複雑でやっかいだけど、でもどこか愛おしい。そんな一家をじんわりと広がるような優しさの視点で描いた映画『架空の犬と嘘をつく猫』が大ヒット公開中。高杉真宙さんは、押し付けがましさのない誠実さで主人公・山吹を演じる。撮影現場で大切にしていること、心のバランスのために外せないことを聞いた。
自然体でいられた特別な現場

映画『架空の犬と嘘をつく猫』で注目したいのは、高杉真宙さんを含めたキャスト陣。伊藤万理華さん、深川麻衣さん、安田 顕さん、余 貴美子さん、柄本 明さんと豪華俳優が集結した。高杉さんは当時の様子を振り返る。
「本当の家族みたいな現場というと大袈裟なんですが、すごく居心地が良かったんです。印象に残っているのは、休憩所で机を囲んでお弁当を食べていたときに、とくに会話がなかったこと。それがまったく気まずくなくて、むしろ家族ならではの距離感のように感じて、ひとりでしみじみとしていました(笑)」
そして、家族を演じたキャストに感謝の意を口にする。
「助けられた瞬間がすごくありました。自然な佇まいでいてくださったので、僕自身はセリフを覚えて、山吹の気持ちを持って現場に行けばいいというか。お芝居のなかで、投げれば投げ返してくださいますし、投げてくれたら僕はそれを受け取るだけで十分で。言葉を多く交わさずとも、信頼感があったので、すごく貴重な経験をさせていただきました」
映画の制作には、キャストやスタッフなど本当に多くの人が関わっている。そのなかで高杉さんは居心地の良い現場を作り上げる一翼を担う。
「ご一緒するからには、気持ち良く仕事をしたいなと思っています。楽しくワイワイと言うと少しニュアンスが違うのですが、誰もが心地良く撮影ができたらいいなと思って、挨拶はしっかりするように意識しています。ちょっとしたことなんですが、しっかり挨拶することで、気持ち良くその日を迎えられたり締められたりするので、それだけは欠かさずしているかもしれません」

不器用ながらも人を思う山吹には、込み上げてくる感情を自分自身で消化する方法がある。それは、少しでも上手に生きていくために、必要なこと。
「彼の世界で生きていくための秘訣だったんじゃないかなと思います。でもきっと誰にでもあるんじゃないでしょうか。僕の場合は、よく食べて、よく寝ること。食欲はシンプルに生きていくことに直結していくので、食べることの素晴らしさはすごく感じています。寝食を整えることで、自分のバランスも整っていきます」
本作は「家族をやめたい人たちへ」と問いかける。30年の長い時間をかけて家族が本当の意味で“家族”になっていく――。
「ご覧になる方々を優しい気持ちに導く力を持っている映画が完成したと思っています。自分や身の回りの人だけではなく、すれ違う人や全然知らない人たちにも彼らなりの背景があっていろんな事情があるということを汲んで生きていくことが、優しさにつながるんじゃないかと思うんです。それを感じさせてくれるような作品ができたので、ぜひ多くの人に観ていただきたいです」
【大ヒット公開中!】映画『架空の犬と嘘をつく猫』

出演/高杉真宙・伊藤万理華・深川麻衣・安田 顕・余 貴美子・柄本 明 ほか
監督/森ガキ侑大
原作/寺地はるな『架空の犬と嘘をつく猫』(中央公論新社刊)
配給/ポニーキャニオン
usoneko-movie.com
X @usoneko_movie
Instagram @usoneko_movie
高杉真宙(たかすぎまひろ)
1996年7月4日生まれ、福岡県出身。2009年に俳優デビュー。12年には映画『カルテット!』で初主演を務める。14年『ぼんとリンちゃん』で第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、17年『散歩する侵略者』で第72回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞。近年の出演作に、NHK大河ドラマ「光る君へ」(24)、TBS日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(25)、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-/-決戦-』(23)、『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』(25) 、『盤上の向日葵』(25)などがある。
X @MahiroTakasugi_
Instagram @mahirotakasugi_

