NY在住のエディターライター 山田ヒロミさんが、気になるトピックスをレポート。今回は、マンハッタンで働く女性をフィーチャー。
好きを仕事にする
カフェ巡りが大好きだったブロガー女性が、コーヒーが好きすぎて、思わず自分でコーヒー豆のブランドを立ち上げ、ビジネスを始めてしまった——。今回は、GINGER世代のお仕事ウーマンに、好きなことに携わっていくやりがいや、魅力についてインタビュー。ついでに、今ニューヨークで行くべきカフェも教えてもらいました。Let’s check it out!
エディターに憧れてブログをスタート!
フロリダ出身のEllie Eckert エリー・エッカートさん(26歳)は、将来はファツションエディターになることを夢見てNYへ。
大学ではジャーナリズムを専攻し、卒業後もエディターになるべくさらなる勉強と経験を積もうと、人気のインテリアブランドPottery Barn のマーケティングアシスタントに就く。
昼間は会社勤めでデジタルマーケティングの基本を学び、家に帰ってからは、ライティングのスキルを磨こうとブログを書き始めたそう。世間はブロガーブームの真っ只中で、ファッションブロガーが溢れかえっていたころ。ファッションは好きだけれど、人と同じことをしても意味がないという理由や、カフェ好きが手伝って、自分が巡ったカフェをライフスタイルとリンクさせて綴ったブログCity Brewed をスタートさせました。
ブログを進めていくうちに、カフェとそれを取り巻く仕事にどんどん引き込まれていき、みずからカフェオーナーに連絡を取ってインタビューを決行したり・・・ブログもどんどん本格的に。
ゼロからスタートすることのやりがいと喜び
とにかく、「書く」という仕事が好きだというエリーさん。1杯のコーヒーができるまでの背景を、ストーリー仕立てで書いていくうちに、カフェだけでなく、豆はロースター(焙煎)によって仕上りがまるで変わること、さらにはコーヒー豆の農場の存在を知り、コーヒーが豆から一杯のコーヒーになるまでのプロレスに魅了され、コーヒー豆を仕入れる仕事に興味をもつように。
ネットワークも順調に育んだところで、仕事を辞め、準備のために帰郷。フロリダのタンパをベースにLAやサンフランシスコ、イタリアなど各地を旅してさらにリサーチを重ねていき、今年2月に自身のコーヒービーンズ会社Written Coffee を立ち上げるまでに。
仕事に関するQ&A
— 会社を立ち上げるにあたって大変だったことはありましたか?
「とにかく、何もかも初めてのことなので・・・すべてが大変でした(笑)。まず、豆を仕入れるわけですが、業界でも人気の農場があり、そこのオーナーとどうしても連絡をとりたかったのですが・・・。ただ、農家の方なので、(アナログで)ウエブサイトやEメールなどがないんですよ。有名な方だったのでクチコミで情報を入手して、なんとか連絡をとりました。ただし、会ってもらえるまでには半年以上かかりましたね。コーヒーの展示会に行くと、有名なカフェのオーナーやバイヤーさんがたくさん集まっているのですが、そんななかに私のような小娘がウロウロしていて(笑)不慣れなのが一目瞭然だったと思います。でも、最終的にはその農場オーナーさんの口添えで素晴らしいロースターが見つかったので、本当にラッキーでした」
— アポイントがうまくとれて、商談が成立したきっかけは何でしょうか?
「ブログをやっていたので、カフェとのコネクションやネットワークがあったこと。さらに、私のブログを読んでいただいて、コーヒーに対しての情熱を伝えることができました。それらが信頼関係につながったんだと思います」
— この仕事をしていて、一番楽しいことは?
「それはもちろん、毎日コーヒーと接していられることです。そして、書くことが大好きなので、ブログを発展させた形でウエブサイトにし、自分の仕事の背景をストーリー仕立てにして書き綴っていけることも楽しくて。そういう意味あいも込めて『Writen Coffee』と名づけました。
コーヒー豆のストーリーを書いていくような感覚で、豆の品種にも、チャプター1、2と名づけて進行していこうと・・・ 。パッケージも、すべて自分でデザインしたんですよ。こうして何でもゼロから作っていくことは大変ですけど、その分やりがいがあります」
— 一日の平均的なスケジュールを教えてください。
「朝は7時に起きて、まず最初にSNSやメールをチェックします。その時は常に、新しい豆のチェックを兼ねて、自分でコーヒーを入れて飲みます。
毎週月曜の午前中は、Written Coffeeの新しい豆をローストするために作業場へ行きます。それ以外の日はだいたい自宅でデスクワーク。オーダーを受けたり、梱包したり。梱包したコーヒー豆は、自分で郵便局まで持っていき、毎日午後2時の便で出荷します。
その後、ミーティングなどをこなして18時くらいには仕事を終えるようにしています。仕事のあとは、家族と食事に出かけたり、海まで散歩したり、リラックスする時間。就業中は、気が張っているので、オンとオフのメリハリはしっかりつけて疲れをためないようにしています」
— これからの展望は?
「今はインターネット上での販売がメインなのですが、ゆくゆくはスーパーやグロッサリーストアだけでなく、ライフスタイル型のセレクトショップなど、ファッション系ブティックに私の商品が並ぶといいなと思っています。現在はチャプター1はガテマラ、2はブラジル・・・と、展開していますが、種類もどんどん増やして、ゆくゆくはカフェもオープンさせたいなと思っています」
エリーさんのお仕事バッグの中身を拝見!
A. 現在、チャプター3のコーヒーの構想を練っているところなので、いつでもデザインの打ち合わせができるようにパッケージのサンプルを持ち歩いている。
B. コーヒー豆を運ぶときなど、いつでも両手を自由に使えるようにバッグはショルダータイプがマスト。コンパクトなクロエのバッグを愛用。
C. 時間が空いたときに読む本『Better Than Fiction』は、ロンリープラネットなどのガイドブックでおなじみの旅ライターたちのエッセイ集。いろんな国のエピソードが出ていて、旅することに夢が膨らむ一冊。
D. お財布はMCM、財布と同色のBagguのレザーポーチは名刺入れとして活用。
おすすめのNYカフェと選びのポイント
ニューヨークは、続々と新しいカフェがオープンしていて、どの店もそれぞれ特徴があってカフェ巡りには最適な街。エリーさんの最近のお気に入りカフェを教えていただきました。
おすすめカフェ1:Ludlow Coffee Supply.
この記事の一番最初の写真も、こちらのカフェにて撮影しました。エリーさんおすすめ一軒目は、近隣のアーティストやクリエイターの集うLudlow Coffee Supply. です。
「私自身は、インテリアや雰囲気でカフェを選ぶことが多いのですが、それプラス、どこで焙煎された豆を使っているのかなどもチェックします。常に新しい味にトライしてみたいので。さらには、仕事で一日中コーヒーを飲んでいるので、ひと休みするときは、最近は抹茶を飲んでいます。
ブルックリンにもお店があるこのカフェは、ブルックリンのレッド・フックで焙煎された豆を使っているのも興味深いところ。コーヒーはもちろん美味しいのですが、ここの抹茶もおすすめですよ。私はオート麦のミルクで作るラテがお気に入りです。友達の家に遊びにきたようなインテリアも落ち着きます」
Ludlow Coffee Supply.
176 Ludlow St, New York, NY 10002
+1-917-472-7632
おすすめカフェ2:The ELK
オーナーのセンスに惹かれて、自身のブログでも取材させてもらったというカフェ、The ELK。
「店に置かれている雑貨も可愛くて、ギフトにも最適。さらに、地元のファーマーズマーケットで調達するという新鮮な食材で作る卵サンドや玄米ボウルなど、コーヒーだけでなく、食事もしっかりとれるのもうれしいですよね。
The ELKのコーヒーはサンフランシスコで焙煎された豆を使っているそう。ブルーボトルをはじめサンフランシスコ発のカフェには美味しいところが多いので、ここが使っているロースターにもいつか訪れてみたいと思っています」
The ELK
128 Charles St, New York, NY 10014
+1-212-933-4780
エリーさんとはかれこれ5、6年前に、おしゃれブロガーを集めた企画で知り合ったのですが、そのころから変わらぬモデルばりの美貌。一見クールな美人さんなんですが、話してみると、とても気さく。
インタビュー中も、コーヒー豆の話をし出すと、目がキラキラしてきて、こっちまでつられてワクワクしてしまいました。きっと、コーヒー農場のおじさんたちにも、彼女のコーヒー豆にかけるそんなピュアな想いがしっかりし伝わったに違いないと思いました。そして、そんな情熱こそが、人の心を動かし、さらに道を拓く――。これこそ、仕事の基本なのだと改めて思いました。
まさに、「Where there's a will, there's a way(意思のあるところに、道はある)」。私の好きなことわざで締めくくりたいと思います(笑)。See You soon!