フリーアナウンサーの青木源太さんによる美容×コミュニケーションにまつわる連載。第5回目の今回は、香りについて。
vol.5 いつかこの香りを思い出してきっと泣いてしまう
僕は幼少期、成田空港の近くに住んでいたので、同じマンションに外国人の家族がたくさんいた。下の階にアメリカ人の家族が住んでいてよく遊びに行っていたのだが、出てくる洋風のお菓子と同じくらい楽しみだったのが、その家の香りだった。なんとも言えない甘い香りに、少年時代の僕は異国情緒と安らぎを感じていた。
大学に入ってからは、柔軟剤の香りにハマった。イケてる友達がほとんど同じニオイだったのだ。聞いてみるとダウニーのエイプリルフレッシュを使っているらしい。僕もすぐに真似して使い始め、エイプリルフレッシュの香りに包まれながら授業を受けていた。
最近では、柔軟剤ではなく、加香剤も増えている。そのなかで最もメジャーなビーズタイプは、量の調整がしやすいため、自分の好みで香りの強さを調節したい人にぴったり。手軽に使えるタイプだといえる。ただし、たくさん香りをつけたいからといって一度にあまりに多くの量を使ってしまうと、溶け残ってしまい衣類が汚れるので注意が必要だ。あとは、周囲への匂いの配慮も。最近では「スメルハラスメント」なるものもあるらしい…。
香りというのは記憶を呼び起こす。特定の香りが、それに結びつく記憶や感情を呼び起こす現象は、プルースト効果と呼ばれている。KinKi Kidsの堂本剛さん作詞、堂本光一さん作曲の名曲「愛のかたまり」にも、プルースト効果をイメージさせる表現がある。皆さんも、切ない恋の思い出を“この香り、もしかして…”と思い出した経験、ありませんか? ただ思い出すだけでなく、香りと一緒だとその人が本当にそこにいるかのように、リアルに脳に蘇るのです。
甘酸っぱい思い出は、香りと共に記憶されている。誰しも青春時代を思い出す香りがきっとあるはずだ。僕は、階下のアメリカ人家族の家の香りにもう一度出会う機会があったら、泣いてしまうかもしれないな。
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