知っておきたいファッション用語やテクニック、今どきの常識を、スタイリスト青木貴子さんが独自の視点を交えながら解説する連載「大人のおしゃれワード集」。今回のテーマはメガネです。
マスク生活にすっかり慣れてはきたものの、弊害として「誰だかわかんなかった!」みたいなことが起こっていませんか? 髪型などを変えてしまうと、旧知の人でも認識不能になったり…。マスクの面積っておっきいですものね。見えるのは目だけだから、アイメイクをしっかりしているなんて話もよく聞きます。
マスクをしつつもしっかりと印象づけたい!認知をされたい!という人におすすめしたいのがメガネのおしゃれ。
ばん!と視界に飛び込んでくる素敵なメガネはカンバセーションピースにもなります。ということで今回はメガネにまつわるetc.を。
メガネの素材は主に3パターンです
まずは素材について。いわゆる銀縁メガネと呼ばれるような、金属でできたフレームを「メタルフレーム」と言います。チタンや合金などが主。つけ心地が良いのがメリット。とくにチタンは軽いので長時間かけていても楽チンです。リム部分が細いので、インパクトを狙うならやはり色で遊ぶべし、です。
プラスチック素材のものは「セル」と言います。以前はセルロイドという素材で作られることが多かったので、セルロイドの略で「セル」と呼ばれるように。今はアセテートが主流になっています。アセテートの方がカラフルで色数が多く、さまざまな加工ができるそうです。セルの魅力はなんといっても豊富できれいな色味と、存在感。太セルがいかにもメガネでおしゃれしてるって感じがして素敵と思います。個人的には、最近は透明(クリアタイプ)の太セルに注目していて、いつか欲しいなぁと思っています。
メタルとプラスチックを組み合わせて作った「コンビネーション」と呼ばれるタイプにも注目を。これはメタルのリムにプラスチックを巻きつけたり、一部分だけにセルを使ったりしているもの。単なるメタルや単なるセルよりもデザイン性が高く、個性的なタイプが多く見られます。
パーツの名称、知ってる?
メガネのレンズを囲んでいるところを「リム」と呼びます。わかりやすくいうと「縁(ふち)」ですね。レンズがすべてリムで覆われているものを「フルリム」と言います。黒縁メガネをイメージしてください。ぐるりと縁があるタイプ、それがフルリムと呼ばれるものです。
レンズの上半分だけを囲んであるものを「ハーフリム」または「ナイロール」と言います。上の部分だけ縁があり、そのほかの部分は透明なレンズのみ。フルリムに比べるとシャープな印象になります。仕事ができそうに見えること間違いなしなタイプです。
さらに個性を強調したいなら、ハーフリムとは逆にレンズの下の部分にだけ縁がある「アンダーリム」なるものもあります。これはかなーり印象的なデザイン。初対面でも「あの個性的なメガネの人ね」と覚えてもらえるでしょう。
レンズだけで、縁のまったくないタイプは「リムレス」。レンズの両端のアナでメガネを固定することから「ツーポイント」とも呼ばれています。ほぼ透明なレンズだけが顔に乗っかっている感じなので、メガネの印象は薄め。メガネを掛け慣れていない人にとっては挑戦しやすい形と言えるでしょう。印象的なおしゃれ小道具としてはややインパクトに欠けるので、リムレスを選ぶならテンプル(つる=耳にかける部分)の色で遊ぶのがオススメです。一気におしゃれ度が上がります。
メガネの形あれこれ
次はデザインについて。「ボストン」はやや丸みがある逆三角形。
明治から大正時代にかけてインテリ層の人たちが愛用していたそう。アイウェアブランドのアイヴァン誕生初期に、当時の社長がアメリカの都市の名前をメガネにつけたことからこの呼び名が定着したようです。優しく知的な印象があります。
おしゃれな印象に見えるのが「ウェリントン」。
台形を逆さにしたような形です。ジョニー・デップがかけているメガネっていえば想像がつきやすいのではないでしょうか。彼がかけていてさらに認知度が上がり人気が出た感があります。クラッシックスタイルを代表するタイプ。伊達メガネとしても人気の高い形。
どんな顔の形の人にも似合いやすいのが「オーバル」。
楕円形のメガネです。とってもオーソドックスなタイプ。だからこそ、オーバルを選ぶなら色で遊ぶのがおススメです。
「スクエア」は横長で角がある(長四角形)デザイン。「レクタングル」とも呼ばれます。
メタルのスクエアはとっても真面目な感じに見せたいときに効果的。でもカラーセルを選べばたちまちスタイリッシュな感じに見えます。素材によって印象がかなり変わります。
「フォックス」はフレームの両側がつり上がった形。
別名「キャットアイ」やマリリンモンローがかけていたことから「モンロー」とも呼ばれているそうです。キャッチーな形で、顔の印象がかなり変えられます!
いわゆる丸メガネと言われる「ラウンド」は、思いのほか個性的に、そしておしゃれっぽく見えます。
別名「ロイド」、ジョン・レノンがかけていた形です。ラウンドに挑戦するなら、こちらもメタルとセルでは随分違った印象になるので、かけてみて似合う方をチョイスしましょう。セルの方が存在感が出るので、意外と万人に似合いやすいかもしれません。
「ブロウ」は文字通り、眉毛の部分に特徴があるものを指します。
目元がかなり強調されるので、強い印象を残すことができます。女性ではあまり掛けている人を見かけないので、個性を出したい人にはとってもオススメ。
似合う・似合わないの決め手は?
ここまで、代表的なメガネの素材やデザインについてご紹介してきました。よく、丸顔の人には丸メガネは似合わないとか、四角顔の人はスクエアを選ばない方がいいとか、いろいろな指南があるようですが、私は顔の形とメガネの形の合う合わないはそんなに明確ではないと思っています。丸顔の人に合う丸メガネもあるでしょうし、四角顔の人に合うスクエアもあると思います。そのメガネのフレームの太さやレンズの大きさによって似合う・似合わないが決まるので、かけたいなと思った形をとことん試着して、似合う一本を探し出しましょう!
マスクをかけるのが日常の今、メガネは人と差をつけられる恰好のセンスアップアイテム。せっかくならちょっと派手目の色だったり、形を選んでマスクをしていても「あ、あの人だ!」と思われるような印象的な人になっちゃいましょう!
写真提供/アイヴァン
https://eyevaneyewear.com/
青木貴子の【大人のおしゃれワード集】をもっと読む。