四半世紀以上の時を超えて愛されるスピッツの名曲「楓」にインスパイアされた映画『楓』が12月19日(金)より公開。大切な人を失った男女が紡ぐ、切なすぎる恋の行方が、サプライズと涙を誘う。愛するからこそ伝えられなかった想い。相手に気を遣うことで生じた歯車のズレ。別れを経験したふたりが辿り着く先とは――。
大切なひとを失ったふたりの喪失と再生の物語

――恋愛作品はなんと9年ぶりだそうで!
意識していたつもりはなかったんですけど、期間が空いてしまいましたね(笑)。僕は、恋愛作品は観るのも演じるのも好きなので、お話をいただいたときは率直に「面白そう」と思いました。また、スピッツさんの名曲のひとつである「楓」が原案だと聞いて、より惹かれました。
――「楓」が発表されてから27年、様々なアーティストにカバーされ、高校の合唱曲ともなっているほど、世代を超えて多くの人に愛され続けている名曲ですが、主演としてプレッシャーを感じることはありましたか?
そうですね、責任をすごく感じています。楽曲ファンの方もたくさんいらっしゃると思いますし、ファンの方同士でこの曲の解釈をお話ししているそうなので、その方たちがどういうふうに受け取ってくれるのかは、ある種恐れていることです。ですが、解釈のひとつの“在り方”を提示できる作品になったのではと思います。
――「楓」の聴き方、感じ方は変わりましたか?
元々大好きな曲ですが、この作品に携わるようになってからは常に流していました。この曲をBGMに、台本を読み進めていくと、印象や見え方が変わったりして。そういえば、行定監督との最初の打ち合わせのとき、「楓」を流しているところに監督がいらっしゃって、切るタイミングを逃してしまい、ミーティングの間ずっとリピートされたことがありました(笑)。

――福士さんが演じるのは、性格の異なる双子の須永涼と恵の一人二役。事故で亡くなってしまった恵の恋人・亜子の前で恵のフリをしてしまうという、複雑な役どころですが、大変だったことはなんですか?
一人二役は違うキャラクターだと思えば、そんなに難しいことではないんです。だけど、今回は双子の役で、違うところが右利きか左利きか、メガネをかけているかという部分で、そのうえでは“恵のフリをする涼”を演じている時間がほとんどなんです。右利きの人物が左利きのように生活する演技をしたり、元の性格を偽って明るく振る舞う演技をしたりと、二重で演じるのは難しかったです。涼と恵、恵のフリをしている涼と、3人分を演じたような気持ちです(笑)。
――涼を演じるうえで、いちばん大事にしていたことはなんですか?
隣にいる亜子という存在を常に意識することです。涼は、亜子に「ウソをついている」という後ろめたい気持ちがある奥手なキャラクター。その一方で、「亜子に悩みがあるんだったら、全部自分が受け止めてあげる」という、優しさと愛おしい視点を持っています。それを表現するために、現場では、亜子を“見ている”という時間は長くあるように努めていました。

――亜子を演じた福原さんとは、どんなコミュニケーションをとっていましたか?
過去に共演したことはあるのですが、ここまでお芝居を多く交わしたのはこの作品が初めてでした。特別になにかしたわけではないのですが、カップルらしいシーンもたくさんあるので、自分から壁をつくらず素をさらけ出していたら、福原さんも心を隠さず出してくれるようになったので、楽しく撮影できたと思います。
――そんな福原さんの印象は?
福原さんはとてもまっすぐな人です。穿った視点ではなく、何事もまっすぐ捉えるピュアなところが福原さんらしいなと思います。たまに「こんなにまっすぐで大丈夫なのか?!」と心配になることもありますが(笑)、その気持ちがお芝居に反映できることもあって。亜子に対する涼の想いと重なる部分もあると思い、お芝居のなかで自然に使うことができました。
――映画『世界の中心で、愛をさけぶ』『ナラタージュ』『劇場』など、数多くのラブストーリーを手がける行定監督とのタッグはいかがでしたか?
監督は「恋愛作品の根底にあるヒューマンドラマが好きだ」とおっしゃっていて、僕と考えが似ていると思ったんです。CGやアクションをふんだんに取り入れたものではなくて、恋愛における人間の心模様を大事に描きたいというお話しに、すごく突き動かされました。

――福士さんは英語や他の言語の勉強をしていると伺いましたが、そのモチベーションはなんですか?
シンプルに言語が好きなんでしょうね。そのなかでも、特に“音”が好き。「何を区別して聞き分けているんだろう」という興味があるんです。もちろんコミュニケーションが取れた瞬間も嬉しいですし、もっと密に取れたらいいなと思うのですが。とにかく、言葉が発せられる音を聞いているのが好きです。
――次々と言語を習得していく福士さんの目下の目標は?
その言語で映画を観ることですかね。英語はそれができるようになったし、他の言語でもできるようにがんばります!
【12月19日(金)公開!】映画『楓』

出演/福士蒼汰 福原遥
宮沢氷魚 石井杏奈 宮近海斗 ほか
監督/行定勲
原案・主題歌/スピッツ「楓」(Polydor Records)
配給/ 東映/アスミック・エース
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福士蒼汰(ふくしそうた)
1993年5月30日生まれ、東京都出身。2011年に俳優デビューし、「仮面ライダーフォーゼ」(11/EX)でドラマ初主演。その後、数々のCM・ドラマ・映画などの映像作品で活躍。近年の主なテレビドラマ出演作に、「星から来たあなた」(23/Prime Video)、「弁護士ソドム」(23/TX)、「大奥」(23/NHK)などのほか、海外デビュー作品となった「THE HEAD」Season2(23/Hulu)や主演作「アイのない恋人たち」(24/ABC・EX)などがある。「アクターズ・ショート・フィルムズ4」(WOWOW)で初めて監督を務めた。今後の公開待機作に、主演を務めるテレビドラマ「東京P.D. 警視庁広報2係」(フジテレビ系)が2026年1月13日からスタートし、トリプル主演で出演したNetflixの韓国ドラマ「恋の通訳、できますか?」が2026年1月16日に配信が開始される。
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