愛想笑いで受け流す日々にもうウンザリ――そんなあなたへ贈る虎の巻! 作家のアルテイシアさんにセクシュアル・ハラスメントへの対処法を聞きました。全5回の短期集中連載でお届けします。
体験談3:お節介発言がウザイです
産みたい人、産みたくない人、産みたいけれど産めない人…妊娠・出産に対する思いやスタンスは人それぞれ。それなのに他人が土足で踏み入ってくる事例が後を絶たないのがこの日本。
「男性の同僚たちもいる場で、結婚や妊娠の予定を聞かれるのは気まずい」(33歳/サービス)
「不妊に悩んでいたとき、そろそろ産まないの?と言われるのがつらかったです」(34歳/金融)
「子供を産むのが女の幸せ、と当たり前のように言われます。勝手に決めつけないでほしい」(30歳/通信)
これらは男性から女性へはもちろんのこと、女性同士でも起こるセクハラの代表例と言えるでしょう。
〈初級編〉“明菜返し”で地雷アピール
とにかく妊娠・出産について聞いてくる人をシャットアウトしたいときは、人の話を聞かないキャラになるのが手っ取り早いとアルテイシアさん。
「何を言われても『……はぁ』と反応の薄い“ノーリアクション侍”になりましょう。あるいは、『“推し”が子供みたいなもんなんで。あ、写真見ます???』『うちの猫はマジで可愛くて、あ、これが産まれたときの写真なんですけどね』とウザめに話を逸らすのもいいですね。この人、この話題にまったく興味ないんだな、とわからせることができます」
それでもしつこい人には、“明菜返し”をお見舞い!
「中森明菜さん風の伏し目がち、かつ小声で『出産……そうですね……』『いろいろ事情があって……』とつぶやけば、さすがに相手も、自分の発言がいかにデリカシーに欠けていたか気づくはず」
〈上級編〉「それはセクハラ」とはっきり伝えて
「善意ハラスメント」という言葉も存在するくらい、何の悪気もないのに人を傷つけてしまう可能性があるのがこの手のハラスメント発言。相手との関係性しだいでは、きちんと「それはセクハラです」と伝えることも大事です。
「とっさに言えなかったときは、あとからメールやLINEで伝えてもいいんですよ。『私にはこういう事情があるので、それを言われるとつらい』と淡々と説明する。たいていの人は、『申し訳なかった』となるはずです」
産むも産まぬも本人の自由。他人がとやかく言うことではない、という考え方を広めていきたいものですね。
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それでは復習です。妊娠・出産にまつわるデリカシーに欠けた質問は、
・“明菜返し”で地雷アピール
・「それはセクハラ」とはっきり伝える
この2段階で封じましょう。
その人間関係、本当に大事?
今回のセクハラ対応で難しいのはやはり2点めの「伝える」という部分。今後の仕事を考えると、職場で波風立てたくない、という人も多いはず。しかしアルテイシアさんいわく「職場の人=遠い人」。
「なんとなく、同僚って“身近な人”というイメージがありますが、実はそんなに人間関係としての重要度は高くないはずなんです。職場を辞めたら二度と会わない場合がほとんどなわけで」
無理して好かれなくてもいい。だから、対話を恐れずに。いつも心に留めておきましょう。
アルテイシア
作家。神戸生まれ。近著に『モヤる言葉、ヤバイ人~自尊心を削る人から心を守る「言葉の護身術」』(大和書房)、『フェミニズムに出会って長生きしたくなった。』(幻冬舎文庫) など。フェミニズムにまつわる軽快な語り口のエッセイが人気で、「モヤモヤがすっきりした」「ハラスメントにNOを言えるようになった」など救われる人が続出!
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