美術を面白おかしく、わかりやすく解説する“アートテラー”として活躍するとに~さんによる連載。読者の皆さまからの質問も随時受け付けています!
こんばんは。アートテラーのとに~です。
新年度が始まりましたね。新入生の皆様、新社会人の皆様、おめでとうございます。そして、学生生活○年目・社会人生活○年目の皆様も、無事に新年度を迎えられておめでとうございます。ちなみに、この連載も無事に新年度を迎えることができました。誰も言ってくれないので、自分で自分におめでとうと言いたいと思います(笑)。
と、それはさておき。本日はオープン仕立てほやほや、ピッカピカのミュージアムをご紹介いたします。まだあまり世の中には知られていないところばかり。ぜひ、この機会にお見知りおきを。
5Gがアート鑑賞を変える?!
多摩センター駅から徒歩約10分の場所に、通信大手KDDIの研修宿泊施設LINK FORESTがあります。その2階に、昨年12月1日にオープンしたのがKDDI ART GALLERY。KDDIの関連企業各社が所蔵していたアート作品を展示するスペースです。
ダイバーシティを大切にするKDDIだけあって、そのコレクションも、実に多種多様。西洋絵画もあれば、日本画や近代洋画、ガラス工芸品、ポップアートの作品もあります。
そんなKDDI ART GALLERYの魅力は、美術作品だけにあらず! KDDIが手掛けるアートスペースだけあって、au5Gを駆使した新しいアート鑑賞体験ができるのです(事前予約制)。スマートグラスをかけて、所定の位置に立つと、バーチャルヒューマンのCohというキャラクターが目の前に現れ、展示作品を解説してくれるのです。
スマートグラスを通して、エミール・ガレの 《風景文花器》 を見ると、巨大化した《風景文花器》 が目の前に出現! しかも、16Kの高精細な画像で! 外観を360°楽しめるだけでなく、その中に入って、内側から鑑賞することもできるのです。
これからの美術鑑賞のスタンダードになるかもしれない、“おもしろいほうの未来へ。”の片鱗を見ることができるミュージアムですよ。
KDDI ART GALLERY
東京都多摩市鶴牧3-5-3 LINK FOREST 2F
https://www.kddi.com/art/
懐かしいケータイがずらり
KDDI ART GALLERYのすぐ隣、ちょっとIDOした場所にあるのが、KDDI MUSEUM。こちらも昨年12月1日にオープンした、通信の150年の歴史が辿れるミュージアムです。展示室内には、今から約140年前に長崎-上海間に実際に敷設されていた海底通信ケーブルや、平野ノラのネタでお馴染みのショルダーフォンなど、無線通信や衛星通信といったさまざまな通信にまつわる貴重な品々が展示されています。
個人的にオススメなのが、歴代のauのケータイが壁一面に並べられた「au Gallery」です。
自分は学生時代はVodafoneユーザーだったのですが、その僕が見ても、「あぁ、このケータイ、欲しかったんだよなァ」とか「おっ、このケータイ、あいつが使ってたヤツだ!」と懐かしくなりました。auユーザーなら、もっとテンションがあがるはず。
久しぶりに見ると、ガラケーっていいですね(※個人の見解です)。
KDDI MUSEUM
東京都多摩市鶴牧3-5-3 LINK FOREST 2F
https://www.kddi.com/museum/
宿泊施設も併設されたミュージアム
茨城県筑西市にあるザ・ヒロサワ・シティ。茨城県を代表する企業グループ、広沢グループの会長が地元を活性化させるべく、四半世紀にわたって開発を続けている都市型テーマパークです。その敷地の広さは、なんと100万平方メートル! ゴルフ場やバーベキュー場、農園、こども園、専門学校、さらには宿泊施設も完備しています。
そんなザ・ヒロサワ・シティの中心部に、今年1月2日に開館したのが、廣澤美術館。広沢会長がコレクションした美術品を公開する美術館です。建物を設計したのは、新国立競技場の設計でも知られる世界的建築家・隈研吾さん。特徴的なのは何と言ってもその外観。
建物の外観を覆い隠すように大量の自然石が置かれています。その数、約1500個。総重量は、約6000トン。実はこれらの自然石も広沢会長のコレクションなのだそうです。巨石に囲まれてはいますが、内部は随所から光が差し込むので、圧迫的というよりも、むしろ開放的。ゆったりとした趣ある空間となっていますよ。
なお、隈研吾さんが設計した建物は、廣澤美術館の本館にすぎません。廣澤美術館にはほかにも、つくは野館や石の美術館と名付けられた施設、陶芸作品や彫刻作品、地元ゆかりの画家の作品などが展示された分館がいくつもあります。また、質・量ともに国内トップクラスという蝶の標本コレクションや蓄音機コレクションを展示する分館も。これらの作品をすべてじっくり観ていると、あっという間に一日が経ってしまいそう。
ちなみに、今年の夏には、ザ・ヒロサワ・シティ内に、戦後初の国産旅客機YS11や零戦が展示される航空ミュージアムも誕生する予定とのこと。そのオープンに合わせ、現在工事中の消防自動車の博物館のほか、クラシックカー、クラシックバイクのミュージアム、新幹線や北斗星の車両が展示されるレールパークも再開予定だとか。一泊しないと見切れないかも。
廣澤美術館
茨城県筑西市 ザ・ヒロサワ・シティ
0296-21-1234
http://www.shimodate.jp/hirosawa-museum_of_art.html
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