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LIVING趣味

2022.11.20

私は大丈夫と思う人こそ読んでみて。『差別はたいてい悪意のない人がする』

知らず知らずのうちに誰かを傷つけているとしたら?――自己をアップデートしたいあなたにおすすめの一冊をご紹介。(ライター/雪代すみれ

差別はたいてい悪意のない人がする

『差別はたいてい悪意のない人がする』キム・ジヘ 著/大月書店

「悪気がなくても差別をしてしまうことがある」――自身の加害性に向き合う本

私がLGBTという言葉を知ったのは2011年だった。なぜ明確に覚えているかというと、当事者である大学の同級生が教えてくれたからだ。悩みを打ち明けられるうちに、友人として力になりたいと思い「私は偏見がないから/理解があるから話してくれて大丈夫」と伝えた。

だがこの言葉は問題があると後々反省した。「偏見がない」と言うのは、社会に偏見があることを前提としているし、無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)という言葉があるように、気を付けていても偏見を持ってしまうことはある。「理解がある」という言葉も「理解する側/される側」という上下関係をつくる言葉であった。当時そう発言していた自分を思い出すと「偉そうで嫌だな」と。

では、友人を傷つけようとする意思があったかといえばそんなことはない。『差別はたいてい悪意のない人がする』(キム・ジヘ 著/大月書店)のタイトルを見たとき、色々と思い出される出来事があった。

小学生の頃、容姿に特徴のある友人を「○○(とある国)人」とあだ名で呼んだこと。
高校時代に世間で定義されているような「男らしさ」から外れる友人をからかったこと。
テレビで「オネエタレントブーム」があった頃、何も疑問を抱かずに笑っていたこと。

タイムスリップして過去の自分を叱りたくなることばかりだが、「差別してやろう」と思って上記のような言動をとっていたわけではなかった。「差別」が何なのかも、どういう言動で相手を傷つけるかもわかっておらず「悪意」はなかったのだ。

本書は韓国でベストセラーとなった本の翻訳書である。著者のキム・ジヘさんが性別、人種、正規・非正規、障害、移民などさまざまなテーマを取り上げ、歴史や研究を踏まえながら韓国で実際に起きた出来事と照らし合わせながら分析・考察している。本書で取り上げられている現象や主張は日本でも同様のものが見られるため、今まで自分の中でモヤモヤしていたことが言語化される連続であった。

「自分が差別している」という事実は受け入れがたい

「差別はいけないこと」という考えには多くの人が同意するだろう。ゆえに「自分が差別している」という事実は受け入れがたいものでもある。

印象的だったのは著者のキム・ジヘさんがある言葉の使い方を指摘された際、即座に自分の過ちを認めたものの、同時に

その言葉をあえて問題ではないと否定し、些細なことだと考えようとする防御規制が働き始めたのだ(p.4)

と言及していたことだ。私自身、物事を考える過程でマイノリティの声を矮小化する意地悪な自分が出てきたこともある。自分の加害者性を指摘されたとき、ムッとしてしまう可能性があることを覚えておくだけで、今後の捉え方が変わってくるのではないか。

褒めたり励ましたりするつもりだったのに、差別的な発言をしてしまうこともある。本書では「もうすっかり韓国人ですね」という言葉のどこが侮辱的であるかを、著者が当事者である国外から移住した人々に聞いている。その理由は、

自分がいくら韓国で長く生活しても、われわれはあなたのことを完全なる韓国人とは見ていないという前提があるからこそ、侮辱的に感じられる(p.8)

と説明されている。

とはいえ、「言ってはいけない言葉」をチェックリストのように覚えるのでは意味がない。この点も、

このような言葉がなぜ侮辱になるかを理解しないかぎり、表現だけが多少違っても、結果的に件の言葉とあまり変わらない言葉を口にするか、非言語的な視線や行動による差別としてあらわれるだけだろう(p.7)

と指摘されている。日本ではジェンダーや人権問題などで何かしら炎上した際に「ご不快にさせて・誤解を招いて申し訳ない」と、受け手の問題としたテンプレート的な謝罪文が掲載されることが多く「ご不快構文」と呼ばれる。

おそらく、多くの場合は本当に悪気はなかったのだろう。だからこそ受け取る側の問題としたい心理が働くのかもしれない。しかし、悪気がなくても差別的言動をしてしまうことはあるし、傷つけた事実には変わりない。失敗したときに必要なのは、何がどう問題だったのか正確に理解し、自分の責任に向き合うことではないか。

失敗しない人などいない

知人に「いつか失敗するかもしれないから、差別に対して声をあげるのが怖い」と言われたことがある。清廉潔白でなければ声をあげてはいけないというルールはないし、私自身、今後何かしら人を傷つけたり、誤った言動をとったりする恐れはあるだろう。決して開き直っているのではなく、人権に関する学びは、情報や知識を取り入れ、考え続けることの繰り返しであり、ゴールがないと考えている。キム・ジヘさんの次の言葉もエンパワーされるものであった。

差別に関する本の執筆を終えるいまこの瞬間にも、私は相変わらず差別についてよく知っているとは言いきれない。それにもかかわらず、私をとりまく社会を理解し、自己を省察しながら平等へのプロセスを歩みつづけることは、自分は差別をしていないという偽りの信仰よりも、はるかに貴重だということだけは明らかである(p.13)

本書は逆差別・自然と享受する特権・差別的な冗談の問題など切り口が多岐にわたる。差別について考え、話し合う際の土台となり、読むたびに新しい気づきがあるような、何度も読み返したくなる本だ。本書の感想の語りをきっかけとして、周囲の人と人権や差別について意見を交わすのも学びとなるだろう。

『差別はたいてい悪意のない人がする』キム・ジヘ 著/大月書店
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TEXT=雪代すみれ

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