商品やサービスを通じてSpark(ときめき&ひらめき)を発信している、働く女性をクローズアップする連載『プロジェクトS 』。“S”はもちろん“ Spark yourself!”の頭文字です。商品制作の舞台裏や仕事に対する想いなどをインタビューしていきます。企画や研究開発に携わる同世代の彼女たちから、仕事を楽しむヒントやコツが得られるはず!
今回はランジェリーブランド、(株)ピーチ・ジョンで働く広告クリエイティブディレクターとして活躍する小林花子さんと、ランジェリーデザイナーを務める川島由子さんへのインタビュー続編をお届けします。最終回では、小林さんと川島さんのお仕事スタイルをフィーチャー。下着の選択肢がますます広がる昨今、選びたい下着とは?
“好き”が働く原動力
今回お話を伺ったおふたりが口を揃えて、「好きな仕事ができて幸せです」と笑顔で話す姿がとても印象的でした。『大変なこと=やりがい』になっていると話します。
「“好きなことをしている”という感覚が強いので、苦しい状況をネガティブに捉えることはあまりないです。デザイナーとしてはレースの配置や縫い方など強いこだわりがあっても、それは私たちの独りよがりにすぎず、お客様にとってはまったく気にならないこともあります。必要な要素は死守しつつも、コストや納期、品質面に至るまで全体のバランスを考えることも重要な仕事だと思っています。特に新しいことをする時は何かしらの問題がつきもの(笑)。それを乗り越えて、お客様に喜んで愛用していただけるものを作っていきたいですね」(川島)
「もともと高校生のときに、吉川ひなのさんがカタログの表紙をされていた頃のピーチ・ジョンの世界観にすごく憧れていました。入社後に、吉川ひなのさんの撮影現場に立ち会える機会に恵まれた時は本当に嬉しかったですし、その経験が働く上での糧になっています。だから今、私がそういった世界を作れる現場で働けることがすごく幸せだなと感じています」(小林)
“こんなのあったら”にとことん向き合う
近年反響の大きかった、2018年秋号のプロモーション。成功を経て、小林さんの広告制作への意識に少し変化があったそう。
「すごくお洒落で素敵なものを作りたいけれど、それだけでは親近感がなくてお客様に響かないこともあるんです。制作側としてはこの素敵な写真の上に、『◯◯キャンペーン』とか『◯%OFF』のようなフレーズをのせたくないと思うことがあっても、お客様の購買意欲を掻き立てる明確なメッセージを伝えることも私たちの使命だと感じています。だから秋のカタログではメインコピーを芥川賞作家の本谷有希子さんに依頼し、商品の特徴を捉えつつも、フックの効いたインパクトのあるクリエイティブ作りを意識しました」(小林)
数々のランジェリーを生み出してきた川島さんは、自分がデザインを手がけたものが世に出るときは子供を送り出すような気持ちだと話していました。あえて1番思い入れのある商品は?と伺ってみると、ナイトブラという回答が。
「このナイトブラを発売後、SNS上でも口コミが広まり、その後も売上が伸びてロングランヒット商品になっています。いろいろな技術が進化したときでもあったので、機能や技術がたくさん詰まった自信作です」(川島)
「新開発されたパワー切り替え生地を使ったり、跡が残らないよう縫製をなるべく減らしてなめらか素材を使ってサポートできるようにしたり。寝るときに肩紐のアジャスターがあたると痛いので、伸縮性がかなり高い素材を使ってアジャスターなしでもいろいろな体型にフィットして寝心地がいいように工夫しました。それから、D〜Eカップのグラマーサイズ(ナイトブラの場合)は胸の重みがあるので、横になっても胸が流れないような調整が必要で難しかったですね。トレンドを汲み取ってネックラインをぎりぎりまで落としたり、ノーパッドだけどニップが響かないように貼り付け技術も取り入れたりと、実はさまざまな技術を盛り込んでいます」(川島)
分かりやすくて面白い仕掛けを
ピーチ・ジョンは今年11月に新社屋に移動したばかり。フリーアドレス制になるなど新たな環境にまだ慣れていないと話すおふたりも、次のステップを見据えてすでに動き始めています。
「外部のクリエイターの方々と関わる機会が増えているので、もっと彼らとの関わりを深めて社内に還元したいです。『面白いプロモーションをしているな』と思っていただけるように、会社自体がアップデートして新しいものをどんどん発信していきたいと思っています」(小林)
「ランジェリー業界はもちろん、ファッション業界でも勢いのあるブランドのひとつと思っていただけるような存在でありたいです。インターネットやSNSの普及により、今世界のトレンドが数秒後には日本に来るので、時代の流れをいかに早くキャッチしてお客様に伝えるかが重要だと思っています。また、下着は声を大にして情報を共有しにくい分野でもあります。だからこそ私たちが分かりやすく情報を届けていきたいと思っています」(川島)
社内の女性率は98%というピーチ・ジョン。女性管理職の中には仕事と育児の両立に励むお母さんも多いそう。育休や産休が取りやすい雰囲気づくりや社内全体で協力する姿勢があるといいます。そんな女性に優しい環境のもと、今後も多くの女性たちに希望を与え、世間を驚かせるランジェリーの誕生に大いに期待したいです。
ピーチ・ジョン
https://www.peachjohn.co.jp