結婚して、子どもを産む。それって当たり前のこと? すべての女性が、自分の人生を自分で考え、決められる未来のために、できることとは――。「#女性の健康が世界を変える 」をコンセプトにした「Women's Wellness Action from shibuya」プロジェクトの副実行委員長・小池ひろよさん、ジョイセフ広報の廣瀬礼子さんに話を聞いた。
まず知っておきたい、SRHR
SRHRとは、Sexual and Reproductive Health and Rights(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)の頭文字をとった言葉。日本では「性と生殖に関する健康と権利」と訳されている。
例えば
・自分のセクシュアリティ(性)を自分で決める。
・子どもを持つ・持たない、そしていつ、何人持つのかを自分で決める
・妊娠、出産、産まない選択(避妊や中絶)について正しい情報を得る
など、「性」と「生殖」にまつわるすべての権利のことをさす。
下記のようなことも、SRHRの課題のひとつ。
・セックスに乗り気じゃなくても、パートナーからの誘いを断れなかった
・セックスのときに、自分の希望を伝えられない
・避妊は男性任せ
・生理で体調不良であることを言いづらい
私たちには、妊娠・出産・避妊・中絶、性と生殖にまつわるすべてにおいて、自分で決められる権利がある。
正しい知識を身につけて、心地よく暮らしていくために、SRHRのこと、そして日本における課題は知っておきたいもの。ひとりひとりがウェルビーイングに生きられてこそ、その先に明るい未来が待っているはずだから。
このSRHRを、生まれながらに持つべき権利と考え、課題解決へ向けて動き出したプロジェクトがある。
「Women's Wellness Action from shibuya」が目指す未来
それが、「Women's Wellness Action from shibuya(WWAs)」。
女性が日々直面する特有の健康課題への認知を拡大し、解決のための行動を促進することを目的に2022年の国際女性デーに設立。「#女性の健康が世界を変える」をコンセプトに活動を行っている。
「女性が毎日笑顔でいること、元気でいることで、家庭や職場に与える影響は大きいですよね。ひとりひとりが自分のことを好きになること、そして笑顔につながるようなアクションを届けたいと思っています」とは、WWAs副実行委員長の小池ひろよさん。
より多くの人に正しい知識を知ってほしいという思いから、公益財団法人のジョイセフとタッグを組む。ジョイセフは、国連や国際機関、各国の省庁と連携してプロジェクトを行う日本生まれの国際協力NGO。日本国内においてもWHOをはじめとした国際基準の情報発信や、SRHRにおける課題解決に向けたサポートを行なっている。
「SDGsというと、日本では環境問題に目を向けられがちですが、重要視すべきは“人”に関わる目標。例えば『目標3. すべての人に健康と福祉を』の中であげられている“ファミリープランニング(家族計画)”。避妊なども含めて、このファミリープランニングがうまくいくことで、家族計画を全ての人が実施できることで貧困が撲滅でき、教育や環境問題などさまざまな課題を、一番コストをかけず達成に近づけられると世界的にはいわれています。
子どもを産むかどうか、産むならいつにするか、どの避妊法を選ぶのか、性感染症を防ぐために何をするか。女性が自分らしく生きるためには、性と生殖に関する自己決定権と健康がとても重要です。ひとつ注目しているデータがあるのですが、予期せぬ妊娠による人工妊娠中絶件数は、10代と40代で比較すると、40代のほうが多いんです。理由はさまざまですが、この事実からも日本の大人の女性の“自分の人生を自分で選択する”という自己決定権に課題を感じます。
日本では避妊の選択肢が世界に比べて少なく、コンドームが一般的。性交渉時に男性につけてほしいと伝えられない、女性が主体的に避妊をするのは、はしたないと思われてしまうという気持ちの問題があることも、ジョイセフが隔年で実施しているI LADY.「性と恋愛」意識調査で明らかになっています。
すべての人が違うことは当たり前。すべてのカップルに子供がいないことも当たり前。SRHRについて適切な知識を持ってもらいたい。その上で、自分で選んで自分で決めるというライフスキルを身につけていただけたらと思っています」(ジョイセフ広報 廣瀬礼子さん)
主催イベントにも注目!
10月8日には、国際ガールズデー(10月11日)に合わせて『CHOICE FES SHIBUYA』をジョイセフとWWAsが共催。月経をテーマに、自分と向き合うためのヨガや、ワークショップ、トークイベントなどを行った。
20代中心に約220名が参加したこのイベントで、特に反響があったのが、FTMについてのトークセッション『FTMってなに?〜男になった「もと女子」事情〜』。
FTMとは、Female to Maleの略で、トランスジェンダーのひとつ。
このセッションには、元なでしこリーグでサッカー選手として活躍し、現在はYouTuberとして活動するミュータントウェーブの3人が参加。自身も女性から男性に戸籍を変更した過去から、FTMや生理についてトークを繰り広げた。
参加者はこのイベントを通して、さまざまな視点からSRHRについて考えられる良い機会となったはず。
WWAsは、若い人たちにも正しい情報や知識を届けたいという想いから、WEBでの発信に注力しているという。
「現在約100名弱の方々をサポーターとして迎え、一緒に活動しています。ミュータントウェーブさんのように元アスリートなど、発信力のある皆さんと取り組んでいることも、価値のあることだと思っています」(小池さん)
毎年11月に渋谷で開催している『SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA (SIW)』では、女性の社会課題や、ウェルネスをテーマにしたコンテンツにも参加。
「今、行政と企業が一緒になって女性の社会課題のテーマに取り組んでいます。私たちの活動に賛同してくださる企業も多く、このテーマが大きく見直されている時代であることを実感しています。WWAsの拠点である渋谷は、企業の思いや情報が集まる場所であり、若者が集まる街でもあります。ここから多くの人に情報を届け、それぞれの人生を自己決定していくアクションにつなげられるように頑張っていきたいですね」(小池さん)
Women's Wellness Action from shibuya
https://womens-wellness-action.com/