成長の途中の時期をきちんと見れていなかったせいか、間がすこんと抜けている気がしちゃって、急に歳を取っちゃったな、って思ってしまう。そんな経緯も含めて、もみじのことを溺愛する気持ちがどんどん大きくなっていて、とにかく長生きしてほしい。今は、そんな祈るような日々。
どの犬に対しても愛情をたっぷり持っているけれど、もみじは特にえらい!!という気持ちはある。もみじがいるから、あなたたちがいるんだよって気持ちだし、そういうふうに接しているつもり。でも、子供たちはわかっていないと思う、もみじが持っているおもちゃを取りたくて、ヴ~とかやってるから(笑))。犬には犬の世界があるから、本当はどう思っているのか・・・未知だけどね。そんな彼女たちのやり取りが微笑ましくて、大切なもみじからつながっているファミリーを眺めている時間に、すごく幸せを感じるんだ。
犬たちのこともあるから、うちの姉妹は連絡が密で、スケジュールを調整したり、連携プレーがすごい(笑)。もみじが老犬で介護が必要だから、お互いに私は今日仕事で面倒を見れないけどお願いできる? って確認しあったり。犬中心の生活の組み立てになっている。もみじが乗り降りしやすいべッドの高さとか、段差のこととか、 犬たちが過ごしやすい環境を考えたりね。犬のいない生活ってどんな感じだろう?って、むしろいないことを想像しづらいぐらい。
シャンプーしたり、ごはんを用意したり、それこそやることはたくさんあるし、家族だからそういうことは当たり前だけど、犬は飼い主の存在が一番の喜びという、無償の愛を示してくれるから、ふとした瞬間にそれを感じて本当にすごいなって感動する。私はこの子たちから、本当にいっぱいの愛情を受けていると思う。私が返しきれないぐらいに。
犬と過ごす時間、ともに暮らす日々が、私にもたらしてくれたものは、ひとことではまとめられない。ただ、毎日が愛情にあふれているってこと。
この回の連載の文章のなかに――
(犬たちの)ストレートな感情表現に心の凝りがほぐされる。
そんな犬たちの無邪気さを見ていると
「人間ももっとシンプルでいいんじゃない?」って
教えてもらうこともあるくらい。
という言葉を見つけた。
うん、もっとシンプルに、たっぷりと愛情を注ぎながら、この子たちとの毎日を楽しもう。そんなふうに改めて思った。