同じメニューでも「どんなふうに」食べるかによって食事の時間がぐっと豊かに。使っても眺めても幸せになるとっておきの「愛用器」を、インテリアスタイリスト 中林友紀さんが紹介。
使うたびに恋に落ちる作家ものの器
「食事の時間は1日3回しかないのだから、その貴重な一回一回の食事に、好きな器以外使いたくないんです。だから電子レンジ対応とか食洗機に入るとか重ねられるとか、そんな便利さは二の次。テーブルセッティングをしているときも、食べているときも、水切りラックに伏せてあるときでさえ『可愛いなあ』と惚れ惚れする食器ばかり選んでいます。自分の中でブームがあったり失敗したりしていろんな器を経験しましたが、今愛用しているのはほとんど作家さんのものか、海外の旅先で手に入れたもの。柔らかくカラフルな色合いのもの、どこか力の抜けた雰囲気を帯びているもの、作者の思い入れの強さを感じるものが好きです。
使用頻度が高いのは矢尾板克則さんの器シリーズ。新潟で制作活動をしている方ですが色使いが本当に素敵。ほかの作家さんのものも、色合いやタッチが似ていると兄弟のようによくなじみます。矢尾板さんのお皿のリムと佐藤尚理さんのお皿の真ん中に描かれている暗号のようなデザインも似ていて面白いんです。毎日の食事のたびにワクワクしています」(中林さん)
どんなところがお気に入り?
眺めているだけでときめく矢尾板克則さんの器たち
独特の優しさのある雰囲気が魅力の矢尾板克則さんの器は、個展で出会って以来、どこかで個展が開かれると聞けば見に行っては少しずつ集めているという中林さん。「色のある器は難しいと思うかもしれないけれど、器同士のトーンが合っていればちゃんと調和します」と、色に対するこだわりが鍵のよう。
1. フリルシリーズは2色の配色がツボ。毎食幸せになる
2. ヨーグルトボウルも色違いのフリルシリーズで
3. 持ち手が可愛いマグは黄色と水色の効かせ方が絶妙!
4. リムにデザインがあるとお料理がくっきり際立って見える
異なる作家さんの器も色調を揃えればしっくりなじむ
矢尾板さん以外にも作家物の器が好きという中林さん。色調やタッチにどこか共通点がありながら、醸し出す雰囲気にそれぞれの個性がにじみ出ていて、それがちょうどいい統一感とメリハリのバランスを生み、おしゃれで楽しいテーブルに。
1. 益子の今井律湖さんのボウルは、ゆるい画風が本当に可愛い♡
2. 愛知県で活動する片瀬和宏さんのお皿はどんな料理も可愛くなる
3. 沖縄の佐藤尚理さんのカラフルなお皿は、イカスミパスタが映える!?
モロッコの湯呑みで異国の香りもプラス
中林さんのカップボードには、海外の旅先から連れ帰った器もたくさんあるそう。「地元の素朴なフォークアートの器が加わると、異国の暮らしの温かさのような、ほどよいこなれ感が生まれます」。そんなときも色合いやタッチのバランスは大切! こちらは、出っ張りが持ちやすい、モロッコの伝統的なミントティーグラス型カップ。
中林さんおすすめの器店
1. 千鳥
東京都千代田区神田三崎町3-10-5 原島第二ビル201A
03-6906-8631
https://chidori.info
料理好き店主による料理が映える器たちが揃う。「什器もセンスがいい。美しい世界観を学べます」(中林さん)
2. GARB DOMINGO(ガーブ ドミンゴ)
沖縄県那覇市壺屋1-6-3
098-988-0244
https://www.garbdomingo.com/
沖縄にゆかりのある作家さんの器が勢揃い。「佐藤尚理さんの器も並びます。外観も素敵」(中林さん)
中林友紀(なかばやしゆき)
インテリアスタイリスト。自由な色選びやハイセンスな組み合わせが魅力。『VOGUE JAPAN』『ELLE DECOR』などの雑誌、カタログ、広告、商業施設などのスタイリング、ディレクションなどを行う。