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LIVING仕事

2022.10.18

香りで日常を変えたい!“好き”という情熱を仕事に活かす考え方

自分らしく働くことは、自分らしく生きること、それは自分が主役の人生を歩むための大切な要素のひとつ。今回登場するのは、大手広告代理店で働きながら、社内の新規事業プランコンテストを経て夢実現への切符を手に入れたナカダユミさん。苦難を乗り越えての今、彼女の物語から“好きを仕事にする”ヒントを探って。

香りでみんなをウェルビーイングにしたい

ナカダユミ

この11月、ナカダさんは自身が手掛ける「eHz BOUTIQUE(エルツ・ブティック)」というフレグランスブランドを正式ローンチ。社内公募の新規事業プランコンテストで準優勝を勝ち取り、企業に属しながら“好きなことを仕事にする”という夢の一歩を踏み出した。

世の中に数多くのフレグランスが存在するなかで、今あえて彼女が香りを手掛けるその挑戦は、強い覚悟と情熱があってこそ。以前から個人的に香りを学ぶなかで、一日を過ごすプロセスに“活発”と“休息”の緩急があれば、そこには何気ない日常をより楽しめる“心の余裕”が生まれることに気付き、それは人間の本能である“五感”が鍵を握っている――という答えに至ったナカダさん。コロナ禍でさらに加速したストレス社会、香りを駆使して、みんなをウェルビーイングにできないものか。その想いが膨らみ、行動に移し、ついに形に!

「eHz BOUTIQUE」
ブランド名の「eHz BOUTIQUE」は、『Sync with good vibes.(心地よい波長と同期しよう)』がコンセプト。
「eHz(エルツ)」という言葉は、私たちの日常生活に欠かせない5つのE――Emotions(感情)、Every(いつもの/みんなの)、Environment(環境)、Energy(エネルギー)と、気持ちの変化を意味するHz(ヘルツ)を組み合わせた造語で、“人々のココロを震わせるような商品を世の中に贈り出していきたい”という想いが込められています。

リモートワークで味わったメンタルの崩壊

ナカダユミ

ブランドのローンチが決まるまでの、順風満帆とは言い難い道のりを振り返ってもらうと――。

ナカダさんは、大学卒業後、新卒で大手インターネット広告代理店の株式会社セプテーニに入社。海外事業部に配属され、営業職に5年ほど従事。外国籍の社員が半分以上というグローバルな環境のもと、憧れていた“バリキャリ”として、忙しくも楽しい毎日を送っていたそう。

2019年2月、念願だったサンフランシスコ拠点への出張を終えて帰国、仕事へのモチベーションがさらに高まったまさにそのとき…パンデミックの影響で業務はリモートワークに完全シフト。そこで、これまでに経験したことのない強烈な焦燥感に襲われてしまう。

「突然、都内の狭いワンルームで一人ぼっちで仕事をする日々が始まりました。かろうじて、窓から光が射すけれど、ちょうど運悪く近所で工事が3件も重なり、騒音がものすごくて…。そんな閉鎖的な空間のなかで仕事に没頭し、ふと気が付くと、デスクから離れるのは食事とお手洗いのときだけ。それ以外はずーっとパソコンの前に座っていました。
夜、ベッドに入っても、頭のなかは仕事のことでいっぱい。眠りは浅くなり、そのうえ、夢のなかでも仕事に追い立てられるという…精神的にまったくリラックスできない状態に陥ってしまいました」

オンオフの切り替えもできず、気分転換する余裕を失ってしまったナカダさんは、心と頭が仕事に侵食されていき、まさにメンタルが崩壊してしまったような状態に…。

“香り”で自分の気持ちを上向きに

ナカダユミ

オフィスの所在地、西新宿にて。高層ビルに囲まれた、いかにも大都会の真ん中という街並みのエリア。今は必要なときのみ出社する。

以前は、西新宿の高層タワーにあるオフィスへ颯爽と通い、仕事と両立させながら、プライベートの時間を使ってファッションの専門学校で勉強も。それは、いつの日か「クリエイティブな人たちを、裏方としてバックアップできたらいいな」という密かな夢を抱いていたから。しかしそれもコロナ禍で授業がストップすることが多くなり、もどかしい状況が続く。

「私はどこに向かっていけばいいのだろう」と、先の見えない生活に気持ちは落ちていく一方。リモートワークのストレスも相まって、これまでの人生で経験したことのない「どん底にいる」という気分になってしまった。そんな停滞期に、今の彼女につながる大きな転機が――。

「落ち込みまくっていたこの時期、私を救ってくれたのが“香り”の存在でした。あるときから、リモートワークで誰に会うわけではないけれど、朝起きて、『よし、今日も仕事を頑張ろう!』とお気に入りのフレグランスをつけるようになったんです。ほんの小さな気分転換のつもりが、香りのおかげで気持ちが瞬く間に上がっていくのを実感しました」

好きな香りをまとうと、そのときに選んだ香りによって、暗い気持ちにやわらかな光が差し込んだり、失いかけていたパワーがチャージされたりと、プラスの方向に気持ちを引っ張ってくれる。あらためて、香りがもたらす素晴らしい効果に心が大きく動いた。

オリジナルの香りを詰めたボトル

調香学校時代につくったオリジナルの香りを詰めたボトルたち。一つひとつに思い入れがある。

「そういえば、私の実家では母がアロマを炊いてくれて、子供のころから香りに癒されていたなと思い出しました。私自身も、中学時代は制汗剤の香り選びに凝ったり、高校時代は校則がフレグランス禁止だったため、髪に香りをさり気なくまとわせる工夫をしていたな…なんて記憶もよみがえってきて(笑)。私って、香りにこだわりと縁があるんだ!と気付いて、ならばこの気付きを活かして、今から香りについて一から学んでみようと。あれこれとリサーチして、五反田にある調香学校『東京マル・ダムール』に入学しました」

リモートワークで会社員としてきっちりと仕事をしながら、新しい学びをスタート。生活にメリハリが生まれ、気持ちも前へと進むように。

周囲の力を借りながら“好き”を仕事に

ナカダユミさんの愛読書

繰り返し読んでいる“香り”に関する愛読書。本を通して、有名メゾンのフレグランスの歴史やコンセプト、合成香料についてなど、さまざまな知識を得ているそう。「香りを仕事にしたからには、自分の話により説得力を持たせたくて、日々勉強です」

その道20年を超えるベテラン調香師の山田雅子先生のもと、香りのクリエイションにすっかり魅了され、同時期に入学した生徒の誰よりも早く卒業。そして、「副業でいつか香りの仕事ができたら」と漠然と、密かに、でも熱い思いを抱くように。

まさにそんなタイミングで、社内で実施されている新規事業プランコンテストの存在を知ったナカダさん。でも当初は、「優秀な社員たちが参加するもの」と人ごととして捉えていたそう。ところが、自分がつくったオーダーメイドのフレグランスを贈った際に大喜びしてくれた祖母の姿に後押しされ、コンテストに“香り”で勝負してみようと決意。そこから、試行錯誤しながらも、“好き”を仕事にする挑戦へ走り出した。

「コンテスト前日は休みをいただき、ホテルで泊まり込み合宿までしました。私一人だけでなく、グループ会社に勤める二人のエンジニアさんの力をお借りして、プレゼンの準備を進めてきて、やっとの思いで完成。・・・でもあらためて内容を見返しているうちに、『私、本当は何をやりたいの?』『それで何が解決できるの?』『本当に私がやらなきゃいけないの?』という問いにぶち当たったことで、前夜22時に『これではダメだ!』と完全にクラッシュしてしまいました。
その後、もっと細かに、深く内容を練り直して、ほぼ完徹状態で仕上げて本番に。当日の記憶がないくらい無我夢中で、緊張も加わって喉はカラカラになり、終わったあとは半日で水を2リットルも飲んでしまいました(笑)。でも、おかげさまで準優勝という結果を手にすることができました」

ナカダユミ

コロナ禍という背景もあり、新規事業プランコンテストはオンラインで実施された。

子供のころから誰かに助けを求めることが苦手で、社会人になってからも一人で仕事を抱え込み、キャパオーバーになることが多々あったと自己を分析するナカダさん。このプレゼンを経て、「すみません、助けてください」と伝えることの必要性、周囲の力を借りることで自分一人では辿り着けない場所へ最速で到達できるということを実感できた。

「フレグランスブランドを完成させるには、コンセプトやネーミング決めはもちろん、香料などの原料調達から製造の工場探し、ボトルやラベルのデザイン、どのようにPRしていくかまでやることが多岐にわたるので、とにかく時間が足りません。そして、ビジネスとして当たり前ではありますが、常にお金の計算も絡んできます」

ナカダユミ

2021年10月にプロジェクトがスタートするにあたり、グループ内の新規事業の開発を専門的に行なう株式会社セプテーニ・インキュベートに移籍。そこから現在に至るまで「ノンストップです(笑)」と、濃厚な日々は現在進行形。

何事も“初めて”の連続、そして手探り。取引をお願いしたい会社を見つけると、ホームページのお問い合わせフォームからコンタクトをとり、プロダクト作りへの熱意を伝えて、『私と一緒にこのフレグランスを作っていただけませんか?』と懇願し口説いたそう。

「ツテがないので、なかには取り合ってくれない会社さんもありましたが、逆に私の思いに共感して温かく対応してくださった会社さんも。手を差し伸べてくださった皆さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

渾身のプロダクトがついに完成!

「eHz BOUTIQUE」の第一弾プロダクト

容量は各30ml、各¥3,430(税込み、送料別)

「eHz BOUTIQUE」の第一弾プロダクトは、「“香り”の切り替えスイッチで、ととのうデジタルライフ。」をテーマにしたフレグランス「Energy Switch Mist(エネルギースイッチ・ミスト)」シリーズ。植物由来の精油のみで調香し、しっかり香るけれど必要以上に残らないこと、誰かから評価されるためではなく、自分がなりたい状態やシーンを作りだす香りであることなど、ナガタさんのこだわりが満載。ユニセックスで使用できるのも魅力。

展開する3つの香りは、それぞれのコンセプトにストーリー性があって、どれも試してみたくなる。

1. Positive&Focus
柑橘系の果実の香りとハーブの爽やかさでエネルギッシュな印象。気持ちを引き上げ、さらにエネルギーのギアを上げたいときに最適。午前中、起床時、運動前などにぴったり。

2. Silence&Inspiration
サウナからインスピレーションを受け、静かな覚醒をイメージした「ととのい」の香り。木のぬくもりを感じつつ、スーッとした透明感があるのも特徴。サウナはもちろん、ヨガや運動後のクールダウン時に最適。

3. Easy&Cozy
複数の花々による華やかさに、木が持つ落ち着き感や安らぎ感がプラスされた香り。「頑張った自分を労わり、緩めたい」「明日を心地良く迎えたい」というシーンにおすすめ。オフのリラックスタイムに。

誰かのために、周りを意識して身にまとう香りではなく、自分のために選び、楽しみたい香り。ナカダさんの香りのプレゼンテーションは、男女問わず、たくさんの人に響きそう!

11月の正式ローンチを前に、クラウドファンディングのCAMPFIREで先行予約販売を開始。受付スタートから24時間で早くも目標金額を達成したことからも、このプロダクトへの注目度、そして期待度の高さが証明される結果に。(支援の受付は11月13日23時59分59秒まで)

今ある環境を見つめ直してみて

ナカダユミ

現在はヘルプをお願いできるスタッフが1名いるだけで、基本的にすべての業務を自らこなしているナカダさん。このプロジェクトを育て、いずれは人員を増やし、仲間と一緒に取り組んでいければと夢は広がっている。

「以前はどこに向かって進めばいいのかがわからず、もがいていたけれど、今は向かう場所がはっきりと見えているので、そこに向かって頑張るのみ! どうしようと悩むことはあっても、やめたいと思うことはありません」と語るその表情に、迷いはない。そして、かつての自分のように、仕事で迷える女性たちに伝えたいことを尋ねると――。

「私の実体験から、自分の“好き”を仕事に活かすチャンスは、実は身近にあるかもしれませんよ、と。視点を変えてみることを、おすすめしたいです。やりたいことをするために会社を辞めて起業するのも良いけれど、その方法だけがすべてではない。まずは今ある環境を見つめ直してみることも、有効なのではと思います」

とはいえ、チャンスが訪れたときにしっかりとそれを掴むためには、全力を発揮するための下準備も必要。「ファッションや香りを勉強する費用は決して安くはなかったけれど、新しい知識が未来を広げてくれました。興味のあることを学ぶための自己投資を惜しまなくて良かった」という彼女の言葉も覚えておきたいもの。
ナカダユミ

現在は「大変なことも全部ひっくるめて仕事が楽しい」というナカダさん。でも、働くということは、いつだってストレスや不安と隣り合わせ。だからこそ、自分のテンションやモチベーションを良い状態にキープする方法を知っておくことは、働く私たちの重要なスキルに違いない。

「お気に入りの音楽でも、とっておきの服でもいいし、もちろん香りでも! 私の作るプロダクトで、そんなお手伝いができたら本望です。香りでみんなの日常を変えたい、より幸せな循環を生み出したいです」と力強く語って、笑顔になった。

自分の“好き”を見つけて、その種を蒔き、育て、花を咲かせる。今すぐチャンスに恵まれなくても、思うように成果が出なくても、いつかのために諦めない。ナカダさんのストーリーが気付かせてくれる大切なこと。皆さんもまずは“好き”の種を見つけて、その思いを育んでみませんか?

ナカダユミ
株式会社セプテーニ・インキュベート社所属。大学卒業後、株式会社セプテーニに入社。海外事業部へ配属され、営業の職に5年間従事。2021年、社内の新規事業プランコンテストで準優勝を勝ち取り、2022年秋にフレグランスブランド「eHz BOUTIQUE(エルツ・ブティック)」を誕生させ、同ブランドのディレクターに。五感を満たすこと、自然のなかで過ごす時間が好き。

PHOTO=阿萬泰弘(PEACE MONKEY)

TEXT=濱田恵理

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