さまざまな経験、体験をしてきた作詞家 小竹正人さんのGINGER WEB連載。豊富なキャリアを通して、今だからわかったこと、気付いたこと、そして身の回りに起きた出来事をここだけに綴っていきます。【連載/小竹正人の『泥の舟を漕いできました』】
第46回「新年の誤挨拶」

正月、というか、1月の初頭が大好きだ。
元旦から仕事をされているたくさんの方々には大変申し訳なく思うが、私は日本中が正月休みで、近所が静まりかえってシーンとしたあの感じ、空気が明らかに澄んだあの感じが本当にもう大好物。ここ数年は特に。
そして、この時期は、自分が大好きな人たちだけに自由に会えるのが嬉しい。
ピコ(10歳)もピチャオ(6歳)もミニロ(2歳)も学校や幼稚園や習い事がないから普段よりずっとたくさんの時間を一緒に過ごせる。
子どもたちといると、誰に会ってもどんな本を読んでもどんな映画やドラマやYouTubeを見ても湧き上がらない混じり気のない純度100%の愛しさや優しさが湧いてくる。そして、子どもという、人間の初期段階の生息を間近で見ると、あれやこれや何とも気づきが多く、私は彼らに自分の育て直しをしてもらっていると確信する。冬休み、万歳。
また、時間を気にせずに、いつもの3人の友人(YOU、今日子、マツコ)と我が家に集って、ひたすら話したり食べたりできるのもこの時期ならでは。
私以外の面子がそうそうたるものなので、よく、「何を話してるの?」「めちゃくちゃ強烈そう」といわれるが、私たち4人の集まりは、それはもう質素である。
外に出て、ちょっと小洒落たレストランに行ったり、誰かの誕生日プレゼントをみんなで買いに行ったり、そういうことはもう10年前に卒業した。今は早い時間から集合して、すごく地味なものをつまみながら、夜までいろんな話をする。
我々は数十年もの付き合いだが、思い出話はほとんどしない。そして、お互いの悲しみや辛さを見せつけ合ったりしないが、無関心も装わない。
他人に気を遣いがち(マジで)な私たち4人が、素のままでダラダラ一緒に過ごすと、私にはそれだけで心の鎮静効果が絶大。トゲトゲしていたものがツルツルになる感じすらする。
ただし、ご多分にもれず、食べる量は昔よりぐっと減り、話題はすぐに健康のことになりがち。いとおかし。
20年以上続いている正月の恒例行事として、妻夫木聡氏との初詣もある。
毎年欠かさず同じお寺に参拝し、神聖な気持ちになり、新しい年が始まった実感がひしひし。
その後ランチを共にし、ランチ代をどちらが払うかをじゃんけんで決める。
昔は2人でゲームをやるたびに(最長36時間連続眠らずにやったことがある)、勝ち負けをめぐって本気で喧嘩しまくったものだが、今はもうランチじゃんけんに勝っても負けても2人で大笑い。
こんないい歳になったら、もう絶対に新しい親友なんてできない。
自分の性格や出自や歴史を知ってもらうのも相手のそれらを知るのも面倒。だからこそ長年の友人は私にとってもはや家族同然。ありがたい。
そんなこんなで今年も例年通り気楽な年始を過ごし、気づけば仕事や病院通いが始まり、あっという間に日常が戻ってきた。…いやだなあ。ずっと正月気分でいたいなあ(本気でいってます)。
ほんの1、2週間位前のことなのに、年が明けてみんなに会ったのが、もう何ヶ月も前のような気がする。それほど日常とは慌ただしいものなのである。
さっき近所のスーパーでばったり今日子に会ったが(私たちは昔からしょっちゅう偶然に遭遇する)、慌ただしく喋って慌しく「じゃあね」と言い合った。ああ、日常。
10代20代30代40代、それぞれ「あっという間に過ぎた」と誰もがいう。私もそう思う。歳をとればとるほど、時間の体感速度はスピードを増すのかも。
そんな私が今年願うことは「みんな(自分含む)の健康」、ただそれだけ。
みなさま、健やかな1年を。
そして、まさかの1月の終わりにすでに「早く来い来い(来年の)お正月」と思っているどうしようもない私を今年もなんとなくよろしくお願いいたします。
What I saw~今月のオフショット

この連載が始まって以来、新年1発目の写真に必ず登場の妻夫木さん。昨年はドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」に自分でも怖いほどハマってしまい、見事に毎週彼に泣かされました。人生でやったことのない競馬をやってみたくもなりました。続編を激しく希望。

ハワイに行った藤原樹(THE RAMPAGE)と砂田将宏(BALLISTIC BOYZ)が送ってきた写真。20年ぶりにハワイ熱が再燃している私は、ふたりが羨ましくて仕方なかったので、ハワイのスーパーで欲しいあれこれをしっかり買ってきてもらいました。ありがとういっちゃん、将宏。

樹に頼んだのは、乾燥機に入れるシート。アメリカに暮らしている頃からの私の必需品です。キツ過ぎない匂いのものを3種類も買ってきてくれた。以前これをネット購入したら、すごく嫌な思いをしたので、仲のいい誰かがアメリカに行く際にお願いするようになってます。
小竹正人(おだけまさと)
作詞家。新潟県出身。EXILE、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE、E-girls、中島美嘉、小泉今日子など、多数のメジャーアーティストに詞を提供している。著書に『空に住む』『三角のオーロラ』(ともに講談社)、『あの日、あの曲、あの人は』(幻冬舎)、『ラウンドトリップ 往復書簡(共著・片寄涼太)』(新潮社)がある。

