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LIVING

2022.06.13

スタイリストだけど言います、買わなくてもいいんじゃない?【わたしを着替える】

ワードローブを更新するように、価値観のアップデートを! スタイリスト 小泉茜さんによる連載エッセイ「わたしを着替える」。

小泉茜

Vol.3 救いのヴィンテージブラウス

先日、アシスタント時代に通っていたチェーン系古着屋を久しぶりに訪れて恐れ慄いた。
服が、ありすぎる…!!
この1店舗だけでこんなにも古着があるということは、世界中にはどれほどの服があるのだろう。これから新しい服が生産されなくても古着だけで世界中の人の服をまかなえそうだ。本当に毎シーズン新しい服が作られる必要があるだろうか…

じつは、現在のアパレル生産には、労働力の搾取や大量廃棄などの闇がある。
国内の縫製工場では、ほかの工場よりも安く請け負うために外国人技能研修制度を使い、日本の最低賃金よりも安い給料で人手を確保している場合があり、パワハラ・セクハラの温床になっているという(もちろん、そうでない工場もたくさんある!)。
世界に目を向ければ、バングラデシュで起きた「ラナ・プラザ」崩壊事故(知らない人はぜひ調べてみてほしい)に象徴されるように、劣悪な環境で働かされている人もいる。
また、節税などのために大量廃棄が行われていて、年間10億着もの衣類が新品のまま廃棄されているそうだ。
(ちなみにこういったアパレル業界の悪循環の原因の一つに、アパレル企業内の“多様性の欠如”があるらしい…物事を決める場に同じ属性の人しかいないのはとても危険なことなのだ)

では、新しい服なんて買うべきではないのか?
…いや、欲しい! 
服が好きで19歳からスタイリストという仕事に携わってきたし、ファッションにはたくさん助けられた。恋をしたとき、季節が変わったとき、新たなことにチャレンジするとき…心が動くとき、服が欲しくなる。
服には生活の三大要素以上のパワーが確かにある。
だけど、そんなふうにわたしの人生を彩ってくれている服が、不平等のうえに生産され、利益のために地球を汚しているのは不本意だ。他人の不幸のうえにわたしの幸福を成り立たせたくない。
服は欲しい。だけど、買うべきではないのかもしれない。
どうすれば、この気持ちに折り合いがつくのだろう。
そんな葛藤を抱えて悶々とするわたしにとって、一つの希望とも言えるのがこのヴィンテージブラウスだ。

前回書いた通り、好きな服のテイストが変化したこともあり、以前はよく着ていた服をあまり着なくなってしまった。
そこで2年前のコロナ自粛時にB’zの稲葉さんばりに「いらない、何も」と断捨離をしたが、たとえもう着なくても、いつまでも所有しておきたいと残った服がいくつかある。
それらはすべて、ヴィンテージの服。
このブラウスも、そのなかの一枚だ。

まだミシンが高価で一般的ではなかった時代のものだろう。すべて手縫いでできている。
流行は巡るとよく言うが、二の腕部分が広がるタイプの大人パフスリーブは今のスタイルにも自然になじむ。
大昔に手縫いで製作されたものが廃棄されることなく、令和の日本で大切にされ続けている。
現代の大量生産、大量廃棄とは真逆だ。

もちろん、新しい服でしか得られないものもある。
アパレル生産の問題を知っていてもこれから古着だけを買って生きていくことはできない。

だけど、いま求めている感情は、新品でしか得られないものなのか、それともヴィンテージやセカンドハンドにだって可能性がないか、少し立ち止まって考えることはできる。“少し”だけでも、それを大勢の人が積み重ねていけば、全体として大きな一歩になるはずだ。
そのリマインダーとして、わたしはこのヴィンテージのブラウスを大切に着続けたい。

物を所有することがステータスでなくなったこの時代に、何を基準に物を買うのか。
仕事柄「これを買おう」はたくさん提案できるけれど、同時に「買わなくてもいいんじゃない?」も言えるスタイリストでありたいと、わたしは思っている。

小泉茜の【わたしを着替える】をもっと読む。

TEXT=小泉茜

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