こんばんは。アートテラーのとに~です。
今回が2020年ラストの『水曜夜はアートの話を』。今年は、いろいろな意味で記憶に残る一年でしたね。お付き合いいただきまして、ありがとうございました。来年はぜひ明るい一年になりますように。皆様が良い年をお迎えくださいますようお祈り申し上げます。
さてさて、本日ご紹介するのは、上野や銀座、六本木と並んで、ここ近年“アートな街”として注目を集めている「天王洲アイル」の魅力です。アートにまつわる施設やアートなスポットが年々増え、日々アップデートしている天王洲アイル。2020年12月12日には、日本では唯一のユニークなミュージアムがオープンしました!
まだまだ、新型コロナウィルスが収まりそうにありません。こんな時期だからこそ、人が“密”になる歓楽街を避けて、臨海エリアに足を伸ばしてみるのはいかがでしょうか?
自分の好きな色に出合える街
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天王洲アイルの街並み
江戸時代に築かれた第四台場を基に再開発が進められた天王洲アイル(ちなみに台場公園は第三台場)。東京屈指のおしゃれなウォーターフロントとして人気のエリアです。
特に近年は、アートの街として人気急上昇中。街のいたるところに、パブリックアートやウォールアートが点在しています。さらに、周囲には天王洲の運河に浮かぶ水上ホテル「PETALS TOKYO」や日本最大のギャラリーコンプレックス「TERRADA ART COMPLEX」も。
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TERRADA ART COMPLEX
個人的におすすめしたいのが、画材ラボ「PIGMENT TOKYO」。
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PIGMENT TOKYO(画像提供/寺田倉庫)
新国立競技場の設計でも知られる国際的建築家、隈研吾氏が設計したおしゃれな内装に、筆や和紙、絵の具といったさまざまな画材が並んでいます。「いや、でも、自分は画家じゃないし・・・」と興味を持てていない方にこそ、ダマされたと思ってぜひ足を運んでいただきたい! 壁の一面に顔料がディスプレイされた光景は、圧巻も圧巻。化学性の顔料もあれば、自然が生み出した顔料もあります。奥深い色の世界に引き込まれてしまうこと受け合いです。
WHAT is “WHAT”?
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WHAT外観
そしてつい先日、2020年12月12日に、天王洲アイルの中心部に新たなミュージアムがオープンしました。その名は、WHAT(ワット)。今年創立70周年を迎える、寺田倉庫が手掛けるミュージアムです。「WHAT」というユニークな施設名は「WAREHOUSE OF ART TERRADA」の頭文字を取ったもの。
WHATがユニークなのは施設名だけにあらず。そのコンセプトもまたユニークです。美術品の保管に定評のある寺田倉庫には、多くの美術コレクターが自分のコレクションを預けています。普段は倉庫に眠っているそれらのコレクションを、一般に開放し、広く多くの人に観てもらおうというのが、WHATのコンセプト。自分の美術コレクションを多くの人に観てもらえて、美術コレクターもうれしい。普段見られないアートが特別に観られて、美術ファンもうれしい。何てwin-winな関係なのでしょう!
そんなWHATのオープニングを飾るのが、『-Inside the Collector’s Vault, vol.1-解き放たれたコレクション展』。現代アートファンにはお馴染みの美術コレクター、精神科医・高橋龍太郎氏の秘蔵の現代アートコレクションと、とある実業家A氏が愛蔵する奈良美智コレクションが展示されています。文字通り、“蔵出し”の作品ばかり。この機会を逃したら、次にいつ観られるかわかりませんよ。
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高橋龍太郎コレクション
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A氏コレクション
建築好き必見!
実はWHAT の前身は、2016年にオープンした日本初の建築模型専門のミュージアム、建築倉庫ミュージアムです。まったく違うコンセプトのミュージアムに生まれ変わったため、建築の要素は完全に無くなってしまったかと思われましたが、建築倉庫ミュージアムは「建築倉庫プロジェクト」と改名し、これからも引き続きWHAT内で建築に関する展覧会を開催していくとのこと。
現在は、その新生一発目として『謳う建築』という展覧会が開催されています。
建築界のレジェンドから今注目の若手まで、14名の建築家による住宅建築をそれぞれ、詩人や作家、シンガーなど14名の文芸家が実際に訪問。それにより生まれた詩と建築模型を併せて紹介する新感覚の建築展です。
また、建築倉庫ミュージアム時代に公開していた建築模型は、「模型保管庫見学+WHATチケット」を購入すれば、現在も時間限定で鑑賞することが可能だそう。隈研吾さんや坂茂さん、山本理顕さんといった世界的建築家の建築模型の実物を常時鑑賞できるのは、日本でも、いや、世界でもおそらくここだけでしょう。日本各地に点在する建築の模型で、Go To トラベル気分を味わってみては?
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画像提供/寺田倉庫
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