小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.11 秋の夜長にぴったりな“一気読み”してしまう本は?
《読者からのリクエスト》
読書の秋ということで、面白い1冊を探しています。私の読書は、いつも1冊をダラダラと3ヵ月ぐらいかけて読み、あれ?この登場人物だれだっけ?と混乱してしまうという始末・・・。読み終わるまで眠れない~みたいな、夢中になれるミステリーとかサスペンスはないでしょうか?
《多部さんのオススメは・・・》
イライラしながらも、
続きが気になる作品に出会えたのは久しぶり
殺したはずの同級生から手紙が送られてくるところから始まる、秋吉理香子さんの『絶対正義』。殺された女、高規範子は正義が全て、法律が全て、規則が全て。情なんてものは一切なく、たとえ親友であろうが犯した間違いを決して許さない。
そんな女を殺した同級生4人に、高規範子から手紙が送られてくる。殺したはずなのに・・・。
なんで!? なんで!?と思いながら読んでいたら、見事に1日で読み終えてしまいました。そのくらい、続き!続き!!と気になる作品に出合えたのは久しぶりかもしれません。それにしても、この殺された高規範子――。
絶対に自分の考えを曲げず、情に流されることもなく、法律に従って生きている。誰かの肩をもつわけでもなく、味方になるわけでもなく、親友の気持ちに寄り添うわけでもなく、信じるものは法律や規則だけ。
まぁなんとも非現実的な人物ですが、範子の発言は決して間違いではないんですよね。法律であり規則である「正しい」事だから。とにかく範子に言いくるめられて、みんな妙に納得してしまう。
でも範子が振りかざす正義に1ページ読んではイライラ・・・。こんなに情がなくて融通がきかない友達、一緒にいたら息が詰まるし、絶対嫌だなと思ってしまいます。
私はわりとだらしない性格をしているので、なんでもはいはいって受け流して、許してくれる友達じゃないとうまく付き合えません(笑)。
家事もお料理も、さらに細かいことを言えば返事の一つでさえ、かなり適当なので、相手がしっかりしていてくれないと、いろんなことが成り立たないのです。たぶん、皆さんにはそんなイメージはないのでしょうが・・・。たまに・・・いや、結構頻繁に?呆れられます。
私がそんな性格なので、友達は先回りして助けてくれます。
例えば、一緒に旅行に行く際、「ESTA(米国の電子渡航認証)の期限が切れていないかチェックしておいたよー」とか、家に遊びに来た時は、「この調味料、賞味期限切れているだろうなと思ったから買っておいたー」とか・・・。
・・・この甘やかされっぷり、今書いていて、これでいいのか私。と焦ってきました・・・。
大切ですよね、友達への気遣いや心遣い。ルールや法律だけでは片付けられない、友達に対する思いやり。気持ちに寄り添ったり、解決する術を一緒に考えたり。それが友情だと思うんです。
はぁ・・・イライラしながら読むとは、なんて本なんだ! でも、面白かった。
今回のオススメ本はこちら!