暮らしを豊かにする情報には常にアンテナを張っておきたいもの。フリーライターの和多亜希さんが、取材から得た今知っておきたい情報をご紹介。今回は、料理酒について。
コロナ禍で自炊が増え、料理をする機会がグンと増えている人も多いのでは? 実際のところ、コロナ禍で料理酒の売り上げがアップしているのだとか。料理で調味料として使う料理酒ですが、その役割をきちんと把握して使っている人は意外に少ないかもしれません。この機会に料理酒の使い方をマスターして、料理の腕を格上げしませんか?
創業120周年を迎えた老舗調味料メーカーの「キング醸造」に料理酒の基本を教えていただきました。
そもそも料理酒って?
料理用の酒には清酒(日本酒)と料理酒がありますが、料理酒は料理に旨味とコクを加えるために原材料の米をあまり削らない分、有機酸とアミノ酸が多く含まれているもの。一方、清酒は味わい重視のため、米の外側を削って酸味や雑味を抑えているのだとか。だから、料理酒の方がアミノ酸などの旨味成分が多く含まれるため、料理に向いているのです。
ちなみにキング醸造で作られる、国内トップシェアを誇る「日の出料理酒」には、あらゆる料理に合わせられるように白ワインが配合されているそう。食塩が加えられているので塩分と旨味のバランスもよく、1本で和洋中どんな料理にも使うことができて便利です。
料理酒の主な働き・効果をマスター!
料理酒の主な役割は、
1. 旨味やコクをつける
2. 肉や魚の臭みを消す
3. 食材を柔らかくする
4. 味を浸み込みやすくする
5. 煮崩れを防ぐ
という5項目。
料理酒のアルコールで食材が包まれることにより、水分を保って食材自体を柔らかくするほか、アルコール分が臭みと一緒に蒸発することで、肉や魚の臭みを消します。さらに、他の調味成分がアルコールと一緒に浸透することで料理の味を均一に仕上げる、という重要な働きをしてくれるのです。この効果を知って、使わずにはいられません。
だから、料理酒はいつも調味料の最初に使います。学校で習った調味料を使う順番のさ(砂糖)→し(塩)→す(酢)→せ(醤油)→そ(味噌)ですが、さの前に「酒」があることをお忘れなく!
料理酒の活用術で理解を深める
料理酒の働きを知ったら、次は応用です。キング醸造に活用術を伝授いただきました。
臭みを消して、食材を柔らかく
料理の下準備として行われる臭み取りですが、生の肉や魚の臭みを消してくれるだけでなく、冷凍エビや干物などにも料理酒を振りかけてから調理すると、生臭くならないと同時にアルコール作用で柔らかく仕上がる効果があるのだとか。
鶏のささみや市販のサラダチキンにも軽く振りかけてから温めると、保水性を高めることでふっくら仕上がり、旨味も倍増するので、素材の味を活かせます。いろいろ応用できそうですね。
煮ものだけでなく、炒め物にも◎
料理酒のアルコール成分は食材の細胞壁の崩壊を防いで、細胞の中からでんぷんやタンパク質などの成分の溶出を防いでくれるため煮崩れ防止になるのですが、野菜炒めや焼きそばを油で炒める際にも水ではなく酒を使うのがおすすめ。
料理酒を加えることで、余分な水分を吸うのを防いでくれるうえ効率的に熱が入るので、野菜はシャキシャキのまま、焼きそばはべちゃっとするのを防いでくれます。
鍋やスープは水と料理酒におまかせ
スープや鍋など、魚の切り身や缶詰を使った料理には、出汁は不必要。水と料理酒だけでOKです。水と料理酒を1:1の割合で入れれば、アルコールが魚の臭みと一緒に蒸発して、素材の旨味を活かした優しい味わいに。アルコールを飛ばして1分間ぐつぐつ煮込めばすぐ完成! 人気のサバ缶などでトライしても良さそう。
スイーツ系にも料理酒があう!
手作りスイーツの隠し味に料理酒を使うのもおすすめ。加塩タイプの料理酒なら絶妙な塩味が甘さを引き立たせ、ほんのりアルコールが漂う大人スイーツを作ることができます。
おすすめレシピは、簡単フレンチトースト。市販のバニラアイスと料理酒があれば、牛乳や卵は使わずにできます。バターでパンを焼き、バニラアイスと料理酒を加えることで、甘みが引き立った美味しさに。
このほか、みりんがないときの代用調味料として、料理酒大さじ1と砂糖小さじ1を混ぜたものが代用として使え、また、料理酒とみりん、醬油を1:1:1で混ぜた万能たれは、煮卵のつけ汁などにも便利です。
料理酒の持つ働きを知っておくと、料理や保存により便利に使えそうです。参考にしてみてくださいね。
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