なんだか調子が悪い…それはもしかしたら、日々のストレスで体のバランスが崩れているせいかも。そこで役に立つのが、心と体を内側から整える「漢方」。セルフメディケーションとしての漢方の取り入れ方を「わたし漢方」の水沼未雅さんがナビゲート。
夏のお悩みといえば、夏バテ。前回の記事では人それぞれの体質における夏バテの特徴や、出やすい症状ごとのおすすめアプローチについて解説しました。今回はどのような体質の方にもおすすめしたい「夏バテに有効な生活習慣の改善」をテーマに、漢方医学の目線から解説していきます。
漢方薬によるアプローチは人によって異なりますが、どのような体質であっても良い生活習慣というのは大切です。食生活が偏れば必要な栄養は行き渡りませんし、夜ふかしが続けば身体を回復するのも難しくなってしまいます。普段の何気ない行動が積み重なって不調の原因となっている場合も多いので、良くない習慣はひとつひとつ改善していけるようにしましょう。
特に夏バテ対策において大切なのは、内臓(胃腸)を温める(冷やさない)こと、体温調整に気をつけることです。
胃腸に負担をかけないためには?
胃腸の消化吸収機能や栄養を行き渡らせる働きをする「脾」と呼ばれる部位は、高温多湿な夏の時期に弱りやすいとされています。脾が弱まれば栄養の吸収や分配が不十分になるので、身体全体がエネルギー不足に陥りやすくなってしまいます。
胃腸を整えていくうえで、特に見直していきたいのは食生活です。
暑い時期には冷たい食べ物や飲み物が欲しくなりますよね。トマトやナス、きゅうりなどを代表とする夏野菜には余分な熱を冷まして水分を補ってくれる効果があるので、夏バテに適応する力を持っているといえます。旬の食材というのは美味しいだけでなく、その時期に自然から与えられる恵みを最も吸収しています。新鮮で栄養価がとても高いため、その時期に合った身体をつくるうえでとても相性が良いといえます。
その一方で、生のままや冷やしたものを多量に食べることは、必要な熱も奪ってしまう可能性があるので、食べ方や食べる量には注意が必要です。
また、普段から朝食を食べないという方もいらっしゃるかもしれませんが、生活のリズムを整えるという理由からもなるべく食べる習慣をつけましょう。
無理をしてたくさんの量を食べる必要はなく、お味噌汁を一杯だけという程度でも大丈夫です。お腹の中から温めてくれるので、消化活動がスムーズになり、さらに味噌の発酵パワーが腸内環境に良い働きをしてくれます。具を工夫すれば野菜を多く摂ることもできます。
スムージーやヨーグルトは忙しい朝でも食べやすく取り入れている方も多いですが、胃腸が冷える原因になっている場合もあるので、摂り過ぎに注意しましょう。
消化の良いものや身体を温めてくれる食材をうまく取り入れていけるとより良い食生活になります。
体温調整に気をつけるには?
なんといっても大切なのは、身体を冷やしすぎないことです。
冷房の温度をはじめとする自分の周囲の環境を見直して、室内と外の気温差をなるべく少なくすることで身体への負担を軽減できます。
職場や出先などの冷房が効いた場所に長時間いる際にはカーディガンを羽織ったり腹巻きを使ったりして、身体を冷やしすぎないように心がけましょう。
暑い季節だからといってシャワーだけで済まさずに、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることもおすすめです。気づかない冷えの対策にもなり、リラックス効果も期待できます。
忙しい日々の中ではなかなか意識ができなかったり、ライフスタイルや心身の状態によっても取り入れていける方法も変わってくるかと思います。
自分に合った方法を見つけていきましょう。
いかがでしたか? 暑い中でも素敵な毎日を過ごせるように、一見関係なさそうに思える日々の生活や体調の変化を見逃さずに、適度な休息と養生を心がけていきましょう。
水沼未雅(みずぬまみか)
わたし漢方創業者・薬剤師。京都大学薬学部卒業後、東京大学大学院薬学系研究科で博士号(薬学)を取得。アストラゼネカで新薬の上市プロジェクトにかかわった後、マッキンゼー・アンド・カンパニーでヘルスケア関連プロジェクトを担当。漢方で自身の不調が改善した経験から、「もっと漢方の良さを広めたい!」という想いで2017年に『わたし漢方』創業。
わたし漢方
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