女性医療ジャーナリストの増田美加さんによる連載。人生の基礎になる“健やかな体”を手に入れるための最新知識をお届けします。
10月は「ピンクリボン強化月間」。例年なら乳がんの啓発イベントがあちこちで行われますが、今年はコロナ禍で中止が相次いでいます。
でも、モニュメントのライトアップやセミナーなどを実施する「ピンクリボンフェスティバル2020」は一部開催されていますので、気になる人は覗いてみてください。
ピンクリボン強化月間にちなんで、アラサー世代に知っていてほしい乳房のセルフチェック法をご紹介します。
月1回はおっぱいを真剣に触って!
乳房のセルフチェックは、20歳から毎月行いましょう。生理が終わって2日目から3日目がおすすめです。生理前、生理中の張りがおさまり、乳房がやわらかくて安定している時期に行います。
まず、鏡の前で両腕を上げた状態で、
☑左右の乳房の形や大きさに変化はないか
☑乳房や脇の下、鎖骨周辺にしこりはないか
☑皮膚にへこみやひきつれはないか
☑乳首にただれやへこみはないか
☑乳首から分泌物は出ていないか
をチェックします。
両腕を下げて、力を抜いた状態でも同様に変わりはないかチェックします。
触り方は「の」の字で!
指の腹で、乳房の真ん中、乳首かららせん状に移動していきますが、そのときに4本の指を揃えて、小さな「の」の字を描きながら移動するのがコツです。
お風呂でボディソープをつけながら
石鹸やボディソープ、ジェルなどをつけると、乳房の凹凸がよくわかります。
指の腹でクルクルと、クリームを塗りこむような感じで、乳房全体はもちろん、リンパのある脇の下、鎖骨周辺も丁寧に触ります。
指でつまむように触るのはNGです。しこりを発見しづらくなります。
あお向けで寝た姿勢でも
入浴時だけでなく、ベッドの上であお向けに寝て触ると、起きた姿勢では発見できないしこりに触ることがあります。
寝る前に、あお向けの姿勢で、あまり高くない枕か、タオルを折って、背中の下に入れます。チェックするほうの腕を上げて行います。脇の下も忘れずに触ります。
前の月と違う!がサイン
セルフチェックは毎月行うことで、前月との違いに気づくことが大切です。「いつもと違う!」と感じたら、乳腺科を受診しましょう。
乳がん検診やセルフチェックの情報、近くの医療機関検索は、こちらのサイトでわかりやすく取り上げています。参考にしてみてください。
「ワコール ピンクリボン活動」
https://www.wacoal.jp/pink_ribbon/selfcheck/
セルフチェックは、毎月行うことで、前の月との違いがないかを確認することが大切です。「いつもと違う!」と感じたら、乳腺外科を受診しましょう。
アラサー世代の乳がん、どんなことに注意すれば?
20代30代の乳がんに関しては、さまざまな情報があふれています。正しい知識を得て、冷静に行動してほしいと思います。
「どんな人がかかりやすく、何に注意すべき?」について、まとめました。
まず、知ってほしいのは、20代、30代の乳がんは、乳がん全体の3%未満[*]しかいないということです。非常に少ない数です。
34歳以下の乳がんのことを「若年性乳がん」といいます。
今年、日本女性の乳がんは、9人に1人となって、日本でかかる人が最も多いがんで、罹患者数、死亡者数も増加し続けています。
けれども「若年性乳がん」は、40代、50代の乳がんと比べて決して多くないのです。
乳がんは、40代〜60代の女性がかかる率が高いがんです。
20代、30代で乳がんにかかるリスクは決して高くありません。必要以上に心配する必要はありません。
*厚生労働省 若年性乳がん患者のサバイバーシップ支援プログラムより
20代30代で、乳がんに注意すべきは?
34歳以下の若い世代で、乳がんに気をつけたいハイリスクの人は、血縁に乳がんや卵巣がんの方がいらっしゃる場合です。
若年性乳がんは、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と関係しているといわれています。HBOCは、女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが告白したことでも有名です。
ただし、遺伝性の乳がんは、乳がんや卵巣がんにかかった人全体の約1割以下です。多い数ではありません。
もしも、血縁(母、姉妹、祖母、叔母、いとこ)に乳がん、卵巣がんの方がいらして心配な場合は、20代30代でも一度、乳腺外科専門医を受診して相談してください。
若い世代の若年性乳がんについての詳しい情報は、
「厚生労働省 若年乳がん患者のサバイバーシップ支援プログラム」(http://www.jakunen.com)が参考になります。
若年性乳がん体験者の会「Pink Ring」(https://www.pinkring.info/)もあります。
アラサー世代の乳がん検診はどうすれば?
20代、30代は、自治体などの乳がん検診(対策型検診)はありません。
もしも20代、30代で、乳房にしこりなどの症状を感じたら、乳腺専門医がいる乳腺外科、外科(乳腺専門)を受診することが大切です。多くの産婦人科は、乳腺は専門ではありませんので、間違えないようにしましょう。
症状がある場合は、検診ではなく、診療ですので、健康保険が使えます。
乳房に気になる症状がなくて、血縁に乳がんや卵巣がんの方がいらっしゃらなければ、必要以上に心配しなくて大丈夫。マンモグラフィなどの乳がん検診を受ける必要はありません。
20代30代は、先ほど紹介した乳房のセルフチェックを月1回、生理終了から2~3日後に毎月、行うことが大切です。
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