小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.01 “自分らしさ”とは?迷いが消える本、ありますか?
《読者からのリクエスト》
20代までは周りと足並みを揃えることばかり気にしていて、そうすることで安心感を得ていました。アラサーになると、仕事や結婚、出産など、どんどん“人それぞれ”感が強まってきて、むしろ人と同じでいることが難しくなってきて。“自分らしく”生きていかなきゃ、みたいな焦りがあります。でも、その“自分らしさ”ってやつがわかりません・・・。
《多部さんのオススメは・・・》
無理して探さなくても、
すでに自分のなかにあると思うんです
・・・実は私、“自分らしく”とは何だろうって考えたことがありませんでした。なので、私にはそのことに悩んだり、悶々としたりする気持ちがあまりわからないのです。
初めからわりと強気な発言をしましたが、私も自分に自信があるわけではありません。でも自分が一番素直でいられる感情や、心にぱっと浮かんできた感情に伴って移した行動がすべて“自分らしさ”だと思いませんか? 自分の気持ちに正直に生きてきたつもりの私としては、その時々に感じたことや行動したことに納得をしていて、どれも自分らしいなと思っているのです。
何をするにも、すべては自分の思うがままに! 自分次第!なんていつも思いながら、今日一日の過ごし方や誰に会って何を食べるとか、さらには今年一年何を目標に生きていこうかなど、小さなことから大きなことまで決断しています(笑)。
もちろん相談できる家族も、話を聞いてくれる親友もいるけれど、たとえ心で思ったことをすべて話していたとしても、それが自分自身すべてを表せているのかと言われると決してそうではないと思います。自分のことは自分にしかわからない。だけど、この年齢になって、自分で自分のことをちゃんと認めていかないと、前を見据えて生きていけない気がします。
なぜなら、仕事をしていくうえでも、友達と付き合ううえでも、発言や行動で自分の明日が決まってしまうから。周りからどれだけ賞賛されても、認められていたとしても、自分が納得できていなければ意味がないと思うんです。
だから、“自分らしさ”を探すのではなくて、自分のなかから見つけることが大事。この本にも書いてあるように、自分らしさはすでに自分のなかにあると思うんです。
型にはめて「私はこういう人間だ」と思い込んでしまうと、窮屈になってしまいそうだし、それに縛られてしまったらつまらない人間になってしまいそう。
こんな風に頭の中で意固地になって、体や心が疲れてしまったら、ポイって気軽に何かを捨てることも大切なんだなと思います。でも、わかっていてもなかなか行動に移すことは難しいですね。
この本『エロイーズ』の主人公みたいにすべての記憶を失うのは怖いけど、ここからここまでリセット!なんて嫌な過去だけを消すスイッチが体のどこかにあればいいのに(笑)。私にも消したい過去の記憶はたくさんあります。とほほ。でも過去を消すことはできないから、今までの自分も行動もすべて納得して認め続けるしかないんですよね。
アラサーになって、こんなことを思う今日この頃です。
今回のオススメ本はこちら!