女性医療ジャーナリストの増田美加さんによる連載。人生の基礎になる“健やかな体”を手に入れるための最新知識をお届けします。
ひたひたと迫る更年期の予兆・・・を感じることはありませんか? 更年期とは、閉経を挟んで前後の5年の約10年間の時期をさします。その更年期の前段階の時期を“プレ更年期”と呼んでいます。このプレ更年期の症状は、30代後半から40代に起こることが多いのですが、人によっては30代前半から早くもプレ更年期症状に悩まされているケースもあるのです。その不調はもしかしたら、プレ更年期症状かもしれません。あなたのプレ更年期度をチェックしてみませんか?
プレ更年期の症状は多彩で不安定
プレ更年期は閉経前で、まだ更年期ではない時期に、更年期の予告症状が出始めた女性をさす言葉と考えてもいいでしょう。
このプレ更年期に起こる症状は、ひたひたと迫る更年期の予兆のようなものです。
始まりは、「自律神経失調症?」「うつ?」「それとも風邪をひきやすくなった?」と思うこともあります。そのくらいプレ更年期の症状は、多彩で、不安定で、揺れ動きます。うまく言葉で言い表せない症状が多いのです。自分でもよくわからない症状が起こり、それがプレ更年期の仕業と気づかないこともあります。
けれども「こんな症状はある?」と聞かれると、「そうそう」とあてはまることがわかるのが、プレ更年期なのです。
「あなたはプレ更年期?」チェックしてみましょう
「もしかして、この症状はプレ更年期かしら?」と思ったら、この「プレ更年期テスト」でチェックしてみましょう。プレ更年期がどの程度進んでいるかによって、どう予防したらいいかの対処法がわかります。
次の症状の中から深く考えず、「そういえばある」と今、感じている症状にチェックして、1項目1点としてその合計を出してみてください。
【体のこと】
□ 生理のときの出血量が減ってきた
□ 生理周期が短くなった
□ 顔がほてることがある
□ 首から上に汗をかきやすい
□ 腰や手足が冷えやすい
□ 息切れ、動悸がする
□ 便秘しやすい、下痢しやすい、胃もたれしやすい
□ 頭痛、めまいがある
□ 疲れやすい
□ 肩こり、腰痛、手足の痛みがある
□ ひざや手首、指など関節が痛むことがある
□ ダイエットしても体重がなかなか減らない
□ トイレが近くなった、ちびってしまうことがある
□ 腟が乾燥してセックスのときに痛みを感じる
□ 目がかすむ、目が悪くなる
・・・□/15点
【心のこと】
□ 寝つきが悪い、または眠りが浅い
□ 怒りやすく、すぐイライラする
□ クヨクヨしたり、うつっぽくなることがある
□ 以前より涙もろくなった
□ 固有名詞が思い出せなくなった、忘れっぽい
□ 小さなことが気になる、昔のことを思い出してこだわる
□ 以前より判断力が遅くなった
□ 以前より意欲が低下していると感じることがある
・・・□/8点
【お肌のこと】
□ 肌が乾燥する
□ 肌のたるみが気になる
□ 肌がくすみ出した
□ しみ、シワが気になる
□ 髪の毛のハリがなくなる、白髪が目立つ
□ 爪が割れやすくなる、爪にすじが入る
□ 口の中が乾く
・・・□/7点
合計点・・・□点
プレ更年期度と注意したいポイントがわかります
いかがでしたか? チェックした項目を1項目1点として合計点を出してみてください。今のあなたのプレ更年期度と注意すべき点がわかります。プレ更年期の不調予防のために役立ててください。
■5点以下 「プレ更年期心配なし」
現状では、プレ更年期の心配はありません。このままの体調を維持していけるようにしましょう。自分の体調に敏感になって「あれ?おかしい?」と変化を感じた段階で、婦人科に相談するのも対策になります。早めに対策をとると、プレ更年期はもちろん、更年期障害の不調も乗り越えて、元気を維持できます。
■5点~10点 「プレ更年期予備軍」
まだ、プレ更年期とは言えませんが、プレ更年期になりそうな兆候がいくつか見られます。つらいプレ更年期の不調が出ないように、またひどい更年期障害が起こらないようにするためにも、食事と定期的な運動、生活リズムを整えるなど、今のうちに不調解消の対策を行っていきましょう。
■10点~20点 「プチ・プレ更年期」
ちょっとだけプレ更年期に入っています。このまま不調が続くと、「りっぱなプレ更年期」になりかねません。将来の更年期障害を予防するためにも、今のうちに不調改善の対策を立て、すっきりと体調を整えておきましょう。食事と定期的な運動はもちろん、睡眠をしっかりとることも大事。それでも不調があるようなら、ぜひ婦人科で相談しましょう。
■20点以上 「りっぱなプレ更年期」
りっぱなプレ更年期です。気になる症状、つらい症状は、女性ホルモンの低下が原因かもしれません。不調は解消できます。まずは婦人科を受診して、原因を検査して、対策をたてましょう。特に病気が隠れておらず、女性ホルモンの分泌の減少が原因ならば、婦人科医と相談して低用量ピルなどで治療することもいいでしょう。
プレ更年期対策のキーポイントはエストロゲン
婦人科で、更年期やプレ更年期の不調対策のキーポイントとなるのは、エストロゲンなどの女性ホルモンです。もしも、女性ホルモンの低下によるプレ更年期からくる不調なら、エストロゲンのバランスを整えればいいわけです。
女性ホルモンのバランスを整える方法として代表的なのが、低用量ピル。欧米の女性の多くが、避妊のためだけでなく、健康と不調対策のために低用量ピルを使っています。
ほかにも、更年期障害の治療で行うホルモン補充療法(HRT)で使うエストロゲン剤などがあります。
更年期障害に悩まされる前に、プレ更年期を感じ始めたら、低用量ピルやエストロゲン剤などの女性ホルモン剤を上手に使うといいと思います。
低用量ピルは、多くの人が快適に安全に使えてメリットが大きい薬です。世界中の何十億人の女性が使っています。ただし、乳がんなどの病気を経験した人は、使えませんので注意が必要です。
現代女性は、より賢く情報を選択することで人生が大きく変わってきます。プレ更年期対策を上手に行い、やってくる更年期を美しく元気に過ごしてください。
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